028
黄色い二足歩行の恐竜、キラプトル。
その姿は、凶暴な恐竜だ。
顔を見ても、大きな姿がはっきりと見えた。
「何よ、それがどうしたの?」
ゲームをよく知っていた勝は、驚きがない。
「君らの目的を教えたんだ。
僕たちがいる場所、ここにはね…」
祥万がいる背景が、光が当たったのか明るく見えた。
それはレンガ造りの建物の中。
「キラプトルの城」
「良悟は詳しいな。さすがだ」
「祥万、お前はどうしてラストステージにいるんだよ?」
「マスターに、なんて口の利き方だ」
しゃべったのは、祥万ではない。
黄色い恐竜が、渋い声で言い放ってきた。
「あの恐竜も、普通に喋れるの?」
「喋るだけじゃない、いろんな力を持っている。
だけど一番の特徴は、この城を作る力」
キラプトルのそばには、レンガの壁が見えた。
「祥万、あんたはその城にいるの?」
「そう、でもここは学校の中。
さて、どこかわかるか?」
「祥万のことだ、きっと写真を撮った中にある」
写真?そういえば最近、祥万はいつも風景の写真を撮っていた。
それって、このベルトランドのステージを作るためだったのか。
「部室でしょ」
「正解」香流が答えて、正解した。
「僕はラストダンジョン『キラプトルの城』を野球部部室に設定した。
君らは、そこに入るための白い扉を開けないといけない」
「まさかそれって、祥万…やったのか?」
「そう、白い扉に入れるのは一人だけ。
選ばれし、一人だけが僕に会うことが許される。
そして、僕と戦うことができるのも一回だけ」
「なによそれ」
「そして、君らはゲームをクリアできないと、永遠に君らは小さいままだよ」
祥万は、怪しく笑って見せた。
喋りながらも、祥万はキラプトルのそばに来ていた。
「なんでよ?」
「このゲームのクリアアイテムは、キラプトルが落とす『ミラクルムーン』。
それを使わないと、大きくなることもできない」
「そこまで、再現しているのか」
勝は驚きよりも、感心していた。
「で、あたしたちが祥万を倒せばいいのでしょ」
「まあ、そうなるよね。
でも、できるかな?僕は、簡単には倒せないよ」
キラプトルのそばに行く祥万の体が、キラプトルに吸い寄せられていく。
そして、祥万の姿がなくなった。
いや、祥万の姿がキラプトルに吸い寄せられていた。
「なぜなら俺は、ラスボスだから。さて、ゲームを始めようか。
4人のプレイヤーの中で、誰が僕の待つ城にたどり着けるのかを」
キラプトルの渋い声ではない。
祥万の甘い声に、どこか恐怖を感じてしまう私だった。
だけど、香流は祥万の言葉に引っかかっていた。
「4人、私たちのほかにまだ小さくなった人がいるというの?」
香流の言葉に、祥万が言い放っていた。
「そう、4人。君らのほかに既に一人が、ここに向かっているんだよ」
急に、パソコンの画面が切り替わった。
そこには、一人の人間が学校の玄関を出て外を走っていた。
少し遠めのアングルだけど、確かに4人目のプレイヤーが映し出されていた。




