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『ベルトランド』、名前だけはとても有名だ。
ゲームをあまり知らない私でも、その名前は知っていた。
昔ながらの横スクロールアクションで、シンプルだけど面白いスマホゲーム。
基本的にはスタート地点から、敵を避けてジャンプしたり、障害物を交わしたりしてゴールを目指すもの。
ゲーム画像をパソコンで見るのは、初めてではない。
でも、どこで見たのかがよく覚えていない。
「このベルトランドのあっ、あの赤いウサギ」
「そう、ベルトランドの敵だよ」
パソコン画面には、敵キャラの赤いウサギが三匹群れになって飛んできていた。
それは、リアルで襲われた段ボールに隠れた赤いウサギと同じ。
ほかにも動く本や、チョークのようなミサイルがゲーム画面に出てきた。
聞いた敵、見た敵がすべてベルトランドの敵と合致した。
「このゲーム画面は?」
「ベルトランドのデモ画面」
「出ているキャラは?」
「主人公のキャラ」
「なんかおっさんよね」
出ているドット絵のキャラは、おじさんだ。
イケメンでもなければ、かっこよくもかわいくもない。
どこにでもいるおっさんが、ジャンプして空飛ぶ足場に乗っていく。
「隣を飛んでいる光の球みたいなのは?」
「それがヘルフ、サポートキャラだ」
「そうなんだ」勝の説明で、ようやく理解ができた。
そんなゲーム画面を見ながら、私は首を傾げた。
見えているのは、普通の空のステージ。
背景も、どこか現実離れしたファンタジー世界だ。
「このゲームは、王国に奪われたどんな願いでもかなえられるフォーチュンムーンを取り戻す話」
「そんな話なの?」
「だから、ボスもちゃんと各ステージにいる」
勝の説明に、なんとなく理解していた私。
「でも、このゲームの敵は同じなのはわかったとして…どうして学校?」
「それはね、このゲームを作ったマスターがいるんだ」
「マスター?」
「このゲームはステージを作ることができるんだよ」
パソコンのキーボードに、右往左往して勝が操作した。
マウスの上に乗って、最後にクリックして一つの画面が出てきた。
「このステージって」
「学校?」
出てきたのは。背景が学校のステージ。
見えた場所は、学校の廊下。
それから水飲み場が、出てきていた。
「なによ、これが学校のステージじゃない」
リアルな学校のステージが、表示されていた。
障害物や背景も、見たことのある学校にあるものだ。
「このゲームは、ゲームステージを作り替えることができるんだよ。
まるでリアルの世界を、小さなキャラクターになって……」
「それって、私たちのことでしょ」
「そう、ゲームを作った人間がいる。
それは、すでに僕らに関係した人間で、この学校の生徒だ」
「え、私たちに関係した人間?」
「さすがは相棒」
いきなり画面が、切り替わった。
そこには、一人の男性が姿を見せていた。




