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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
二話:小さな女子高生の真実
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時刻は10:26。視聴覚室の時計が、示していた。

視聴覚室は、パソコンがずらりと並ぶ部屋。


別名『パソコン室』と呼ばれたこの部屋は、授業で使われていないとパソコンは動かない。

パソコンのログインは、生徒自身も行うことができた。

だけど、このパソコンはネットワーク制限がいくつもかかっていた。


部屋のほぼ中央に、一列の机。

そこに、勝手に立ち上がったパソコンが置かれていた。

画面のついているパソコンの上に、小人が一人。


小人の見た目は、男だ。

黒いブレザーのズボン。

角刈りの男性は、どこか負大人びていた。

細い目に、がっちりした筋肉質の体。

その人を見た瞬間、私…というより香流の知り合いだった。


「何しているんですか、勝君?」

そこに姿を見せたのは、野球部のイケメンバッテリーの一人。勝 良悟先輩だ。

横にも太いけど、脂肪で太っているわけではない。

筋肉の鎧を身にまとった、マッチョの勝は2年生。

何より風格が、私たち女子と全然違っていた。


女子生徒以上に、女子教師からも人気のある野球部男子。

エースの祥万と同じ野球部で、キャッチャーをしていた。

大柄で黒ブレザーの勝先輩は、私と香流を見て近づいてきた。


「なるほど、君らも小さくなったのか?」

「勝部長、こんなところで何をしているんですか?」

冷めた目の野球部マネージャー香流が、顔見知りを見て安心したのか態度がでかくなった。

香流も2年生だし、勝とは関係が自フランクなのだろう。


それにしても私以外が、2人とも野球部か。

一体野球部に、何かが関係するのだろうか。

しかも勝先輩は、初めて見る男性の小人だ。


「そろそろ、君らも今の状況を理解してきたころだろうと思って」

「勝先輩は、ご存じですか?」

「まあ、俺も小人を見たのは君ら二人しかいないけど。

だけど、この子が教えてくれたんだ」

勝先輩のそばには、光の球が浮いていた。

それは香流も私も一緒に見て、驚いていた。


「その子って?」

「紹介しよう、ヘルフっていう」

光の球がはじけると、緑色の服に紫色のスカート。

かわいらしい女の子が、透明の羽で飛んでいた。


「ヘルフ?」

「なんですか、それは?」

「あれ、君らには同行していないのか?

俺にはしっかり同行していたけど、君らにはいないのか?」

「いるわけない……あっ!いた。

そういえば、どこか飛んでいったような……」

私にも、ヘルフらしき女の子がいた。

おそらく顔立ちからして、私の出会ったヘルフと勝先輩のヘルフの顔つきが違う。


「あたしのは、犠牲になったわ」

なぜか、唇をかみしめて香流が言い放った。


「犠牲?」

「変な敵に襲われて、身代わりになったのよ。

まあ、そのおかげであたしはアイテムを手に入れられたけど」

「でも、そのヘルフって何ですか?妖精みたいなやつですけど」

「ああ、それな。下のパソコンを見てみろ」


勝先輩は、パソコン画面に乗っていた。

その下には、モニターが見えた。


パソコンには、一つのゲーム画面が見えていた。

私と香流は一緒にパソコン画面を見て、不思議な顔を見せていた。

それは、横スクロールアクションのゲームだ。


「これって?」

「見覚えあるだろう、『ベルトランド』」

勝先輩の言葉に、香流も納得した様子でパソコン画面を見ていた。



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