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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
二話:小さな女子高生の真実
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段ボールの動きは、普通ではない。

中には何かがいたのは、彼女も私もすぐに気づいた。

私たちが今立っているのは、茶色い段ボールの上蓋。


すぐに、香流と一緒に近くに置いてあった椅子に飛び乗った。

このあたりまでだと、地面に簡単に着地もできた。

段ボールのそばにある、フカフカの椅子から私は香流と一緒に見ていた。


段ボールには、間違いなく何かいた。

それは、生物の類だ。

それでも、大きな私たちならば苦にならない相手だろう。

でも、私も香流も小さい。


「ねえ、香流さん」

「なあに、静」

「動く本とか。見たことあります?」

「家庭科室で、レシピ本が動いたでしょ。今更、何を言っているの」

「ああ、そうでしたね」

私は家庭科室の恐怖を、香流に話した。

動かないはずのレシピブックが、動いていたハエを目の前でつぶしたことだ。


話ながらも、お互いの顔を見て苦笑いをしていた。

そんな私の話に、香流があることを告げてきた。


「あら、私は黒板けしとチョークが動いてきたわよ。

初めに出てきたときは、かなり焦ったわ」

「へえ、それは初耳よ」

段ボールのごそごそは、入り口のほうに迫っていく。

私と香流は、椅子の上で身構えた。

だけど、香流は私の前に出た。凛々しい顔をして。


「大丈夫、あたしには、アイテムがあるから」

「おお、それは頼もしい。さすがは香流様」

「まあ、それでも敵が出ないのならいいんだけどね」

「それは、無理そうだね」

私と香流が話す中、段ボールがゆっくりと開く。

開いた瞬間に出てきたのが、小さなウサギが見えた。


私たちと同じ大きさのウサギは、どこか愛おしい。

ぴょんぴょんと、愛らしく飛んでくる真っ赤な毛並みのウサギ。

そのウサギの登場で、私は思わず目が輝いていた。

だけどすぐに香流が、私の前に手を広げた。


「ねえ、かわいいウサギだね」

「それも敵よ」険しい声で、近づく私にはっきりと言い放った。




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