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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
二話:小さな女子高生の真実
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小さい体でも、重力には逆らえない。

壁から離れれば、私も落ちていく。

私の小さな体が、アルミの地面に近づいていく。


(ダメだ、ぶつかる)

地面が、迫ってきた。

だけど、そこには一人の少女がいた。

私が落ちるのを待ち構えるかのように、黙って両手を広げた。


「静!」

香流が、私を両手で受け止めた。

受け止めた香流は、私を優しく抱きかかえて受け止めた。

私の体の重さで、アルミの地面がぐらぐらと揺れた。

二本の画鋲で止まったアルミの地面が、揺れた。


落ちるのが怖くて目をつぶった私は、目を開く。

私には、まだ命があった。


「助かったの?」

私は生きていた。

細い香流の腕は、とても暖かかった。

包容力のある香流が、私を受け止めた。


「大丈夫?」香流の優しい声が、私に向けられた。

「ありがとう」

半泣き顔の私は、感謝を香流に伝えた。

私を抱いていた香流は、少し顔が赤くなっていた。

それを見て、あたしもつられて照れていた。


「大丈夫なら、降りてほしいけど……」

「ああ、うん」

名残惜しいぬくもりを感じつつもけど私は、香流から降りていく。

軽快なジャンプをして、私は周囲を見ていた。


大体半分の壁を、ここまで降りたのだろうか。

まだ、下の廊下までは遠いのが見えた。


「でも、かなり下れたわね」

「あとは、近くに段ボールもある。

段ボールも足場として、ジャンプで降りていけば…」

「やっと地上ね」

最初に淵のそばにいた私は、足の震えもいつの間にかなくなっていた。

少しは心臓の動悸も、収まっていた。


でも変な照れが、彼女を見るたびにドキドキしてしまう。

何だろう、あんな包容力のある女子は初めてだ。

香流は、一年先輩だけどそれ以上の優しさを感じられた。

そして、彼女から時折感じられる逞しさも感じられた。


赤い顔に変わる私に対して、香流が冷静を装う。

周囲を見回して、段ボールを見ていた。


「とりあえず、段ボールに飛び降りて…」

香流は、落ち着いてジャンプして段ボールに着地した。

ジャンプして、そばにある段ボールに私も遅れて着地した。


「待って」そんな香流は、私の前に出た。

彼女は、段ボールから何かを感じた。

香流の言う通り、段ボールの中がごそごそと物音を立てていた。



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