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小さな私の物語  作者: 葉月 優奈
二話:小さな女子高生の真実
17/56

017

(SHIZUKA‘S EYES)

二日前の私は、想像もしなかっただろう。

二日後にいる現実の私は、暗い床の穴の中にいたのだから。


香流が先に入った穴に、私も出てきた。

薄暗い中で、じめじめした配管や鉄筋らしきものが見えた。

鼠の糞の匂いが、かなり強烈だ。


(こんなところ、よく通れるよな)

匂いが、かなりきつく薄暗い場所。

そういえば配管の影響か、湿度がかなり高くてジメジメしていた。


不快な暗闇を、しばらく進むと穴が見えた。

光が漏れたその場所には、二階の廊下が見えた。

廊下が見えて、奥には教室の入り口。

間違いなく、これは天井から下を覗いていた。


蛍光灯の穴の近くで、私と香流は一緒に覗き込んだ。

今の廊下には、どうやら人はいない。

3限目のチャイムが鳴って、休み時間が終わっていた。

静かな廊下が、私の足元に見えた。


だけど、やはり高さがかなり怖い。

極端な高所恐怖症ではないけど、人並みに高いところは怖い。

でも、隣の香流は落ち着いていた。


「よく見ると、ここから降り出るわね」

「降りるって?」

行動が、香流はとても速い。

男勝りの彼女は、全く怖がっていない。

勇気のある彼女は、とても頼もしく見えた。


「何って、壁を伝って腕の力で降りるのよ。

あたしに、ついてきて」

香流は、ドンドン奥に進んでいく。

足元に、二階に落ちる穴が見えた。穴に落ちたら、無事では済まない。


それでも、香流は穴の中にためらいもなく足を突っ込む。

既に右足を。壁の淵に乗せていた。


「あなたは、自分の能力を理解している?」

「香流さん、突然なんですか?」

「小さくなって、今までできなかったことがいろいろできるようになったでしょ?」

「確かに、できることは増えた。

すごいジャンプが、できるようになったかな」

「それだけ?」

「うん」私は、ほかに思い当たる節がない。

でも、香流は勇気があった。


「ほら、私はこの穴を降りるから」

上半身だけ穴から出した香流が、私に手を振っていた。

それと同時に、香流は私の視界から姿が消えていた。



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