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スモールメモリー  作者: 赤城マロン
始まり
1/3

プロローグ

青流結晶(せいりゅうけっしょう)

今自分の目の前にある青色の結晶だ。

黒い蓋がされたガラス瓶の中にある。

なんでこんな物の中に入れているのか、それは人を蝕むから。この結晶のせいで、何人もの命が失われたか…

どうしてそんな物が今この場所にあるか、それは"特殊青流化人(とくしゅせいりゅうかじん)"と言われるものから摘出された物だからだ。特殊がいれば、普通の青流化人(せいりゅうかじん)もいる。青流結晶自体は今となればあまり珍しくない。けど、特殊青流化人から取れた物、普通の青流結晶とは全く違う物…見た目ではあまり分からないが、これでしか取れない情報が多々ある。


自分はそんなものをなんとなく見つめていた。


「何してるんですか…」


そんな事をしていると、後ろから声をかけられる。


「あぁ、ツユリ…まぁ、何となく見つめていただけだ。」


今自分の目の前にいる銃を持った人物。名前はツユリ・カルーダという。


「そうですか、最近は特殊青流化人はいませんけど…どうやってそれを?」


「あぁ、これは2年ぐらい前の物。」


「どうやって手に入れたんですかそんな物…」


呆れたような顔で自分を見つめてくる。

まぁ、そりゃ2年も前物なら誰でもこうなるか、と思いつつ…


「まぁ、そんなことは気にせず…」


「いや気になりますよ?!」


やけに反応がいい。興味でもあるのだろうか。

自分は席から立ち上がり、廊下に出る。

さらっと見たツユリの表情はぽかんとしていた。

さて、改めてこの場所はある所の仮基地。

名前はHPF(人類守護軍)という場所。名前がやけにダサい感じがするが、しっかりしている場所なので安心ができる。

自分はその中のHFP青流結晶研究機関という所のトップ。日々自分たちは青流化人を元に戻す方法を研究していたりする。化け物とは言え、元は自分たちと同じ人間。何か戻せるかもしれない。という希望を抱いているだけの場所に過ぎないと、自分は思っている。

青流化人は日々徘徊しており、言わばゾンビのような存在なのだ。人の見た目はしていなく、人は特定量の青流線(せいりゅうせん)を受けると徐々に青流化人と化していく。

青流線というのは、言わば放射線の様な物だ。


自分は外に出る。灰色の空だ、活気がない。今日は曇りなのだろうか、少し高い場所に向かい、遠くを見ると一つの街が見える。そして、大きく、威嚇するようにそびえ立っている青流結晶に包まれた白色のタワーがある。その街の名前はホワイトスカイ。

そんなホワイトスカイにある青流結晶から街を守る塔、後に"青色終末塔(ブラウアイエンドトム)"と呼ばれるタワー。この場所は、青流結晶を防いでくれる役目があった。青流化人を寄せつけない特殊な技術があった。けど、不可解にも青流結晶に蝕まれ、塔は使い物にならなくなった。ホワイトスカイから逃げた人は青流化人に滅茶苦茶にされ、現在でも何人も取り残されている。恐らく、大半の人は青流化人となっているだろう…


自分はそんな場所をぼんやり見つめながら色々なことを考える。


すると、後ろからツユリが話しかけてくる。


「また同じ場所で、同じところ見ているんですか?」


隣に来て、そう聞かれる。


「あぁ、"あの時"のことをどうしても忘れられなくて。」


そう言うと、ツユリは黙り込む。


「…恐ろしかった。」


「…そうだね」


あの時とは、ホワイトスカイから逃げていた。自分とツユリを含めもう1人とホワイトスカイから逃げていた。青流化人に追いかけられ、その時に自分の丁度後ろを走っていた"カルナ・トレード"という人、カルナはツユリにとっての一番の友達。そして、自分にとっては一番の研究者仲間だった。

そして、突如壁から生えてきた青流結晶にカルナは飲み込まれてしまった。縦横無尽に生える青流結晶には恐怖しか残らなかった。そして、なんとか逃げ切って、今に至る。

今何処にカルナが居るかもわからない。青流化人となっているかもしれないし、どこかで生きているかもしれない。

カルナを救うのも自分達の中の一つの目標かもしれない。


「カルナ、今どうしてるのかな…」


「さぁ、…調査しなきゃわからない…」


逃げてきてから、ホワイトスカイには近づいてはいない。なんせ、危険性が高すぎるから。さっき言った青色終末塔は今は青流結晶の核と化している。青色終末塔を崩せれば青流結晶はこれ以上広がらない。けど、実際は不可能に近い。なんせ、素材が硬すぎるから。戦車だろうが特殊青流化人だろうが、絶対に壊せない。


「青流化人達がこちらに近づいていてきている!!」


遠くからそんな声が聞こえる。ツユリと顔を合わせて自分達は下に行き、戦闘態勢に入る。自分達が持っている拳銃の銃弾は特殊な物になっており、対青流化人用と言える。奥を見ると、青流化人はこちらに一直線に向かって来る。ここのリーダー的な人が指揮をとっている。


「撃て!!」


そんな掛け声が聞こえると、自分達が一斉に青流化人に向かって弾を放つ。青流化人の弱点は基本的に右肩と腹部のひし形の場所。そこを撃てば死ぬ。

元人間だということもあるが、少し心が痛む。

だが、安心して成仏させるにはこうしかない。

暫くし、青流化人は来なくなった。負傷者はなし


「お疲れ様。」


ツユリが横から話しかけてくる。銃をどっかに置いたのか、両手をポッケに入れながら。


「あぁ、お疲れ。」


こちらもそう言う。


「取り敢えず、持ち場に戻りましょう。ここに長居してもあまり良くない気がするし。」


そうだな、と言いいつもの研究部屋へと向かう。


「久しぶりだったな、青流化人が来たの。」


椅子に座っては、ツユリに向かってそう言う。


「そうだね、3ヶ月…くらいこなかったのかな?」


青流化人は、人を見かけてはすぐに襲ってくる。武器があれば対抗することはできる。だが、それは特殊な武器を持っていればの話であって、普通の武器じゃ対抗する事は出来ない。3ヶ月前に特殊な武器が発明され、その日以来から青流化人はこちらには来ていなかった。危険性を知って近寄らなかったのだろう。

だが、どうして今頃来るのか。青流化人の中で何かがあったのか、そう思った。


「……青流化人の間で恐らく何かがあった。」


思わず口に出してしまう。


「…確かに、何かがあったのかも。」


ツユリもうんうんと頷く。


「あと、言ってなかったが自分はそろそろこの場所を移動するよ」


理由は"ハルバロス"という場所にいる部下と顔を合わせたかったら。あくまで個人的な感じだ。


「そうなの?じゃあ、私も移動の準備をしたほうがいいかな、?」


「うん、ついてきて欲しい。」


そう言うなり、立って荷物をまとめる。最終的には小さなブロック状になる。これをストレージキューブと言う。実に楽な技術。


「じゃあ、私も色々まとめますね。」


ツユリはそう言うと、自分の部屋に行った。

今更だが、ツユリは自分の部下的な存在。だから付いてくる。


荷物がまとまり、自分は外に出る。ツユリはとっくに終わっていたらしく、既に外に立っていた。


「あ、研究者。」


「ん、そんな呼び方だったっけ。」


普段とは違うことに気が付き、指摘する。


「…別にいいじゃん。」


少し黙ってから言われる。


「ま、いいけどさ。」


「向かう場所は?」


「ハルバロス。」


そう言うなり、自分はツユリとHPFの仮基地から出て行った。



― To be continued

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