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ロックンロールレイズデッド  作者: 和田四季
2/3

A&B&C

・キャラクター紹介

【ルティ・ソリッド】

種族 : 雷竜人

年齢 : 15

レベル : 1

武器 : 短剣(ダンジョン時)、両刃斧(地上時)

魔法 : 加速

趣味 : ギター

プロフィール : 本作の主人公、背中まで伸ばした黒い髪に童顔が特徴の雷竜人。慎重な性格だが、ギターには熱いタイプ。

 雷竜で年の離れた研究者の姉リュディと暮らしていたが、10歳の時にリュディの成果を狙った風竜人に誘拐された。助けに来たリュディに連れられて地竜の辺境の地に移り住んだ。種族の違いで差別を受けていたが、リュディが冒険者として英雄的に活躍したため、次第にそれも和らいだ。14歳の時、姉の戦死をきっかけに冒険者となった。得意な武器は斧だがダンジョンでは扱いにくいため、短剣を用いている。両刃斧とギターは姉の遺品。


【レンド・フレン】

種族 : 地竜人

年齢 : 19

レベル : 2

武器 : ナイフ×2

魔法 : 加力、加重

趣味 : 筋トレ、ダンジョン攻略

プロフィール : 背の高い筋肉質の地竜人。金にがめつく自己中心的ではあるものの、人付き合いがうまく、他人に気をかけることもできる。

 地竜で生まれ育ち、金儲けとモテるために冒険者になった。2本のナイフを使い手数を生かした戦闘スタイルが特徴。アミ、リバウィンとは幼馴染で、強引に冒険者に誘った。パーティーのリーダーではあるが、指示を出したりはしない。


【アミ・フレン】

種族 : 地竜人

年齢 : 20

レベル : 1

武器 : 杖

魔法 : 杭

趣味 : 花の飼育

プロフィール : 目つきの鋭いショートカットの地竜人。口調はきついが仲間想い。パーティー内で一番魔力が高い。

 新婚、家が貧しく、魔法が攻撃系だったため、魔法主体の冒険者になった。


【リバウィン・カッツ】

種族 : 地竜人

年齢 : 20

レベル : 2

武器 : 槌、盾(殴打)

魔法 : 剛体化、回復

趣味 : 貯金

プロフィール : 背の低い地竜人。太っている。

 主体性がなく受け身だが頑固、思い込むと曲げない。勉強は得意。性格が原因で友人がいなかったが、レンドには心を開いている。レンドに誘われたので冒険者になった。



*本編グロ描写あります。

嫌な浮遊感に加えて重力の加速、周りは壁に囲まれ、底は見えない。

「ヤバいヤバいヤバいヤバい…死ぬ、死んじゃう!」

「…フー…フーッ」

「できるだけ手足を広げて接地面積を大きくしろ!」

 少しでも、勢いを落とさないと!

「アミ!、僕たちの真下に壁から脆い杭をたくさん出して!」

「えっ?」

「いいから早く!」

 焦りつつも、アミが壁から土杭を出現させ始める。

「うっ…」

 擦り傷、打撲を作りつつ、層になった杭を砕き、落下速度が軽減される。

「よし!これなら!」

「ごめん…魔力切れ」

 再加速、じわじわとスピードを上げ、落下していく。地面が迫り、ついに衝突するその時、4人の体はゲル状の何かに包まれ、衝撃が吸収された。

「俺、生きてる…?」

「自分、なぜかレベルが上がったんだが…」

 運よく4人はビッグスライムの真上に落下したのだ。一番体重の大きいリバウィンのヒップドロップが致命打となり、スライムの魔力は彼の経験値となっていた。

「何とかなったね?生きてる実感が湧かないや」

「助かったとはいっても、状況は悪いままよ。私魔力切れしてるし」

「まぁ生きてるんだし何とかなるだろ。リバウィン新しい魔法どんな効果なんだ?」

「回復…自分専用だけど」

 すごい!回復系の魔法は珍しい。パーティーの防御を担当しているリバウィンには最高の相性だ。

 スライムの素材を回収し、前方をリバウィン、後方をルティとレンドが担当し、魔力切れのアミが中心で周りの警戒を担当する。

「今、何層ぐらいだと思う?」

「20層より下」

「今どのあたりなのかも分からないし、壁伝いに進みながら上を目指そう。…もしかしたら他の冒険者に合えるかもしれないし」

「そうだな、じっとしていても状況は良くならないだろうし」

 音を頼りに、魔物との戦闘を避けつつ、ダンジョンを進んでゆく。避けられない戦闘ではリバウィンが魔物を引き付けている間に、ルティかレンドが攻撃を加えることで、時間を掛けつつも確実に仕留める。

 幸運なことに20層以上特有の強い魔物と遭遇することも無く、2層ほどダンジョンを上ると、金属を岩石に打ち付けるような戦闘音が聞こえてきた。

「冒険者がいるぞ!」

「向かおう!」

 広い空間で2人の冒険者が"レアメタルリザード"の群れと戦闘している。

 冒険者はベテランのようで、髭を生やした筋骨隆々な男たちの周りには既に息絶えた魔物が辺りに横たわっている。

 赤髭の大男がハンマーを地面に打ち付けるとダンジョンはひび割れ、魔物が吹き飛ぶ。隻腕の男の大剣は同時に複数の魔物を引き裂く。参戦する間も無く、魔物は一掃された。

 赤髭の男はルティたちの方を見ると片手を大胆に振り、話しかける。

「よぉ!同業者、いきなりで悪いんだが食料持ってねぇか?ここら辺鉱石系の魔物が多くて喰ぇねのばっかでよぉ。そこでくたばってる奴らの素材と交換してくれ!」

「…頼む」

と隻腕が続き、ルティは慌てて返事をする。

「お願いします!」

 冒険用の食料には困っておらず、素材との交換なのでありがたく応じる。

 よく見ると二人は"火竜人(ドレイク)"のようだ。めずらしい。

 意図せず、件の魔物の素材を入手したことで、ルティたちは現在地が20層より下であることに気が付く。事の顛末を二人に説明し会話を続ける。

「そりゃツイてなかったな、確かここは21層だ。マップは持ってるか?うむ、現在地はこの辺りだろう」

 マップから20層が近いことが読み取れる。これなら、イレギュラーさえなければ2日ほどで地上に出ることができる。ふと隻腕の男がマップを指し呟く。

「…15層と16層の間で見慣れぬ魔物の群れに出会った。鋭い爪を持つ竜種の魔物だ。貴様らが落下したであろう穴の周りをうろちょろして、邪魔くさかったから切ったが、奴らの適正はもっと下層(した)だろう。」

「 やっぱり知らない魔物だったんだな!下層に落っこちっまったのは想定外だが、逃げたのは正解だったな!」

 目的の素材が手に入ったこともあって、レンドは嬉しそうだ。

「成果は出たんだ。今回の探索はこの程度にして帰還しようぜ」

 パーティーの意見は帰還で一致する。二人の火竜人に礼を告げ、早速20層へと向かう。


-フランクのダンジョン20層-

 なんとか地上へ帰る算段がつき、脅威の排除を聞いて僕たちは油断していた。

 20層を順調に進み、19層まで半分程進んだところで、突然、地響き轟き強い揺れが発生した。

 バランスを崩して、倒れるようにして地に伏せていると、揺れは徐々に強くなり、轟音は右手側から聞こえてくることに気が付いた。

 何とか首をひねると前方には同様に地に伏せる仲間たち、右手側には壁が見える。

「お前ら、大丈夫か?」

 レンドの呼びかける。

 直後、壁が爆散し、砂埃の中、黒い大きな影が眼前を通り過ぎた。強襲だ!

「敵だ! みんな備えて!」

「応!」

「分かった!」

 ………………………………………………。。。

 応答が一つ足りない。

 晴れた砂埃、ちぎれたリバウィンの下半身、そこから流れ出る血液が直前の景色を置き換えた。

 魔物一つの液体の発生源をゆっくりと目で追う。

 発生源を視界で捉えた途端に、それが出す音を知覚する。

『フゥン、フーッ…フゥー……』

 荒い鼻息に加えてグチャグチャと咀嚼音。

 二足歩行の巨大なワニのような魔物、"レックス"がリバウィンを貪りながら新たな獲物(エサ)を見つめて息を荒げている。

 一瞬、何が何だか分からなくなって僕は後ずさる。

 あっ…レンドが魔法を使いながら突っ込んでいった。腰の短剣に手をかけ、慌てて僕も続く。

「グハッ!」

 直後に衝撃、尾で弾かれたレンドごと吹っ飛んだみたいだ。

 アミが後ろで何か叫んでる気がするけどうまく聞き取れない。

 立ち上がろうと動かした手が重量のあるものに触れる。レンドのナイフだ。拾って渡さなきゃ。あれ?手甲もくっついてる。もう一本のナイフも…「うがぁぁぁぁぁ!」レンドのうめき声だ。

 「ャ…嫌ッ…」

 アミはへたり込んで泣いてる。

 レックスは品定めするようにこちらを見つめている。ニタァと笑うと、また鼻息を荒げながらこちらへ向かってくる。逃げなきゃ……無理だ、逃げきれない。

 レックスはアミに狙いを定め、満悦の表情で迫っていく。

 助けなきゃ。短剣を掲げて走る。足に狙いをつけて振り下ろす。返ってきた感触が無慈悲に無意味であったことを告げた。

「逃げろ!」

 アミには聞こえていないみたいだ。動きを妨げるため、何度も切き付ける剣で作れるのはかすり傷が精一杯で、魔物は一切興味をこちらに示さない。

「レンド! レンド! アミと逃げろ! おい!」

 目の端でレンドが動き出したのを確認して、僕は魔物の正面に移動する。せめて、二人だけでも生き延びてほしい。

『ーーーーーーッウォォォォォォォォォォォ!!!』

 狙った餌の横取りを魔物は許さなかった。

急加速。魔物は二人に飛び掛かり、レンドが簡単に弾き飛ばされる。そしてアミの左足を喰いちぎった。

「ッァアッ、グぎゃぁ!」

 言葉にならない悲鳴をうるさいというように、続けて顔面をかみ砕いた。

 静寂を得た魔物は味わうように、ゆっくりと食事をとり始めた。見逃してやるだなんていうまでもなく、そもそもこちらに興味もないのだろう。

 レンドの方を見ると足がひしゃげ、もう立ち上がることもできないだろう。死後なお弄ばれる妻の亡骸を、声も出さず只々見つめるレンドのその表情は見たことのない物だった。

 逃げ出す気も起きなくて、僕はその場にへたり込んだ。

「…ルティ、ルティ」

 コヒュッと掠れた声でレンドが僕を呼んでる。


「ルティ…俺も連れてってくれ」

 レンドはここで死ぬといっている。

 魔法は願いを叶えるための力だ。

 魔法は命を奪うことでのみ強くなる。

 瀕死になった者にできるのは、他者の願いの糧となるか、願いもろとも消え去ることの二択だ。

 命を仲間の糧にすることは、この世界の住人に与えられた"権利"だ。

「……一緒に行こう、レンド」

 レンドの意を汲む。

 レンドに近寄り、腰の魔導剣を右手で掴む。

 握った右手が震えるから、左手を添える。

 そっと、レンドの胸に刃先を押し当てる。

 意志の力では腕が動かないから、体重をかける。

 刃は骨で閊つかえることなく心臓に達する。

 施されていた魔法が速やかに命を奪った。

 

 そして僕はLv.2になった。


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