おふだ夏祭り☆~たゆんたゆん♡な『霊(アレ)』に好かれてから、俺の人生が180度変わった件~☆
「ジャーン! みてみて! 楓っ!」
「お、おはよ。夢葉。朝から元気だな」
眠い。
俺は布団の中で瞼をこすりながら、顔を覗き込む目の前の夢葉の姿を見て驚いた。
寺の朝は冷えるというのに、ツインテールの黒髪を揺らし軽やかにステップを踏む夢葉が、夏祭りの浴衣なんて着てる。
それにしても、む、胸……。浴衣の谷間で揺れている、それ──。
夢葉は17才でしかも幽霊だ。
けれど、妖魔大戦も終わり、夢葉は神様に生き返らせてもらえることになっている。
「なに、その格好? 今はクリスマスシーズンでしょ、夢葉? らしくしなきゃ、ダサくない?」
頭の上の枕もとから聞こえる声──。布団から半身を起こすと、黒音ちゃんが立っていた。
「おはよ、楓くん?」
夢葉と同じく神様に復活の宣告を受けたセクシー幽霊な黒音ちゃん。
黒髪のショートヘアをかき上げる、夢葉よりちょい年上の19才。
黒音ちゃんは、女の子版サンタクロースみたいな格好で、フワフワとした羽毛にミニスカート。
太ももと肩まで伸びる白い肌──と、これまた大きく開いた胸もとが揺れている。
「むぅーっ!」
黒音ちゃんに、赤く頬を膨らました夢葉。
可愛らしいが、膨らんだ浴衣の谷間がチラリと見えては、柔らかに白く揺れる。
「ふふーん、黒音より私のが似合うよね? 楓?」
夢葉。いや、やめてくれ。幽霊とは言え浴衣の谷間を、むぎゅっ!と寄せたその部分を俺の目の前で見せつけるのは。
(鎮めなければ──)
布団から出られず、俺は内心焦る。
(──そうだ)
俺には、百会会長に授かった新作の呪符が手もとにあった。
霊力を補うために俺は呪符使いとして、百会会長から修練を受けている。
俺の下半身──にも、効果はあるのか?
「どうしたの、楓?」
「い、いや。さきに御堂──、朝の勤めに黒音ちゃんと行っててくれないか?」
「フーン。なんか楓、怪し……」
「い、いや……」
夢葉と言葉を交わすと、黒音ちゃんがクスクスと笑っていた。
「楓くん、もしかして、アレ?」
感づいている。黒音ちゃんが、何か言いたそうだ。
「違っ! 新作の呪符を──!!」
俺が、そう言うと──。
(ガバッ──!!)
黒音ちゃんと夢葉がニヤニヤと、勢い良く俺の布団をめくった。
「「 おはよー!! 楓くん!! 」」
「うっ……!!」
幽霊なのに、物体に触れる力のある二人。
こうして、朝から霊力に漲る我が息子が、荼毘に臥された布を突き破るが如く、バチ当たりにも白日の下へと晒された。
清々しい朝の光を浴びて──。