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6、恋愛

「高本さん、高本さん」

「どうしたいきなり」

「恋愛についてどう思いますかっ?」

「いや、ほんとにどうした? いきなりすぎて話が見えてこんぞ?」

「昨日本棚を見せてもらいましたよね? それで一冊読んだので意見交換しませんか?!」


 昨日の夜、豪華な夕食も終わり、風呂に入って寝る準備を始めたとき、稲森と寝室で布団を並べて寝るか、リビングのローテーブルを動かして寝るかを話し合っている時のことだ。

 一応寝室も見てみたいとの要望もあり、つれていったのだ。稲森は、あまりの本の量に目をキラキラとさせ、好きなだけ読んでいいと言った時の、花の咲いたかのような笑顔は、まるで初めてプレゼントを買ってもらった子供のようであった。


 本に囲まれて寝たいとの稲森の意見が採用され、一緒に寝室で布団を並べて寝ることが決まった。知らない男が横にいることよりも、本に囲まれたいと言う稲森の貞操観念を疑ったが……。今後、この子は悪い男に引っ掛かりそうである。


 そんなことは露ほども感じていないのか、稲森は右手に持った一冊の本をこちらに向けてきた。白地に一人の女性が祈るように描かれたその表紙。確か中身は純愛小説だったはずだ。


「意見交換ねぇ……その本読んでからかなり日が経ってるから内容ほとんど覚えてないぞ?」


 確か高校生の時に買った小説で、あまり深くは覚えていない。

 主人公とヒロインがべたべたなまでに愛を囁くストーリーだったことと、主人公の男の子が、好きな女性に嫌われたくない余り消極的過ぎて腹がたった思い出がある。


「それよりも、読むの早くないか? 昨日の今日だぞ?」

「この作家さんが好きで、何回も読んだことがあるので……。内容も話したいですが、折角ですし、高本さんの恋愛観とかも聞いてみたいです!」


 またディープな話題を出してきたもんだ。恋愛観なんてあって数日の人に聞くもんじゃないだろ……。でも、現役女子高生の恋愛模様は少し気になるな。


「恋愛観ねぇ……稲森はどうなんだ? 人に聞く前に自分のを言ってもらわないと」

「え……私ですか? 私まだ好きな人ができたことがないので分からないんですよね」


 女性は、特に思春期の女の子は惚れた腫れたの話題は大好きなもんだと思っていたが、そうでもないのか……。誰々が付き合っただの、別れただの、そう言った噂が大好きな生き物だと思ってたのに……。完全にイメージだけの偏見でしかないが……。


「そういう話は女子は好きなんじゃないのか?」

「そうですね……私の周りの子もそういう話題は多かったですね」

「なら、俺のを聞くよりもそっちの方がだんぜんいいと思うぞ」


 年齢=彼女いない歴ではないが今までに一人としか付き合ったことがない。それもたった三ヶ月。あまり人に言えるほどの恋愛経験は生憎持ち合わせていない。


「いえ、大人の、それも男の人の意見ってあまり聞けるものじゃありませんし。彼女さんいたらさすがに私もその時は家出ないと行けませんし……」


 後半は申し訳ない気持ちが込み上げてきたのか、尻すぼみになりながらも問うてきた。

 まだ、自分に彼女がいるかもしれないと思われるだけかなりの救いではあるが、居ないものはいないし、いたら絶対こんな問題児を家にあげていない。


「いや、彼女はいないが、もし居たとしたら絶対お前を家にあげてない」

「そうですよね……。そんなことになったら彼女さんに悪いですしね……。悪い言い方ですけど高本さんに彼女がいなくて安心しました」

「そうだな。俺に彼女がいないことに是非とも感謝してもらいたいものだな。でも、女子高生に、彼女がいるかもしれないって思われてるのは、まだ俺は彼女ができそうなラインにいられてるってことだな」


 こういう時は無理にでもポジティブに考えないと心がすぐに折れてしまう。

 現役女子高生のお墨付きである。これはすぐにでもモテ期が来ますかね……。人生に三回来るらしいモテ期は未だに一度も来てはいないが。


「そうですね。顔は悪くないですし、優しいですから、モテると思いますよ?」


 おっと、これはかなり上から目線のお言葉で……。

 まぁ、稲森は顔は整っているし、スタイルも悪くない方だ。

 最初見た時は気にしていなかったが、形が分かる程の程よい大きさの胸、決して出てはいないお腹、スラリと伸びる綺麗な脚。服の上から見ただけで実際はどうかは知らないが、いいスタイルをしていると思う。こいつ、かなりモテるのでは?


「そうかい、それはありがと。稲森はモテたりしなかったのか?」

「私はあまりそういうことには興味がなくて……。いえ、興味はあるんです! 書いているのも恋愛小説ですし……。ただ、その……自分に置き換えてみるとどうしても付き合ってるイメージが湧かなくて……」

「よくもそれで恋愛小説を書こうと思ったな……。デートだのキスシーンだの、どうやって書くつもりだったんだ?」

「それは、その……他の小説を読んで想像してみたりとかですかね?」

「はぁ……何か先が思いやられる発言だな……。お前が、小説かけなきゃこの家いつまでも貸すことになってしまうんだが……」


 稲森が提示してきた条件は家事をする代わりに、小説を書き終えるまでは泊めて欲しい。そういった内容だった。つまり稲森が小説を書き終えなければいつまでたってもこの家から出ていってはくれないと言うことだ。


「そうですね……。高本さんにも迷惑かけられませんし、頑張って書きます! その……お願いなんですが、一ついいですか?」

「なんだ? 無茶振りは無理だぞ?」

「いえ、小説を書く時のデートの内容だとか、資料集めだとか付き合って貰えませんか? 今までずっと一人だったので知識が偏ってるんです」


 つまり、本を書く際のイメージ作りのために出かけたり、何か食べに行ったり、観光名所を巡ったりをして欲しいというわけか。まぁ、そのくらいなら手伝える。自分も東京に来てから観光すらしていないからこの機会に外に出てみるのもいいかもしれない。


「あぁ、いいぞ。そんなに毎日暇って訳でもないが、週末はいつも家にいるからな。たまには外に出るのもいいもんだしな」

「……っ!! ありがとうございます!!」


 大きく腰を曲げて頭を下げる稲森は嬉しそうで、楽しそうで。

 夢のために何すべきか。そう考えて動けるうちは苦しくても、楽しくて、人生を謳歌している。自分にはもはやなくなってしまったその眩しいまでの輝きが少しばかり羨ましかった。


 結局その後は二人で好きなタイプや、デートプランや告白の仕方や場所を考えたりと、恋愛感情のない二人の会話とは思えないほどの恋バナと言う妄想に浸っていった。



週一回投稿にすると言いながら、書き始めたら止まらなくなってしまっています。

助けてください()

完全な私見で書いております故皆さんと意見が違うかもしれませんが、そこはこんな考えがあるんだなと温かい目で見てください

感想等いくらでもお待ちしております!!

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