Look×For×Vampire02
「……いいの?」
遠慮がちに問いかけると、レオはにっこり笑った。
「いーよ。オレって優しーでしょ?」
「うん、優しい」
小首を傾げて口元を隠すレオに何度も頷いた。
「見直した?」
「見直した!」
「いいね、素直。ホノカは単純バカで素直なところが良いところだよ。あとお人よしなところもね」
単純というのは良く言われることだ。バカってのにも自覚はあるけれど、他人に言われるとちょっとむっとする。
「ふふ。ぶっさいく」
顔に出ていたのだろうか。それにしても女の子に対して不細工はないと思う。
拗ねているとレオは優しく笑ってアタシの手を取った。
「そんな拗ねないで。さ、オレと一緒に行こうよホノカ。こんなとこでもたもたしてると夜になって青の王が動き始めちゃう。王サマが寝ているうちに近くまで移動して探さないと、もっと遠くへ行かなきゃならなくなるよ」
確かにそうだ。こうしてもたもたしているうちに、サンダーさんがくれたメモの場所からアイゼンバーグが離れていってしまうかもしれない。
「……うん。ありがとうレオ」
手を握り返すと、レオは笑みを深くしてアタシの手を引っ張って歩き出した。アタシは半歩後ろにぴったりついて歩きながらレオの後姿を見た。
嬉しい。レオが来てくれてすごく嬉しい。心がじぃんとする。それに手から伝わってくるぬくもりが心地よかった。吸血鬼って温かいんだなぁ。
手を繋いだまま駅に戻り、アタシたちは新幹線の券売機の前に立った。
「ねぇレオ。お金持ってるの?」
慣れた手つきで画面をタッチしていくレオに問いかけると、レオはふふんと得意げに笑ってポケットから真っ黒なカードを出した。
「ご主人サマに借りてきた。使いたい放題だよ」
「すごい! 初めて見た!!」
これが世に言うブラックカードというやつか! すごい! そんな気はしていたけど、フェリックスさんってそんなにお金持ちなんだ!
「オレはホノカと違って賢いの。ホノカ、一文無しなのに駅まで来て新幹線乗ろうとしたのバカでしょ」
「だって遠いから新幹線使おうとしか思いつかなくて……」
その先のことは思いつかなかった。そこまで言い切るとまたバカにされそうだったのでごにょごにょとお茶を濁す。
「そのおかげでこうして見つけられたんだけど。もうちょっと考えなよ。行動が読みやすいと罠にかけやすくなるから。まぁホノカは自ら罠の中に突っ込んでいくタイプみたいだけどね」
「ぐうの音も出ません」
ちくしょう。その通り過ぎて何も言い返せない。やっぱりアタシって短絡的なのかなぁ。もっと考えろと言われても、そもそも考えることが向いていなさすぎて無理な気がする。
レオが最後の処理を終えると券売機から切符が出て来た。レオはアタシの分を手渡しながら「そういえば」と話を変えた。
「もし行き先が沖縄とかだったらどうするつもりだったの?」
質問にどういう意図があるのか分からなかったが、素直に答えた。
「飛行機に乗ると思う。……お金があったらだけど」
なかったら仕方なく泳いで渡るという選択をしたかもしれない。
「ふぅん。危なかったね」
「えっ何が!?」
何か危ない要素があったか!? いたって一般的なことを答えたつもりだったんだけど。
「吸血鬼はあまりにも高いところには行けないんだよ。飛行機なんかに乗ったら血が沸騰して爆発しちゃうんだって。ご主人サマが言ってた。ちなみに吸血鬼は水に浮かないから泳げないし、海水だと完全に身体が動かなくなっちゃって沈んじゃうからね」
「そうなの!? 泳げないし爆発するの!? 怖! 良かったレオが来てくれて!!」
危ない! 吸血鬼が普通と違うことを忘れていた! まさか飛行機に乗ったら爆発しちゃうなんて思いもしなかった!! 海水では泳げないどころか身体が動かなくなるなんて! 怖すぎる!
心の底からレオが来てくれたことに感謝した。やっぱりアタシ、一人で何とかするなんて無理だ。大人しく頼れる時は頼ろうと決めた瞬間だった。




