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B×B×Vampire(ビービーヴァンパイア)  作者: あまがみ
第3章 Love×Vampire

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Hero×Villain×Vampire03


 エマは天真爛漫で、交友関係の広い女性だった。


 アンナは気品に溢れ、誰からも一目置かれる女性だった。


 二人は当時三十人近くいた眷族の中でそれぞれ中心となる人物であり、それでいて仲が良く争うことがなかった。だから当時のお城には今ほどたくさんのルールが無くても上手くいっていた。


 しかし、エマの妊娠が分かるとその均衡はいとも簡単に崩れてしまった。


 たった一人の愛しい男の子どもを妊娠した女に、皆が嫉妬した。子どもが欲しいのではなく、滅多に子を授かることのない吸血鬼が子を授かり、たった一人の愛しい男にとって特別になったその女吸血鬼が憎かったのだ。


 女吸血鬼たちはあらゆる手段でエマや腹の子を殺そうとした。


 一方、アンナはエマとその子を守るように動いていた。嫉妬についてはもちろんアンナも例外ではなかったが、アンナは理性的で、私情を挟むことなく、他人を傷つけないというルールを守っていたのである。


 日に日にエマへの攻撃は卑劣さを増していった。そこでブランは自分の部屋に隠し部屋を作り、そこにエマを隠すことにした。エマには決して外に出ないように言って、子どもが生まれた後も、子と共に閉じ込め続けた。


 ずっとそれが続いてくれれば良かった。


 しかし、軟禁生活に耐えられなくなったエマは部屋の外へ出てしまった。


 エマの姿を見た女吸血鬼は再び嫉妬の炎に燃やされた。


 愛しい男の子を産んだ唯一の女。大事に隠し部屋にしまわれている女。愛する男の愛を独り占めしている特別な女。愛する男の特別になれない女たちが憎まないはずがない。


 そうして女吸血鬼たちはエマを殺してしまったのである。


 時刻は夕刻。ブランはこのとき眠りの中にあった。


 騒ぎを聞きつけてアンナがやってきた時にはもう、遅かった。エマは駆け付けたアンナに「デインをお願い」と、最後の言葉を呟いて灰になってしまった。


 アンナはその瞬間、怒りで我を忘れた。


 たった一時間で城にいた女吸血鬼を皆殺しにするぐらいの怒りだった。


 ブランが目覚めた時、アンナはエマの灰に覆い被さるように泣いていたのだそうだ。


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