第一章 あとがき
こんにちは。筆者の志茂塚ゆりと申します。はじめましての方も、そうでない方にも、まずはお礼の言葉を申し上げます。
「月下のアトリエ」を読んでくださっている皆様、お陰様で第一章を結ぶことができました。「お陰様」という言葉を使ってしまうと定型文のようですが、読者のかたお一人お一人の支えがあってのことと骨身に沁みて感じております。ありがとうございます。
とても幸運なことに、親しい「なろう作家さん」が、物語更新のたびに感想を伝えてくださったり、Twitterでの宣伝から来てくださった方が、誠意を込めた感想を書いてくださったり、時には経験豊かな「なろう作家さん」が未熟な拙文に的確なアドバイスをくださったり、「読んで感じたことを作家に伝える労を惜しまない、稀有な方々」のお陰で、本作の感想欄はとても賑やかです。これは執筆の上で、とても大きな後押しとなりました。
しかし同時に、じっと無言で本作を読んでくださる読み手の方々の存在も、大変大きなものです。
ここ「小説家になろう」で公開されている作品は、サイトにユーザー登録をしなくても読むことができます。その場合、読み手の方はサイト内ブックマークや評価・感想機能を利用することはできませんが、書き手側からは、アクセス解析機能により、ページビューが増えているということは分かります。その数字が増えることは、つまり、私のまだ存じ上げない読者の方がたくさんいらっしゃるということを意味しています。それが、どれだけ心強かったか。本当に、ありがとうございます。
本作は、二〇一八年九月十三日に初投稿し、大体二~三日おきに一話ずつ更新しながら、十一月二十九日に第一章を書き終えました(ご参考までに、約九万字です)。おおよそ二か月半ですね。その期間で、恐らく十一月二十日に、ページビュー五〇〇〇、ユニークユーザー二〇〇〇に到達しました。
なお、ページビューとは一ページ読み進めるごとに一つずつ加算されていく数字で、ユニークユーザーとは一日に何人が本作のページを訪れたかを表す数です。この数字を見ると、どれだけ沢山の方が本作を読みに来てくださっているのか、想像が膨らみます。三十話ある作品にしては、ユニークユーザー数に比してページビューが少ない印象ですが、ページビューは、目次ページを見ただけでも加算されていきます。もちろん「一見さん」も多いでしょうが、「まだ更新されていないかな」と目次ページを頻繁に確認しに来てくださる読み手の方が多いのではないかと考えております。それが、どれだけ背中を押してくれたか。感謝を言葉に尽くせません。
さて、この物語は、筆者が中学生の頃から温めていたファンタジー作品です。もちろんそのころ思い描いていたものとは登場人物もストーリーも大きく変わりましたが、骨格は大体あの頃のままです。詳しくは二〇一八年十月二九日の活動報告(https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2158488/)に書いているとおりなのですが、もともとはロールプレイングゲームのシナリオとして考えていたものでした。月日が経って、小説として生まれ直しました。
田舎町のよろず屋魔術師アミュウが、義姉のナタリアとともに風変りな牧師・聖輝と出会ってから、身の回りに起こる不思議な出来事に翻弄されていく……その中で、数奇な運命や過去のしがらみに振り回されながらも、自分の足で歩いていこうとするアミュウの成長を描いていこうというのが本作のあらすじです。便宜上、副題に「お仕事譚」などと入れていますが、テーマはそこではなく、人の記憶とは何か、人と縁を結ぶというのはどういうことなのか、切り込んでいけたらと考えております。第一章では、謎ばかり散りばめて、その回収は殆ど全て次章以降へ持ち越しとなっていますが、アミュウの見る夢が何なのか、聖輝の目的が何なのか、ナタリアとの関係は……そういった部分については、後ほど時間をかけてゆっくりと語らせて頂きます。
なお、本章の最終場面、ナタリアが歌っていた詩については、この物語の原型ができた、筆者が中学生の頃に書いたものであり、かなり「若い」詩です。公の場に出すには恥ずかしさもありますが、敢えて当時のまま掲載してみました。筆者は「なろう」で詩を多く投稿しておりますが、最近の作品をご覧いただいている読者さんにとっては、意外に感じられるほど直球の表現ではなかろうかと思います。今となっては、かえってこんなにストレートな詩は書けません。
なお、物語に詩を織り交ぜる書き方は、筆者が小学生低学年の頃から親しんでいた、愛してやまないファンタジー、福永礼三先生の「クレヨン王国シリーズ」に倣っていることを申し添えます。
銀の糸 からまって うごけない
夜の帳 おりてきて 見つけられない
手が届かないのは 私が小さい所為? 世界が大きい所為?
見あげた月は 意地悪で
たまに姿を見せるのに
あえない ふれられない
Moon Light……Moon Light, Again
手のなかに 月のかけら
太陽は もう 無い
Moon Light……Moon Light, Again
雲のなかの 月は孤独で
だから 泣いて くだけたの
最後に、次章の予告をさせて頂きます。まずは新たな人物が登場します。準主役級の彼の登場により、アミュウの見る夢の謎が新たな様相を見せ始めます。そしてもう一つ、ジョンストン・タルコットの庭に呪物を埋めた犯人の正体に、アミュウたちが迫ることになります。
章題は「銀の匙で海をすくう」、一週間ほどお休みを頂いた後に、掲載を開始します。お休み期間中には、頂いたファンアートのご紹介や、これまでの登場人物の紹介、そしてオマケ要素の掲載を考えておりますので、是非また足を運んで頂けたらと思います。
これからも「月下のアトリエ」を、どうぞよろしくお願いいたします。
~ここまでの主な参考文献~
・「日本刀を嗜む」刀剣 春秋 制作(ナツメ社)
・「江戸の短刀拵コレクション」井出 正信 著(里文出版)
・「魔法事典」山北 篤 監修(新紀元社)
・「魔術 実践篇」デイヴィッド・コンウェイ 著(中央アート出版社)
・「禁書 白魔術の秘法」エミール・シェラザード 編著(二見書房)
・「アロマテラピー外来が教えるメディカルアロマ&ハーブのセルフケア事典」菅野 かおり 著 (アスペクト)
・「スローフードな人生! イタリアの食卓から始まる」島村 菜津 著(新潮文庫)
・「散歩で見かける野の花・野草」金田 一 著(日本文芸社)




