表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

ヒロイン、リストラされる。

 私、前世の記憶があるんだぁ。しかもここじゃない、異世界の記憶。


 前の世界でンなこと言った日には、良くて冗談扱い、悪ければ病院送りになると思う。というか、もし私自身が当事者でなかったら、私だって爆笑するか病院を勧める。


 でも、本当なんだ。ユーリちゃん、嘘つかない。


 私、ユーリーン・ディウスは、この世界に来る前、木下優理って名前でJKやってた。

 正直、死因とかは一切覚えていない。本当はこれは夢で、現実の私は死んでなんていないのかも知れないし、あるいは現ユーリーンとしての私が脳内で捏造しただけの過去なのかも知れない。そのレベルで何故私がここに居るのか、私には分かってない。


 で、まあ、その元JKがね? 今、ファンタジーの……しかも、ゲームの世界にね、居るんですよ。

 今流行りの『異世界転生』ってやつだと思うんだけど、輪廻にも流行り廃りがあるんだなって、ちょっと関心。


 簡単に説明すると、ここは剣と魔法の王道ファンタジーRPG、『最果ての記憶』っていうゲームの世界なんだ。

 何で分かるのかって? 私の名前と外見が、そのゲームのメインヒロインと完全一致するからですねー。


 話を戻そう。

 『最果ての記憶』は、記憶喪失の青年が主人公で、自分の記憶を求め、仲間達と旅をする物語。勿論、最終的には色々あって魔王倒すことになるよ!


 で、『最果ての記憶』において欠かせないキャラクターのひとりが私。ユーリーン・ディウス。

 ユーリーンは地方の田舎貴族のひとり娘なんだけど、まあ、色々あって、主人公の旅に同行することになるのね。……さっきから色々で端折ってるけど、本当に! 色々あるんです!


 話戻すよ。結構女の子のキャラが出てくるこのゲームにおいて結構終盤に仲間入りするユーリーンなんだけど、そのユーリーンがメインヒロインとして扱われる理由は、たったひとつ。


 ユーリーンは、実は、聖女の卵なのだ。


 ……なのだっ!


 具体的には、聖剣を入手するための鍵のような役割に始まり、魔族の汚染された土地を旅する時のバリアー的な役割。それから大事なことなんだけど、実は正体が半魔族!の、主人公の精神的サポート。これが、物語のメインヒロイン、ユーリーン・ディウスに課せられた大きな役割。

 特に最後のが割と重要で、主人公が精神的にこう……暗黒面?に落ちると、最終的に主人公は第二の魔王となって、世界に君臨してしまう。それを謎の聖女ぱうわーで癒すのって、凄く重要なの。


 魔王討伐の旅に、ユーリーン・ディウスが居ない。

 ここは、たったそれだけの、偶然起こり得てしまう可能性で滅んでしまうような、そんな世界なんだ。


 だからね、私、頑張った。

 夢かも知れない。妄想かも知れない。でも、たったちっぽけな可能性で、世界が滅んでしまうよりずっといい。

 だから、ずっとずっと、もしその時が来たら足手まといにならないようにって、私、すごーく頑張った!


 のに、何でこんなことになったのかなぁ?


 物語のメインヒロインこと、私、ユーリーン・ディウス。

 つい今朝方、その主人公パーティーに、置き去りを食らいました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ