第一回:首を絞める
一回目から物騒な事を言っているようですが、自身の体験しか書かないので犯罪はありません。
まず初めに、皆さんは首を絞められたいと思ったことはありませんか?
私は、塾で机に向かっていたときにその衝動が起こりました。
まるでピアノ線で首を持ち上げられたかのような感覚と、このまま頭が落ちてしまうのではないかという不安感が入り交じり、混乱していく内に、自分を自分で絞めていたのです。
小説を書く、この手で。
死に対する不安というものは、同時に、解放されて快楽を得たいという異常さを醸し出すのでしょう。
でも、知って欲しい。
異常な考えだと揶揄する前に、この考えが皆の中に眠っていることを。
私はこれを《潜在的嗜好》と呼び、この潜在的嗜好を持っている全ての人は快楽を求め、死のうとする考えを持っている事を知って欲しい。
脳に血が流れなくなり、弱り行く様を誰かに見られている訳でもなく、締めつけられていく感覚を首で感じ、指の間隙に助けを求めて強まる力を感じて快楽を覚え、さ迷う事を。
知って欲しい。
私は自分の首を絞め、ロープで首を縛ろうかと思った。しかし、死ぬのは恐くて無理だった。
いくら絞められる事が嬉しくても、死ぬのはまた違う。
この事から言えるのは、潜在的嗜好は死ぬ事の恐怖があってこそ沸き立ち、吊る真似事で終わらせるのが正しいということです。
行きすぎたのは嗜好とは言わない。
それは嗜好に沿わない。