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2回目   

ようやく2話です。ふでが遅いもので・・少しづつ書き溜めています。2/8改編しました。内容は変わりません。

さて、今更だが、なぜ俺が生まれ変わったなどとほざけるのか、と言うとおテンプレ通り、俺には前世の記憶なるものがあるからだ。

前は人間で(ササキ ケンジ)という、よく言えば凡庸な、悪く言えば何の取り柄もない男だった。

思い返せば、ただ、毎日、真面目に会社に行き、家に帰る。要約すればたったそれだけの人生だった。伝書鳩みたいな、なんとも味気ない人生だったな。

というか、今はそれぐらいしか思い出せない。おおまかなこと、名前や家族がいた事などはわかるのだが、それ以外はモヤがかかったようにぼやけていてよく思い出せない。

もっと言えば自分の最後がどうだったかも思い出せない。

まあ、それは思い出さなくてもいいか、わざと忘れている可能性もあるのだ。碌な事にはならないだろう。

まあ、今更だしな。


ともかく、今度の人生は、もとい猫性は目一杯楽しむとしよう。なんせ知識と経験値だけは豊富な訳だし、アドバンテージとしては充分すぎるのだ。



今回の俺の母上様は黒猫だ。ただ黒いってだけじゃない、その毛並は艶やかでその光沢は白金色に輝いており、気品を感じさせる。しかも、瞳の色はエメラルドグリーンで文字通り宝石のように輝いており、その奥に深い知性さえも感じさせる。こんな猫を俺は今まで見たことがない。もし、オークションなどに出品されればとんでもない値段になるのではないだろうか?

どう見てもただの猫ではない。

暇があれば俺を身体中、飴玉のごとく舐め回す癖がなければ完璧な母といえるだろう。

間違いなく彼女は飼い猫で、間違いなく飼い主は超金持ちだろう。

俺が生まれた部屋やその調度品からしてもそれは容易に推理できる、何せそれらがすべて高級品なことぐらい素人の俺でも見るだけでわかるぐらいだからだ。

それにしても、黒猫でエメラルドの眼って、まるで物語に出てくる猫妖精=ケット・シーみたいだなと思いながら、ジーッと彼女を見ていると

(ピロロロン)

突然、どこからか効果音が鳴り響いたかと思ったら、右端の空中に次のような文字が浮かび上がった。


マリア・ココ 2歳(人間で言うと20代半ば) 

猫妖精ケット・シー

猫の王族に連なるもの

魔導士 ラジューエル・ギガクリアの従者


(ぶっ!なんだ、これ?猫の王族?魔導士?しかもホントにケット・シーって・・)

あまりのファンタジー用語の羅列に俺は思わず失笑してしまった。もし今も俺が人間だったなら間違いなく眉唾な情報に苦笑いを浮かべているだろう。

それにしても、これはなんだろう?

まるでゲームのステータス画面みたいだ。もしかして猫って奴は本来こんな能力をもっているものだったのだろうか?

俺は一応確認のため、他の兄弟姉妹達も同じようにして見てみる。

そんじゃ結果発表!


名無し オス  猫妖精ケット・シー生後十日


名無し メス  猫妖精ケット・シー生後十日


名無し メス  猫妖精ケット・シー生後十日


名無し オス  猫妖精ケット・シー生後十日


と、内容的にはたいしたことはなかったが、兎に角、これは想像通りのものだろうとなんとなく理解できた。

これは鑑定の能力だ。

何でこんなものがあるのかわからないが、別に気にしなくてもいいだろう。何しろ初めて猫に生まれ変わって判らない事だらけなのだ。

それはそれとして、俺は先程から表情が緩みっぱなしだ。

俺の兄弟姉妹(正確には俺は長男らしいので弟妹達)も母猫マリアにそっくりの黒猫、翠の眼で、その瞳がクリクリっとしていて毛がフッサフサなのだ。しかも子猫なので手足が短く、それがちょこまかと動くのだ。

要するにメッチャ可愛い。猫好きの俺には堪らない状況だ。

今すぐに抱き上げてスリスリして、グリグリして、モフモフしたい。

いや、もう、しちゃっている。

俺も子猫だから結果的にはじゃれ合いになっているのだが、つまりは子猫まみれなのだ。

こんなに幸せでいいのだろうか?

ああ、猫最高!

そこへ母猫マリアが乱入!またしても俺は耳の先からお尻の穴まで身体中を舐められてゆく。

ああ、猫微妙~

どうやら俺は彼女のお気に入りに登録されているらしい。

弟妹達と比べると明らかに舐られる回数が多いのだ。

母猫がお尻の穴まで舐めるのは子猫達の排泄を促すのとその後始末のためで子猫はもう少し大きくなるまでは自発的に排泄が出来ないという理由がある。

だが、それ以外の場合にも事あるごとに舐められる—清潔を保つためと愛情表現なのだろうが控えめにしてほしい。

特におしりを舐めた直後に俺の顔を舐めてくるのはやめてくれ。

はあ、母の愛が重い。

はあ、俺の顔が臭い。

俺の何が彼女を執着させるのだろう?

これと言って思い当たる節は全く思い浮かばない。

俺が長男だからだろうか?

それとも、未だ開かない左眼が心配だからか?

思い当たるのはそれぐらいだ、他は弟妹達と大差がないはずだ・・・

ふと、俺は自分の体を見てみる

(・・・・・・・・・・)

(・・・・・・・・・・)

あれ?俺の手・・・・・・・・・・・・・・・・・白いな・・・

お腹も・・足も・・シッポも・・白い、白いよ、まあ・・綺麗に真っ白・・

・・・・・・・・・・・・

俺って黒猫じゃないのかよ!

なんだよ、見つかったよ。これだよ、原因は!

しかも、こんなわかりやすい。文字通り一目瞭然だよ

そりゃあ、母猫が気にするわけだよ、そりゃあ俺だけ見たまんま毛色が違うからな。

よくよく思い返せば自分の体を確認したのは今が初めてだったし・・・・周りが全員黒猫だったから、先入観で自分もてっきり黒猫だと思ってしまったのは仕方ないことだ。

うんうん、仕方ない、仕方ない、俺は悪くない、

俺は無実だ!


まあ、原因がわかっても状況は変わらない。もう少し大きくなったら早めに自立しよう。

そのためには今は一先ず眠るとしよう。


寝る子は育つ—だ。



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