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我輩は鹿である。

作者: 葛籠

「我輩は、鹿である」

奈良のある場所に、住んでいる。

同じ服を着た、人間の集団は嫌いだ。

キャーキャーうるさいし、むやみに我輩に触ってこようとする。

何が珍しいのか?

我輩の仲間たちは、周りにたくさんいるのに、謎である?


人間がくれる、食べ物は好きである。

あの、繊細な味は自然界に無い物で、中々の美味である。

あの食べ物をくれるなら、少しぐらい触れさせても良い。


あそこに、食べ物を持った人間が立っている。

食べに行くとするか。

人間に近づいていく。

食べ物を差し出され、ムシャムシャ食べる。

美味である。

人間が我輩に話しかける。


「美味しい?」


我輩は、何も返事をせずに食べ続ける。

人間は、話し続ける。


「私ね。好きな人がいるの」


どうやら、この人間は恋をしているようである。

人間は、面倒くさい生き物だ。

そのてん我輩たちは、簡単だ。

好きなメスがいれば、この立派な角で戦えば良いだけだ。

この人間はどうやらメスのようである。

人間のメスが、話を続ける。


「あそこに、座ってる人。まだ話した事ないけどね」


そう言うと、人間は少し離れたベンチを眺めながら、

我輩に食べ物をくれる。

我輩はムシャムシャ食べながら、ベンチを見た。

人間で言う所の、良いオスが我輩達の絵を描いている。

立派な角は無いようだが。

どうやら、あの人間のオスの事が好きなようだ。

しかし、この人間のメスは我輩に話してどうしたいのだ?

人間は謎である。

人間のメスは、人間のオスを眺めながら我輩にたくさんの食べ物をくれた。

ムシャムシャ食べる。

美味しい食べ物を、お腹いっぱい食べて、我輩は上機嫌である。

人間のメスは、まだ人間のオスを眺めている。

話したいなら、近くに行けば良いのに。

人間は、面倒くさい生き物だ。

我輩は今機嫌が良い。

たくさんの食べ物をくれた事だし、助けてやるか。

人間のメスの鞄をくわえ、歩き出す。


「ちょっと!!」


人間のメスが、慌てて我輩を追いかけくる。

我輩は追いつかれないように、スピードをあげる。

人間のメスが追いかけてくる。

我輩は人間のオスの前で、鞄を離した。

人間のオスが、何事かと我輩を見つめている。

人間のメスが我輩に、追いついて立ち止まる。

我輩は素知らぬ顔で、2人の人間を眺める。

きっかけは、つくってやった。

人間のメスが口を開いた。


「あの、その鞄、私の何だけど…」


人間のオスが微笑んで、鞄を手に取った。

中々の良いオスである。

何度も言うが、立派な角はない。


「はい」

「ありがとう」


人間のメスは、恥ずかしそうに話を続けた。


「絵書くの、好きなんですか?」

「ああ。上手くないけどね」

「見せてもらっても良いですか」

「良いよ」


人間のメスが、ベンチに座り楽しそうに話しだした。

人間のオスも楽しそうに話している。

我輩は、その場から立ち去ろうとしたら、

人間のメスが、我輩を呼び止めた。

我輩が振り向くと、人間のメスが携帯と呼ばれる機械で、

我輩を写した。


「ありがとう」


我輩は何も言わずその場を立ち去った。


「我輩は鹿である。人間がくれる食べ物が好きである」




END


なんとなく書いてみました。

読んでくれてありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良いお話でした。
[一言] 最近奈良に行って鹿にじゃがりこあげてきましたが、こんなこと考えてたのかあ…と思いました(´▽`) 面白いです。
[一言] 夏目漱石の「吾輩は猫である」をまねてますね。私はそういうのは好きじゃありません。こういう作品を快く私は思えません。鹿に人間の性別の区別がつくかというのも疑問です。人の作品をマネするのは芸がな…
2006/08/03 13:07 グレイト真田
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