少年の心を持つおっさん
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目を覚ますとそこは、天国でした。
ふかふかのベッドにふかふかの枕、そして、回りに何の知識が無い俺が見ても、とんでもなく金がかかっているとわかる豪華絢爛な家具。
あー、そうか。今までのは、全部夢でこちらが現実なんだな。
考えて見れば、俺どっかの王子だった気がしてきた。
「おおー、目が覚めたか。」
声が聞こえた。
それも渋い声が、
辺りを見渡すが、この部屋にいるのは、俺だけだ。
「ああ、ここだ。ここ、上だ上。」
俺は声の指示どおり上を見るとそこにいた。
おっさんが。
黒い髪をオールバックにしたダンディなおっさんが。
いや、正確には、天井に逆さまで張り付いていた。
「うわーー。」
俺は、情けない叫び声あげ目を覚まして数十秒なのにまた意識を失った。
目を覚ますとそこは天国でした。
いや、さっきもこれ言ったな。
そんなわけで、目を覚ました俺は、さっきと同じ部屋にいた。
一つ違うのは、さっきのおっさんが俺の横で、腹を抱えながら、必死で笑いをこらえていたくらいだ。
「ぶっふふ はー実に良い反応だった。 張り付いていた甲斐があるというものだ。思い出したらまたブッくっくく。」
愉快に笑うダンディなおっさんは、イタズラに成功した少年そのものだった。」
「ふー、よし落ち着いた。そういえば自己紹介がまだだったな。
私は、マルティ=ノーヴァ=エドルフだ 。
君の名前は?」
「あー、やっぱり俺王子じゃ無いんだ。」
「ん?王子?」
「いや、なんでもないです。そっそうだ 名前でしたね。 俺、大沢 治です。」俺はさっきまで考えていた俺王子説(願望)が散ったので恥ずかしさを紛らわすため早口で言い切った。
「オオサワ オサム?」
ん?聞き慣れない名前だったのか? そういえば、おっさんの名前洋風バリバリだったもんな。
「あー、珍しいなら、俺のことオサって呼んでください。いつもそう呼ばれてるんで。」
「では、オサよ。なぜ、魔の森で倒れていたんだ?」
そこにあったのは、先ほどの少年の顔でなく年相応の厳しい顔だった。
……………
おっさん が言うにはあの森は、大変危険らしく魔物がうじゃうじゃいて普通の人は、まず入れないらしい。
おっさんは偶然散歩していたら倒れていた俺を見つけつれ帰ったそうだ。
いやいや、普通の人は入れないんじゃ無いのか?
それを散歩って!
おっさんもしかしてめちゃくちゃ強いんじゃないのか?
「では、もう一度聞くぞ。なぜ、あそこで倒れていた。なぜ、あそこにいた。」
「倒れていたいたのは、デカいオオカミの群れに襲われていたからです。」
「むっ それは王狼か。
もしそうだとしたらよく生きていたものだ。あれはあの森、1、2を争う強さだ。」
……よく生きていたな俺。ていうか、ホントふざけんなよ神様のバカヤロー。
「よし、倒れていた理由はわかった。次はなぜあそこにいたかだ。」
いや、別にいいだろ。おっさんに召喚の話しても。
おっさん悪い人にみえないし。
どうせ、頭がおかしいとか王狼に襲われたショックでどうにかなったんだろうとかぐらいに思われるだろう。
だから俺は、話した。涙なしでは語れない神様による理不尽かつ残酷な勇者召喚の顛末を………
話し終えるとおっさんは口をOの字に開けて、ぽかんとしていた。
そりゃ、そうだこんな話し誰が信じるんだ!
「………すごい。」
……えっ?今なんと?
「すごい、すごいぞ オサ。君は神に選ばれた異世界の勇者なんだな? どうりで君の名前が珍しかったり服が見たことの無いものだったんだんだな。」
「えっー! 信じてくれるんですか?こんな話し。」
正直めちゃくちゃ嬉しい、こんな話しを信じてくれるんだから、でも でもだ。 同時にこんな話を信じてくれるおっさんの頭を心配してしまう。
そんな俺の表情を察してか
「はっは、心配しているのか、私の頭を。大丈夫だ私は相手が嘘をついているかいないか、『一族の力』でわかるのだよ。
くっくく、それにしても面白い。世界は、まだまだ私を楽しませてくる。」
そこには、新しいおもちゃをもらって、イタズラを考える少年の顔があった。
ええ、もちろん俺はその顔を見た瞬間、後悔しました。
くそ、誰だ。おっさんが悪い人にみえないとかいったのは!
早くヒロインを出してやりたい今日この頃です。