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敵国の王に白い結婚で嫁いだ冷遇姫ですが、なぜか溺愛されています〜えっ?あのとき助けた亀はあなたでしたの?〜  作者: しましまにゃんこ


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7 浮気者?

 ◇◇◇


 ピアラが海亀との再会を喜んでいると、カイがつかつかと近寄ってきて、いきなりビリっと引き剥がされた。

「……浮気者……」

 ボソリと呟くカイ。

「はぁ?」

 ピアラはカイの言葉に思わず呆れてしまう。この人は、海亀相手に何を言っているのか。せっかくの再会に水を差されたことに、ピアラはムッとして口を尖らせる。

「この子は私のお友達です!小さい頃一緒に遊んだの!」

「……絶対違う」

 プイッと顔を背けるカイ。

「絶対にこの子です!こんな大きな亀、ほかに見たことないもの!」

「そのくらいの大きさの海亀は、そこら辺にごろごろいる。ほら、あそこにも……」

 カイが指を差した方向には、そこかしこで気持ち良さそうに日向ぼっこをする海亀の姿があった。

「大きな海亀がこんなにいっぱい……じゃあ、あの子はこの国の海亀だったのかしら……あのときは、うっかり上がる砂浜を間違えちゃったのかな」

 ポツリと呟くピアラ。

 再び抱きついた海亀を見てみると、どことなく雰囲気が違う気もしてきた。

「……あなたの言う通り、海亀違いだったかも」

 しゅんとするピアラ。


 カイはしばらく考えてから、こんな言葉を口にした。

「その海亀にしかない特徴を覚えていないのか?」

「特徴……」

 ピアラは小さな頃一緒に過ごした海亀の姿を、思い出す。

「目が大きくて可愛かったわ。真っ黒でくりくりしてるの」

「他には?」

「甲羅の模様が可愛かったの。そうそう、流れ星みたいな模様があったわ」

「他には?」

「見たら絶対に分かるわ!……さっきは、他の海亀を見たことがなかったから、間違えちゃっただけよ」

「なるほど。ここは海亀が良く休憩に来るから、そのうち会えるんじゃないか?……すまないが、俺はそろそろ仕事に戻らなければ。君は、どうする?」

「もう少し海を見てるわ」

「分かった。夕方になると風が出てくる。あまり遅くならないようにな」

「ええ。ありがとう」


 王宮に帰るカイの背中を見送った後、再び海を見つめるピアラ。

 この海の向こうには祖国があるのに、海を隔てるとまるで別世界のように遠く思える。

 あの国に未練なんてない。そう思っていても、見知らぬ国で暮らす身となった今、こうして海を眺めているとほんの少し心細さが募る。


「あの子は今、どこにいるのかしら……会いたいわ……」

 ピアラがポツリと一粒涙を流したそのとき、岩の影から巨大な甲羅がのそりと姿を現した。

 巨大なヒレを動かしながらゆっくり近付いてくる海亀に、目が釘付けになる。

 デカい。それはもう、ほかの海亀とは一線を画すほどのデカさだった。


 けれども、その大きな甲羅の中に、子どもの頃流れ星のようだと思った模様を見付けたピアラは、今度は恐る恐る、その巨大な海亀に近寄ってみる。ピアラの近くで立ち止まり、じっとして動かない海亀の周りを、くるくる回りながら観察するピアラ。

 そしてようやく、恐る恐る声をかけてみる。

「もしかして、あなたはあのときの……」

 ピアラが言い終わらないうちに、大きく頷く海亀。

「やっぱり!すぐに分かったわ!会いたかった!!!」

 ひっしと甲羅に縋り付くピアラ。

 けれど、その海亀が、若干不服そうにピアラを見つめていることには、気が付かなかった。


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