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敵国の王に白い結婚で嫁いだ冷遇姫ですが、なぜか溺愛されています〜えっ?あのとき助けた亀はあなたでしたの?〜  作者: しましまにゃんこ


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1 ルミエル王国の勝ち気な真珠姫

 ◇◇◇


 大陸の端。周辺に美しい海の広がるルミエル王国。とても小さな国だが、この国には比類無き宝があった。

 この国の王族は皆、男女共に大変美しく、圧倒的な美貌で周囲を虜にしてしまうことで有名だったのだ。

 特に姫君たちは、その輝くような美しさから『宝石姫』と呼ばれており、大国の王侯貴族からも、求婚が後を絶たないほどの人気ぶり。

「男なら一度は手に入れたい至極の宝石」

 と言われるほどに、その美しさを誇っていた。


 現国王には5人の姫がおり、いずれ劣らぬ美姫として名を馳せていたが、中でも特に美しいと評判なのは、真珠姫と呼ばれている末の姫君、ピアラ姫だった。

 細くしなやかな体に長い手足。傷一つ無い滑らかな肌に、光を浴びると虹色に輝く真珠色の髪。

 そして、夢見るような瑠璃色の瞳は、当に海の至宝、真珠姫の名に相応しい美しさだった。


 誰もが溜息を付くほど美しい真珠姫。

 けれど、姉姫たちがチヤホヤされるなか、ピアラ姫に近づこうとするものはいなかった。なぜなら、彼女は『異形』だから。

 生まれつき彼女の太腿にある鱗のような皮膚。最初にそれを見付けたのは、ピアラ姫を取り上げた産婆だった。何度となく治療を試みて、あらゆる薬を試してみたけれど、その鱗は、何度剥がしても生えてきてしまう。

「何かの呪いでは……」

「変な病気なのでは……」

「美しいのに可哀想に……」

 囁きの中で、今日も一人、遠巻きにされるピアラ。


「あら、また一人なの?」

 姉姫の一人が、会場の隅っこでポツンと一人佇むピアラに、クスクスと笑いかける。

「ねぇ、誰か妹と踊ってくださらない?」

 姉姫の言葉に、しんと静まり返る会場。関わりたくないとばかりに、誰もがそっと、目を逸らした。

「あら。ごめんなさいね。こんなに沢山の殿方がいるのに、誰もあなたとは踊りたくないみたい」

 勝ち誇った目でピアラを見下す姉姫。

(相変わらずね)

 ピアラは姉姫を無視して、持っていたワインを一気に煽ると、気にせず料理を食べ始めた。

 ピアラの態度に苛立ちを募らせる姉姫。

「ほんっとうに可愛くない子!可愛げがないったらないわ。姿が醜いのだから、少しでも殊勝な態度が取れないのかしら」 


 今にも手に持ったワインを浴びせようとしたそのとき、静かな低い声が響いた。

「踊ってくれるか?」 

 がっしりとした体付きに、骨張った大きな手。男らしい太い首と、顎のライン。けれど、知的で落ち着いた様子は、その場にいた誰よりも、威厳を感じさせた。

 ピアラは、ピアラに向かって、真っ直ぐに手を差し出している男をしげしげと見つめた後、

「いいわ」

 とだけ言ってダンスに応じた。


 演奏隊の音楽に合わせ、どこかぎこちないステップで、踊る二人。それを見た諸国の貴族たちは、驚きを隠せなかった。

「あれは、いくつもの島を統べる海洋王国、トルティアのカイ・トルティア国王陛下じゃないか?」

「人嫌いと聞いたのに、なぜこんなパーティーに……」

「トルティア王国とルミエル王国は、隣接する海の利権を巡って対立していると聞いたが……」

 ざわつく周囲の視線に、大国の王がピアラをダンスの相手に誘ったことが面白くない姉姫たち。

 ピアラの脚に鱗があることが広まったのも、ピアラの美しさに嫉妬した姉姫たちが言いふらしたのが原因だ。


 ダンス中カイは一言も喋らずに、じっとピアラを見ていた。ピアラもまた、一言も喋らずにツンとした態度で踊っている。そして、一曲踊ると礼をしてとっとと食事に戻るピアラ。


 カイはピアラの後ろ姿を見送った後、静かに会場を後にした。

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