失言が及ぼすもの
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そんなこの模倣犯事件が、新たな混乱を招く。
この模倣犯に乗じて、米村修一議員、山上理議員、大西博司議員のフェイク画像が大量にSNS内で飛び交った。
それがどんな画像かというと、ライフルを突きつけられて泣き叫んでいる画像。3人それぞれの選挙写真に黒いリボンが付けられたモノや顔の周りを花で飾った画像である。
この様な不謹慎なフェイク画像は、その他のリベラル色の強かったSNSで批判の対象になっていた国会議員のモノが大量に作られて拡散した。
このような画像は、名誉毀損罪にはなるだろうが、決して殺害予告ではない。
その様ないろいろな画像が軽く500種類以上に作られたのだ。こんなに一度に大量では、警察も捜査の仕様がない。
別の手段として、弁護士に相談して開示請求をしようとした議員もいたが、それを特定するまでの時間とそれまでの費用を説明されて諦めた。
弁護士でもあった米村議員と山上議員も、それは同じであった。
ただ山上議員に至っては、かなり諦めの悪い抵抗をしたことで、彼のSNSは大炎上してしまった。
山上議員は自身のSNSで、こんなことを呟いた。
「昨今のSNSでは、あまりにも目に余るものがあります。この様な規制もなにもない無秩序の世界に一体何があるのでしょうか。いまこそ政府主導で国民の感情をコントロールしていくべきです」
そう呟いた。
政党支持率が、わずか2%の共産系野党の国会議員のこのつぶやきにネットユーザーからは50万件を超える非難が集まった。
山上議員は、このポストを削除して、SNSから逃走したが、現実世界でも有権者に取り囲まれて直接非難を浴びてしまう状況となり、命を狙われているという恐怖心が限界を超えて、事件からわずか2ヵ月後に自ら議員辞職した。
二度命を狙われた米村議員は、完全に雲隠れしてしてしまい消息不明だ。
これが現代のSNSとデジタルタトゥーの恐怖だ。
いくら国会議員であっても、たった一人が大勢の心有る民衆に囲まれて、自らの失言に対して一斉に非難を浴びたのだ。精神が持つはずがない。
もちろん、そんなことは意に返さない者もいるが、山上議員はそうではなかったらしい。
これまでこの国では1960年代以降に、暴動という暴動は起きてはこなかったが、近年は省庁に対するデモ活動や、首都自治体トップへの辞任要求デモ、
前首相への辞任要求デモなども行なわれるようになっている。
もはや、政治家が当選したからといって、なにをしてもわからないと国民を欺けられていた時代は終わったのである。
このことは、地方にも伝播した。




