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ANOTHER RAIN(アナザレイン) -国会議員連続狙撃事件-  作者: 志村けんじ


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4/8

SNSでの反応


 この国会議員がレンタカーで移動しているという事実は、すぐに知れ渡りSNSでの笑い事になった。


「国会議員がコンパクトカーの後ろに乗って移動だなんて、マジ笑えるー」


「でも、いまどきのコンパクトカーなら、屋根も高くて車内が広いからいいんじゃね」


「せっかくなら、撃たれても大丈夫なように、自衛隊の装甲車を用意してあげれば」

 などの声が上がった。


 国会議員の中にも、これをすんなりと受け入れる者と、断固として受け入れない者とで完全に二極化した。


 断固として受け入れられない側の意見として、「みっともない」がほとんどで、もう一つは「自分は命を狙われるような心配はない」が少しいた。


 すんなりと受け入れた側の意見として、「別に職務に支障をきたさない」がほとんどで、「自分は命を狙われている危険性がある」が少なからずいた。


 この事も不満を漏らした国会議員のSNSから発信されて拡散されると、これも瞬く間に話題となったのだが、その質はまったく別のものだった。


 それは「命を狙われる」という点である。


 「命を狙われる心配はない」としている方は、全員が「保守色の強い議員」で、「命の危険がある」という方は、「リベラル色の強い議員がほとんど」だったからだ。


 そのことによりSNSでは、「自分は命の危険がある」とした議員に対して、それが誰なのかは特定しないまま「スパイ疑惑」が持ち上がる。


 先の狙撃された国会議員3人も、それ以前からSNSで「亡国のスパイ疑惑があった人物」たちである。


 但し、この狙撃された3人については、「事件の強いショック」「強い精神的疲労」を理由に完全警護の安全な病院で療養中である。


 そしてもう一つ。一部の国会議員の不満を解消する目的で、回せるSPを希望する国会議員たちによるくじ引きで割り当てることとした。



 そんな中、最初の狙撃事件から1ヵ月を過ぎて、ようやく対物ライフルの種類が特定される。


 使用されたのは、マクミランTAC‐50対物スナイパーライフル。


 このライフルは世界中でかなりの数が流通していて、YouTubeなどでも一般の銃器マニアなどが射撃しているものも見ることができる。



 それなので、もし仮に狙撃したスナイパーがプロだとしたら、全部バラバラにして別々の日付・場所から国内に持ち込んだ事も考えられるので、特定は完全に不可能と言える。


 この段階で、この狙撃事件は完全に暗礁に乗り上げた。


 証拠は発射された弾丸以外はなにも残されてはいない。銃器の種類は特定したが、その入手経路は未だ不明だ。


 この先の見えないトンネルの中で、捜査員たちは疲弊していた。



 そんな中、夜中に米村議員が入院している部屋の外壁に2発のライフル弾が撃ち込まれた。


 この病室は4階で、目の前は15階建てのオフィスビルが2棟。その距離はたった120mである。


 外壁に刺さった弾丸の角度から推察するに、屋上から狙ったようだ。


 銃声ではないが、「バシュ!」「バシュ!」という籠った音を聞いた者がいる。


 ライフリングからもレミントンM700とだと断定されたが、その弾丸が.300Win.Mag弾ではなく、.223レミントン弾と異なる。


 第一に、今回の狙撃事件は、米村議員には当たらなかったという共通点はあるものの犯行手口があまりにもお粗末すぎる。


 それなので3日目には、その病院の壁を撃った犯人はあっさりと逮捕された。


 犯行動機は、単純に米村議員に前々から恨みを持っていたことと、脅し目的で事件を真似たそうだ。いわゆる模倣犯だ。


 銃声を小さくするためにある映画を真似て、ペットボトルの空容器でサプレッサーもどきを作って、一度人がいない場所で試してから犯行に及んだそうだ。


 そう。この連続狙撃事件は、そんな単純なものではないはずだ。そうでなければ、こんな用意周到に犯行を実行するわけはない。



「だから、ずっとずーっと、この事件はなにかがおかしいって、ずっと言ってきてる!」

 宮下結子はこの狙撃事件について、また叫んでいた。


「だから、一度落ち着いてください宮下さん! そんなのみんなもう思ってますって!」


「みんな思ってるって、どれぐらいの数? 何人?」

 宮下は、絶対に答えられないことを小林に聞き返す。


「そんなのは、もちろんわかりませんけど……」


「でしょう! わたしがおかしいと思ったのは、今回の模倣犯による狙撃事件。これももしかしたら、彼らの犯行目的の一つじゃないかって」

 宮下は、また意味深に自らの推察を言う。


「そんな馬鹿なことあるわけないですよ! 現実的にも不可能ですって!」

 小林はこのことについては強く否定する。


「どうして? どうしてそんなことが言えるの?」

 宮下は、また絶対に答えがすぐに出ないことを聞く。


「そんなの、普通の常識ではあり得ないからですよ!」


「でもね、小林君。彼らにその常識は通じないんじゃないかな」


「なんか宮下さん。もう犯人たちの側に立って話してません?」

 宮下の話を聞いていると、前からずっと犯人の側から話をしている。


「そんなのは、ただその方が考えをまとめやすいからよ。ただそれだけ」

 宮下は、犯人たちになにか強く揺るがない目的意識があるのではないかと、何故かシンパシーを感じていた。


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