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第3話 森の中の青年

木々のざわめきが風に揺れ、かすかに鳥の鳴き声が聞こえていた。

深い森の中で、リナは倒れこんだまま動けなくなっていた。


体は重く、手足に力が入らない。意識は霞んでいて目の前の景色はぼやけていた。

喉は渇き、お腹は空っぽだ。村を襲われ、気づけばここにいた。


(もうダメかもしれない…)


そんな思いが浮かび、瞼がゆっくりと閉じようとした時だった。


「……おい。君!大丈夫か?」


誰かの声がした。


薄れかけた意識の中で、リナはその声にすがるように目を開けた。木漏れ日の中立っていたのは旅装束を身にまとった青年だった。長めの金髪を後ろで束ね、腰には剣を帯びている。


どこか育ちの良さを感じさせる佇まいだが、その瞳には哀しみの色があるように見えた。


「……意識はあるな。水飲めるか?」


青年は手早く水筒を差し出し、リナの頭をそっと持ち上げる。ごくりと一口飲むと意識がはっきりした気がする。


「ありがとう…」


「礼はいい。こんな森の中で一人で倒れているなんて、何があった?」


その問いにリナは震える声で言葉を紡いだ。


「村が…襲われて…全部燃えて…」


そこまで言うと、言葉にならなかった。

青年はそれ以上は何も聞かずにリオの肩に上着をかけた。


「名前は?」


「リナ…」


「リナか…。俺はルシアンだ。しばらく一緒に行動しよう。君一人じゃこの森を抜けるのも難しいだろう。」


そして運命の出会いは静かに始まったのだ。

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