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苦手な方はご注意ください。

レトロBL小説「アイス」

作者: 天知ハルカ

1970年8月、蝉が鳴く。

敦はその暑さに耐えきれず駄菓子屋でアイスを買った。


利夫を待っている。







敦と利夫は幼い頃から気付けばずっと一緒だった。


もう15歳になる。


幼い頃からの付き合いは今や少し大きくなりすぎた気がする。




ふとした時手を握ったり、肩を組んだり。


仲が良いといえばそれまでだが、敦は利夫に触れる度胸の奥底がギュっとした。




「利夫も同じ気持ちなのだろうか。」




それは声に出さないでいた。







5分後、利夫は駄菓子屋の前に走ってやってきた。


「ごめん、待たせた。」




悪びれもしない飄々とした姿も利夫らしいと思い


敦は笑みをこぼす。




「暑いね」




5分前買ったアイスはまだ残っている。


夏の暑さに溶け出して、しずくがポタポタ滴っていた。




「アイス、いいな」


「ラムネ味」




ふいにかじりつこうとする利夫。


しかしそのままアイスは地面に落ちた。




蝉の声。しばし土に落ちたアイスを見つめる二人。


「ああ、暑いもんね。」




「残念だな」


じっと見つめあう二人の距離は意外にとても近かった。






そしてそのまま、突如として


敦の胸の奥底の「ギュッ」とした感覚が蘇る。




目の前が真っ白で、蝉の声がして、でも何も聞こえない






利夫は敦と唇を重ねていた。




いつも手を触れる時と同じ、


違う。


触れてはいけないもの同士が触れ合い


知ってはいけない事をしているような背徳感。






冷たい、アイスの味


彼に しただろうか。






仲良しと言ってしまえばそれまでだが、


もう僕たちは引き返せない。



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