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第1話 はじめてのアタリ

 海辺の町にある浜風高校。 

 朝の光が教室に差し込み、窓からは青い海が見える。

 佐藤美咲さとう みさきは、いつも通り元気に教室に入った。

 美咲は明るい茶色のロングヘアをポニーテールにまとめた1年生の女子高生だ。

 「おはよう、美咲!」

 クラスメートたちが笑顔で挨拶を交わす。

 美咲は明るく元気な性格で、誰とでもすぐに仲良くなれる社交的な少女だ。

 机に鞄を置き、友人たちと談笑する中、放課後の予定について話し始めた。

 「今日も放課後、釣りに行くけど、誰か一緒に行かない?」

 美咲がにっこりと問いかけると、クールな友人、山本彩やまもと あやが手を挙げた。

 彩は長い黒髪をストレートに下ろし、鋭い目つきが特徴だが、心根は優しい。

 冷静で少し無口だが、美咲のことを心から信頼している。  

 「行くわ」

 その様子を見ていた転校生の花村葵はなむら あおいは、少し緊張した様子で手を挙げた。

 都会からこの海辺の町に引っ越してきたばかりの葵は、内気で引っ込み思案だが、新しいことに挑戦する勇気を持っている。

 彼女の柔らかな栗色のショートボブが風になびく。

「あの…私も、釣りに挑戦してみたいんだけど、いいかな?」

 美咲は驚いたが、すぐに笑顔で答えた。

「もちろん!みんなで一緒に楽しもう!」 

放課後、三人は教室に集まり、道具などの準備をしていた。

「今日は何を釣ろうかな。」

 美咲は釣り竿を手に取り、楽しそうに話した。

 彩は地図を広げ、今日の釣り場を確認している。

「今日は潮の流れがいいから、大物が狙えそうだよ。」

 葵は少し緊張しながらも、二人の様子を見て心を落ち着けた。 

 三人は学校近くの静かな海辺に向かった。夕方の光が海面に反射し、黄金色に輝く。

 「この道、海が見えるから好きなんだ。」

 美咲が笑顔で言うと、彩も同意した。

 「うん、いつ来ても綺麗だよね。」

 葵は初めて見る景色に感動しながら、二人について歩いた。

 「まずは基本から教えるね。」

 美咲は釣り竿の使い方や釣り糸の投げ方を丁寧に教えた。

 葵は少し不安そうな表情を浮かべていたが、美咲のサポートで少しずつ慣れていった。

 「こうやって、ゆっくりと糸を引いて…あ、何かかかった!」

 葵の声に、美咲と彩は駆け寄った。

 葵の釣り竿が大きく揺れ、彼女は必死に糸を引き上げた。

 やがて、小さなアジが水面に現れた。

 「やった、釣れた!」

 葵は喜びの声を上げた。

 美咲も満足げに頷く。

 「その調子だよ、葵。少しずつ慣れていけば、もっと大きな魚も釣れるようになるよ。」

その時、釣り場にもう一人の少女が現れた。釣り部のライバル、中村咲なかむら さきだ。

  咲はストレートの金髪が特徴で、その輝く髪はいつもきちんと整えている。

 咲は自信家で負けず嫌いだが、本当は心優しい一面もある。

「ふん、今日は私も来たわよ。負けないからね!」

 咲は自信満々に釣り竿を構えた。

 美咲も負けじと笑みを浮かべた。

 「望むところよ。さあ、始めましょう!」

 二人は同時に釣り糸を海に投げ入れた。

 しばらくして、美咲の釣り糸が激しく引かれた。

 「きたわ!」

 美咲は全力で糸を引き、やがて大きなアジが釣り上げられた。

 銀色に輝くその魚は、40cmは超えているだろうか、見事な大きさだった。

 咲は悔しそうな表情を浮かべたが、その目にはどこか誇らしげな光も見えた。

 その時、咲の釣り糸にも強い引きが伝わった。彼女は集中して糸を引き、大きなシーバス(スズキ)を釣り上げた。その魚もまた、立派な大きさだった。

「ほら、私だって負けてないわ!」

 美咲と咲のライバル関係は、釣りを通じてさらに深まっていった。

 その様子を見守っていた高橋由美たかはし ゆみ先生は、穏やかに微笑んだ。

 由美先生は落ち着いた色のセーターとパンツスタイルが似合う穏やかで優しい女性で、由美先生は穏やかで優しく、面倒見が良い生徒たちの母親のような存在だ。都会から自然豊かな環境で生徒たちと触れ合いたいと考え、この町に移住してきた。

「みんな楽しんでいるみたいね。これからも一緒に釣りを楽しんでいきましょう。」

 その日の夕方、美咲たちは釣った魚を持って美咲の家に集まった。

 美咲の家のキッチンは広くて明るく、調理器具が整然と並んでいる。

 美咲はエプロンを着けて、手際よく準備を始めた。

 「今日は私が料理を担当するから、みんなは手伝ってね!」

 美咲の言葉に、葵と彩、そして咲も頷いた。

 まず、美咲は釣ったアジを使って刺身を作り始めた。

 包丁さばきが見事で、薄く切られた刺身が皿に美しく並べられる。

 「美咲ちゃん、すごいね!」

 葵は感嘆の声を上げた。

 彩も感心している。

 「さすが、美咲。これなら大丈夫だね。」

 その間に、咲はシーバスを使ってフライを作り始めた。

 彼女も料理が得意で、パン粉をまぶして油で揚げる作業が手慣れている。

 「美咲に負けていられないからね。」

 咲は微笑みながら、揚げたてのフライを皿に盛り付けた。

 香ばしい香りがキッチンに広がる。

 「みんな、完成したよ!」

 美咲が声をかけると、葵と彩も準備を手伝い、テーブルには美味しそうな料理が並んだ。

 刺身、フライ、そして簡単なサラダや味噌汁も用意された。

 「いただきます!」

 四人は一斉に手を合わせ、美味しそうに料理を頬張った。

 葵は初めての釣りと料理体験に大満足だった。

 「今日は本当に楽しかった。ありがとう、美咲ちゃん、彩ちゃん、咲ちゃん。」

 美咲は満足そうに微笑んだ。

「これからもみんなで釣りをして、美味しい料理を作ろうね。」

こうして、葵の初めての釣り体験と料理体験は大成功に終わり、美咲たちの友情と釣りへの情熱はますます強くなった。

 次回の放課後も、彼女たちの釣りの冒険は続いていく。

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