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第一話

 うちの島はゲームの終盤で、船か飛行船を手に入れないと行けない島みたいだ。とても小さくて、周りには他に人の住んでいる島もない。ぽっこりとした、ひょうたんみたいな形もそれっぽい。


 なんかレアな魔物とか、特別な装備の入った宝箱が隠されていそうだ。……ないけど。


 どのくらい小さいかと言うと、自転車で四、五十分も走ると島をぐるりと一周出来てしまうほどだ。何しろ島には信号がひとつもない。


 危なくないのかって? 大丈夫! 車に乗る人なんてほとんどいないから。車が走っているのを見た時の方がびっくりする。たいてい役場の人が運転している。

 ないと言えばお店もあんまりない。なんでも売ってるゲン爺の店と、なんでも修理するうちの爺ちゃんの店、なんでも作ってくれるヨシエ婆ちゃんの食堂の三軒しかない。

 でもゲン爺の店は、狭いのに不思議と何でも売っているし、うちの爺ちゃんは電気製品も家具もゲームも、なんでも修理してくれる。


 ヨシエ婆ちゃんは、オムライスだってハンバーグだってプリンだって、ジェノなんとかっていう緑色のスパゲティだって作ってくれるんだ。お寿司も握れるし、うどんもソバも打てる。


 だからぼくは、うちの島はそんなに悪くないと思ってる。『そんなにも』ってとこが、ミソ。ぼくだってやっぱり、テーマパークや科学博物館に行ってみたいし、友だちもたくさん欲しい。島には分校しかなくて、生徒は小学生と中学生を合わせても六人だけなんだもん。


 島に住んでいるのは全部で四十二人で、ほとんどが年寄りばかりだ。若い人は年ごろになると島から出て行ってしまう。高校や大学がないし、仕事もあんまりないから仕方ないかなって思う。

 でもきれいな海に囲まれたうちの島は、のんびりしたい年寄りと走り回りたい子供にはなかなかいいところなんじゃないかな。


 それに……。実は、うちの島には他のところには絶対ないものが『ある』。



 何だと思う?




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