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下手があるので上手が知れる

評価ありがとうございます!すごく嬉しいです。


「おい、あんちゃん。」


買い物していたら、里芋に声をかけられた。


「うををっをを。」


びっくりして変な声が出たではないか。


「何だ?やましいことでもあんのか?」


「違うでござるよ。実は、先程報酬をいただいたでござる。日頃の恩もある故、食事の準備でもして待とうかと。」


「ははは、そいつはありがてぇ。なら、飯でも食って帰るか?」


「そうでござるな。いや、しかし、それだと他の拙者達に悪いでござるよ。」


本当は食べて帰りたいが、食べて帰った事を知られると、一体どういう目に合わせられるのか…11対1では勝ち目は全くあるまい。


「拙者達?あんちゃん、どういう事だ?」


「多分、口で言うても伝わらぬ。見た方が早い。とりあえず家に戻りましょうぞ。」



…………………



「なんだこりゃ…。」


里芋の顔がひきつっておる。無理もない。大量の美女ではなく大量の拙者がおるのだからな。


「買い物に行こうと思ったらちと増えてしもうてな。」



「ちと?…流石にうちに皆はとまれねえぞ?」


里芋の家は立派ではあるが、工房が大半を占めており、部屋は拙者が寝させてもらっていた部屋と、里芋の部屋と、調理場くらいであった。そりゃ、無理であろうな。飯の事ばかり考えて忘れておったが、これは一大事であるな。


「どうしたら良いであろうか?」


「とりあえず今日は2人泊めるから、残りは宿にでも泊まるとして、明日からは合体ってスキルを探しにでたが良いんじゃないか?」



「合体でござるか?」


「ああ、合体を使えば元に戻るはずだ。そうだ。ついでに魔法も一つ教えてやろう。」



「ま、魔法でござるか?」


「ああ。俺が扱えるのは火の魔法だけだがな。おい、あんちゃん達、みんなこっちこい。」


拙者達がわらわらと集まってくるでござる。


「どうやら拙者達は合体というスキルを取得すれば、一人に戻れるらしい。わかっていると思うが、拙者達はこのままでは金がなく野垂れ死ぬであろう。」


「「「「うむ、そうであろう。」」」」

「「「「なんとかなるのではあるまいか?」」」」

「「ふむ、一人を残して消えれは良いということか。」」


拙者達は意見が一致するわけではないんでござるな…。というより二人程困ったやつがおるではないか。


「誰だ怖いことを言う拙者は。みんな拙者なのだから困ったことを言うではない。とりあえず、スキルを取得する事を目標に旅にでようと思う。」


「そこで、あんちゃん達に俺が魔法を一つだけ教えてやるよ。」


「「「「「「「「「「「かたじけない。」」」」」」」」」」」


「まずは火をイメージするんだ。」


拙者は黙って考える。イメージとはなんでござるか?


「イメージとはなんでござろうか?」


うむ、他の拙者よ。良い質問でござる。


「あー、イメージっていうのは、頭ん中で想像するって事だ。」


そういう事でござったか。頭の中で火を想像する。


「その火はどうやっておこす?いいか。何もないとこから火が生まれるとこをイメージするんだ。」


火か…火打ち石を使い、藁に火種を…


「出来たか?できたら、指先に火をつけるイメージをするんだ。」


拙者の指先には、オレンジ色の火種が灯った。そっと息を吹き掛ける。



火種が飛んで行きおった。

回りをみると、みんな同じのようであった。何と難しい。って、ん?一人だけ焦げておるものがおるではないか。


「お主は何をしたらそうなった?」


「雨の日に外で遊んでおったら、助衛門の家に雷が落ちた時の事を覚えておるか?そのまま燃えつきてしもうた時の事を想像しながら指先に火をつけたら、拙者が燃えたでござるよ。」


イメージとやらが違うと結果が全く違うのか。このようになるくらいなら、火種が飛んで行く方がはるかに良いではないか。


「がはははは。一人だけ愉快なあんちゃんがいるじゃねえか。今度はそれを相手に飛ばすつもりでやってみろ。そうだな。ほれ、そこの壁にでも撃ってみろ。これはファイアボールって魔法だ。」


「ふぁいあぼーる」


拙者の手からオレンジ色の玉が飛んで行く。

これが魔法か。拙者は魔法を覚えたでござる。



「なんだそりゃ。火種なんか飛ばしても魔物には勝てねぇぞ?」


里芋がバカにした顔をしてこちらを見てくる。悔しいが、拙者には火種のイメージが頭から離れぬ。せめてもの救いは、みんな火種しか飛ばさぬ事よな。


「拙者も撃っていいでござるか?」


黒焦げの拙者が立ち上がる。


「おう、やってみろ。」


「ふぁいあぼーる」


ドゴーン!


手から爆炎が飛び出し、壁を粉砕した。

あれが拙者の火種と同じ魔法だと?世の中は不平等でござるな。


「やるじゃねえか。それが魔法だ。」


その言い方だと、拙者達のは魔法ではないみたいに聞こえるから、やめて頂きたい。


助衛門の家をイメージする。藁葺き屋根で、あやつは良く栗ごはんを食べておったな。そうそう。家が燃えた時は次々と栗が弾け飛んだのを見て、ついつい笑ってしもうたものよ。あんなに大量の栗、よう拾っておったなぁ。だか、確かにあの音と光景にはひどく驚いたものよ。


むむ!イメージできた!


「ふぁいあぼーる」


拙者の手からオレンジ色の玉が吹き出し……破裂した。


先程とは天と地の差。これが魔法ででござるよ。



それはそれは大変綺麗な線香花火のようであった。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます!

よろしければ、評価、感想お願いいたします!


よろしくお願いします。

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