枯れ木も山の賑わい
読み返すとあまり面白くなかったので、2話目削除し、3話目を、少し変更致しました。だからといって良くなったかどうかはなんとも言えません。
不思議な生き物が、拙者の目の前に佇んでおる。寒天の塊とでも表現すれば良いのであろうか。
震えるだけで、特に襲ってくるわけではない。こやつが、すらいむとやらであろう。それならば、成敗せねばなるまい。
拙者は刀を抜き、すらいむに向かって降りおろす。切り捨て御免!
切ったところから、二匹に増えおった。
あれ?雑魚ではなかったのか? もう一度だ。あれ?もう一度……。もしや、これが幸運-20の恩恵といったところか。なんと恐ろしい。
かくなる上は逃げるしかあるまいて。
拙者は全力で走った。先程まで震えるだけだったのに、逃げ出したとたん、大量のすらいむが跳び跳ねたり、転がったり、とりあえずこちらに向かってきおる。数の暴力とは恐ろしいものよ。
このままでは、諦めるしかあるまい。体力は限界、攻撃はきかぬ。どうする事もできぬ… …
と うとうすらいむが迫ってきおった。大量のすらいむに呑み込まれる。万事休すか……
……なんという極上の感触でござるか。全く痛くない。雑魚というのは本当だったでござるな。しかし、仕留めて帰れるかと言われれば、それは否としか言えぬな。燃料にするために持ち帰る様言われておったが、拙者には荷が重かった。すまぬな。
そういえば、確か里芋どもは、相手のスキルを奪うために倒した妖怪変化を食す。と言っておったな。確率は低いが、食べ続けたらスキルを獲得できると。特別な部位であれば、武器にした時に武器にスキルが宿るのだと。そのために狩りをしておると。
さすれば拙者がとる手段は一つ。すらいむを食べつくせば良い。なにより、どれだけ当たっても、心地よいだけでごさる。
いざ、尋常に勝負でござる。
味は、汁気たっぷりの渋柿としか表せれぬくらい不味かった。しかし、こうするほかあるまい。無心で喰らい続けた。
50程食べたころ、頭に声が響き渡る。
レベルが、1あがりました。スキル、分裂を獲得しました。
これが、れべるあっぷとやらか。うっぷ。
口の中は嫌な汁があふれておるが、全能感にあふれるでござるな。
そして、拙者の初めてのすきる。分身の術と同じたぐいであろう。これで、食べる量が半減する。
「すきる、分裂。」
誰もおらぬし、かっこつけて声高々な叫ぶ。
うおっ。体がむずむずする。
拙者の、指が、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10。うぎゃーー、色々と気持ち悪いでござる。
「「うぎゃーー、顔が横にでてきた。」」
思考は一つなのに、声でるとこが二つあるという不思議な感覚…
そうこうしているうちに、左右へ拙者が分裂した。
「す、すらいむを、食いつくそうぞ。」
「拙者も、そう思っておった。」
二人でもくもくと、食べ続ける。
なんとか完食できたでござるな。
レベルが1あがりました。おっ、れべるあっぷしたか。
「れべるがあがったな。どうだ?」
同じ量食べたのなら一緒であろう。
「いや、あがっておらぬ。」
何故顔を背ける……ほほう、姑息な真似をしおったな。断じてこれは許される味ではない。
いやしかし、とりあえず無事に終わったのだ。役にたたずとも、気持ちはずいぶん楽になった。
「少し休んだら、村に戻るか?」
「うむ、それが良かろう。」
あまり食べなかったくせに、なんてやつだ。
村に帰り次第首だけだして埋めてやろうぞ。
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