青の友人
赤の反対は青
友人の反対は他人
じゃあ赤の他人の反対は青の友人……?
「またそんなくだらないこと考えたのか」
半分呆れながらそう言ったのは僕の昔からの親友Aだ。
「いいじゃんか別に。なんとなく気になるじゃん。単語一つ一つをちゃんと反対にしたのになんだか違和感がある、どこかすっきりしないんだ。」
「そういうところがくだらないんだよ。大体赤の他人自体そうそう使うもんじゃないしましてやその反対なんて……」
Aはくだらない話でもなんだかんだちゃんと聞いてくれているのでやっぱりいいやつだ。
そんなくだらない会話をしているうちに僕たちは学校についてしまった。やっぱりAと話していると時間が早く進む……気がする。楽しい時間ってことなんだな。
「じゃ、またあとでな。」
「うん、またね。」
そうやってAと別れた後教室へ向かった。今までAとずっと同じクラスで人付き合いの良いAと一緒にいるだけでクラスに馴染めたし話せる人も多かった。けど今年になってAがいなくなって、話すキッカケを失った僕は、クラスに馴染めていなかった。全員が全員他人ってわけでもなくて話したことのある人や名指しで呼ばれたことのある人もチラホラいる。けれどその人たちはとっくの昔に顔見知りの集団いわゆるグループを形成していて僕の入る余地は無かった。Aがいなければただただ教室の一部になって時間が過ぎるのを待つしかなかった。僕にとってAといる時間が一番の楽しみでその時間のために学校へ通っているといっても過言じゃない。Aと通学する朝。Aと進む家路。正確な会話の内容は思い出せないけど幸福感だけはしっかりと頭に残っている。
そんな幸せな僕の日々にちょっとしたアクシデントが起きた……といっても気づいたころにはとっくに手遅れになっていたんだけど……正直あんまりだと思った。ひょっとしたら悲劇の主役になれちゃうんじゃないかな?なんてくだらないことを考えてしまうくらいには混乱していた。簡単な話だった。Aが誰か知らない他人と帰っていった。それだけ。本当に単純だった。傍から見ればなぁんてことはない普通のこと。けれども僕にとっては重大事件だった。至福の時間がなくなってしまったのだ。
泣いたそれもひたすらに。泣いて、泣いて、泣いて泣いて泣いて泣いて泣き続けた……鳴けばなくほど鮮明に思い出して頬が熱くなればなるほどこころは冷めていった。ひとしきり泣いた後こころが冷め切った後……僕は疲れ切ったのか倒れこむように寝てしまった。
嫌がらせのような風に瞼をこじ開けられたのは朝のことだった。ずる休みをするほどの度胸もない僕は出校の支度することにした。ふと窓から外を見た。いつもAと合流する場所だ。……Aは来なかった。正確には他の誰かと違う道にいるのが目に入ってしまった。
終わった、至福が友情が日常が。一週間、思い出すのは早かった。思い出がないから。この一週間Aと話していない。いや、話せていない。もはや赤の他人だった。僕はAとどうしても、もう一度話したいその思いでAを休日の家に呼ぶことにした。
帰り道や通学では目も合わなかったのに、呼んだら来てくれるらしいAは家に来た。
「なんだかんだ初めてだよ、誰かの家に行くなんて。」
Aは昔と同じ様子で話しかけてきた。だから僕は刺した。
赤の反対は青
友人の反対は他人
君は僕にとってすごくすっごく大切な「青の友人」だったんだね青の友人は裏切らない忘れない傷つけない……顔を見てもすぐに忘れるそんな「赤の他人」の対義語にぴったりだね。
Aは何も言ってくれなかったけどきっと呆れているんだと思う。喋らなくたってわかるだってAは僕の大切な「青の友人」なんだから。
見苦しい文をここまで読んでいただきありがとうございました。
主人公の情緒が不安定すぎて怖いです。