令嬢が行動しようとするも…~思いもしない出来事~
お待たせしました、シア視点に戻ります。
よろしくお願いします。
―ふぅ、緊張しますわね…
今日、レオと話すと決めた。
レオはきっと何かを知っている。それを話して貰おう。
その為には、私の思い出した記憶の事も話さなくちゃならない。
何て思われるのかまだ少し不安だけれど、きっと…大丈夫。
学園に向かう馬車の中で、決意も新たにレオと話す内容をあれこれと考えていた。
遅い時間になると馬車が混雑する為、私もレオも早い時間帯に学園に着く。
恐らくこの時間ならば、少しはレオと二人きりになれる筈だった。
「え、レオはお休みですの?どこか具合でも悪くしたの…?」
教室でレオを待っていた私の元に、レオの従者であるバートが、学園への連絡も兼ねて報告に来てくれた。
「いえ、体調を悪くされた訳では無いのですが…。ミーシア様は心配されずに、普段通りお過ごし下さいとの事でした」
学園へは体調を崩したと連絡するが、大丈夫だからとレオ自筆の言伝を受け取った。
「心配するなって…そんなの無理ですわ。どういう事か説明してちょうだい」
バートは頭を下げるばかりで、私の質問に答えようとしない。
―ホントに似た者主従ですわね!
私が更に尋ねようとした所で、他の生徒達が教室に近づいてくるざわめきが聞こえてきた。
一瞬戸惑った隙に、バートはもう一度頭を下げると、そのまま教室を出ていってしまった。
―一体、どういう事ですの…。
一日中モヤモヤして過ごした。
勉強も手につかず、レオの事ばかり考えてしまう。
その日、レオは公爵家での後嗣教育へも来なかった…。
落ち着かない気持ちのまま、長い一日が終わった。
次の日、レオの事が気がかりで早目に学校に着いた。だが、始業時間になってもレオは来ない。すると、担任の教師から数日間レオが休むと連絡があった。
―こんな事初めてだわ。レオが理由も告げず、私の側から居なくなるなんて…
レオの事で気を揉んでいた私は、こちらをじっと見つめる一人の令嬢の視線に気づきもしなかった。
結局一日中レオの事ばかり考えて過ごしていた。
今日もレオは公爵家へ来ない…
落ち着かない私に、ミラがそっと声をかけてくる。
「お嬢様、どうぞお心安らかになさって下さいませ。レオンハルト様には何かご事情があるのでしょう。あの方が滅多な事を為さる筈もありませんし、そもそもお嬢様を心配させる様な方ではございませんわ」
「そうね…」
ミラにはそう答えたが、じっとしている事が出来ない。
そんな私をミラは心配そうに見つめていたが、そっとお辞儀をして部屋を出ていった。
堪らなくなった私は父へ事情を聞くべく、家令のジョージへ父への取次を頼んだ。
父が王宮から戻り面会の許可が下りると、直ぐに父の執務室へ向かう。
―お父様なら理由をご存じの筈よ…。
正当な理由もなく後嗣教育を休むなんて、父様の信用を失くすような事をレオがする筈無い。
入室の許可が下り、待ちかねた様に部屋に入ると…
「聞きたいのはレオンハルトの事だろう?心配するなと言っても、その様子では無理な様だな…」
父はいつも私の考えを先回りする。
―普段から他国や諸貴族達と腹の探り合い、化かし合いをなさっているのよ…私の考える事などお見通しなのだわ…
私はその言葉にコクンと頷く。
「その通りですわ、お父様。ぜひ理由をお聞かせ下さいませ」
じっと父の目を見つめる。
折れない様子の私を見て、フッと父の肩から力が抜けた様に見えた。
「レオンハルトは王宮にいる。」
驚く私に、父は続けて不可解な言葉を告げた。
「お前が心配する様な事では無いから安心していい。ただ、何があってもレオンハルトを信じてやれ。」
父は私の頭を優しくポンポンとすると、退出を告げた。
父の言葉に安心するどころか、逆に混乱が増した。
―王宮ですって?レオは第2王子のアンドリュー殿下の事もあって、王宮には出来る限り近づかない様にしていた筈よ。それなのに…。
数日後、予想もしなかった事が起きた。
久しぶりに見たレオの側で、聖女候補のキャロル・マッケンジー男爵令嬢が笑っていたこと。
そして、もう一つ―。
隣のクラスのベアトリス・マグワイア子爵令嬢から、突然声をかけられた。
「アリステア・ロック・フィールド様の事でお話がございます」
一体、何が起きているの?
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