令嬢は第一歩を踏み出します~令息の意外な行動と共に~
何とか本日分更新できました。
よろしくお願いします。
レオの追及に敢えなく陥落した私は、洗いざらい話をさせられていた…。
―なんだか納得がいきませんわ…
「ふぅん…で、これからアリステア様のお茶会に乗り込むと。そういう事なんだね?」
「えぇ、わたくしはどうしてもアリステア様をこのままには出来ませんの。わたくしに出来る事があるのなら、それを成し遂げたいの」
恐らく必死の思いで私を頼ってきた、ベアトリス様達の気持ちも無下には出来ない。
ねぇ、レオ。
お願い分かってちょうだい…。
祈る気持ちでレオを見つめる。
「どうしても、気持ちは変わらないんだね?」
「えぇ、変わらないわ」
真剣な表情で尋ねてくるレオに、ハッキリと答える。
じっと考え込むレオを見つめながら、固唾を飲んで答えを待つ。
お願い、レオ…。
ぎゅっと握りしめる手が汗ばんで来たその時。
「わかったよ。困ってる人を放って置けないのがシアだからね」
予想以上にあっさりとレオの許しが出た。
その表情もどこかスッキリ?とした様に見える。
―え、この前はあんなに反対していたのに…
「本当に?いいんですの?だって、この前は…」
恐る恐る尋ねる。あとで無しなんてあり得ない。
「君に危ない事をして欲しくないって気持ちは変わらないよ。シアがそう言うなら、やめるか……」
「いえ、嬉しいですわ!ありがとう、レオ」
精一杯の感謝を込めて、レオの手を握った。
とにかくお許しが出たのに変わりありませんわ。レオの気が変わらないうちに、向かいませんと。
「ベアトリス様、お待たせ致しました」
彼女に向かって一つ頷き、レオに向き直る。
「ありがとう、レオ。出来る限り無茶はしないと約束しますわ。それでは、わたくしお茶会に…」
「それなんだけど、一つ条件がある。そのお茶会僕も参加するから」
―え?
何を…言ってますのレオ?
「一人も二人も変わらないだろう?」
レオはさも当然といった顔をしている。
教室の入り口では、やっととばかりにサロンへ向かおうとしていたベアトリス様が、今のレオの言葉を聞いて固まっていた。
あぁ…ベアトリス様、ごめんなさい…。
案内してくれようとしていたのに…。また固まってしまわれてますわ…。
ギギギと音がしそうなほどぎこちなく、私を振り返ったベアトリス様は…真っ青な顔でふるふると顔を振っている。
「あの、レオ…それはあまりにも突然…」
「それはシアも同じだよね」
「そ、それに女性だけのお茶会に男性が…」
「それが問題かい?とにかくシアを一人で行かせる訳にいかないからね」
レオの言葉にがっくりと肩を落とす。
「正式にお呼ばれしていない」私には、拒否権など無かった。
ベアトリス様達は知っているとしても、アリステア様は何も知らないのだから…
―あぁ泣かないで、ベアトリス様…
状況を察したベアトリス様は、がっくりと膝を着いていた…
「さ、それでは話は決まった様だね。場所はサロンだよね。案内をお願いするよ、ベアトリス嬢」
ふらふらとベアトリス様が歩き出す。
その後ろをレオにエスコートされながら着いていく。
―レオがいるわ…
予想外ではあるし、聞きたいことも沢山あるけれど、レオが私の横にいる。
その事実がこれ以上なく嬉しい…
私はそのまま、ここ数日の事を思い返していた。
レオに会えない間、一人でも出来る事を見つける為、私は前世の記憶を書いたノートを見返していた。
寝る準備を終え、誰も居なくなった部屋でノートを開く。何もしていないとレオの事ばかり考えてしまう。
これが眠るまでの間の日課になっていた。
夢恋の設定資料には、確か私とアリステア様は友人だと記載されていた筈だった。
ゲーム内では全く出てこない設定だったが、
この世界では友人では無くなっている…
連られて別の事も思い出す。
私には何故か好感度メーターも設定されていた。
無意味にアリステア様に挨拶したりして…
ログインする度に挨拶に登場するものだから、最初は好感度上げをするも、マックスにしてもどのエンドにも影響がない。
その為、私は謎の公爵令嬢と呼ばれていた。
挙げ句、付いた呼び名がウザ令嬢…
前世の私でさえこう言っていた…
「また出た!うざっ」
ストーリーに全く関係が無い為、すっかり忘れていた…
―よっぽど私はアリステア様が好きだったのね…
そう思う事で、思わず挫けかけた気持ちを何とか持ち直した…
ノートを閉じ、考えを纏めていく。
―今から出来る事は…これ以上断罪に繋がる噂を作らないことですわね…
断罪の決め手となったのは、アリステア様がマッケンジー男爵令嬢に危害を加えたというもの。
なら、私がその場にいて無実を証明すればいい。日時はノートのお陰でわかっている。
単純だが、一番効果があると思われた。
それに、ゲームと今の世界でいくつかの相違が起きているのも分かった。
―ゲームのシナリオは絶対では無い?
これも、アリステア様にとって有利に働くと思われる点だった。
そして、これも気づいた相違の中の一つ。
恐らく…私とレオは婚約者では無かった。
モブなのにしっかりした設定があった私に、婚約者の記載が無いのはおかしい。
―けれど…これはとても幸運な事だわ…
レオが側にいないなんて、考えられないもの…
―ねぇちゃん、早く目を覚ませよ!
夢恋の続編が出たんだよ。
びっくりする様などんでん返しがあったんだぞ。
早くやりたいだろ?
なぁ、お願いだよ、目を開けてくれよ…
突然頭に響いた声に、驚いて目を見張る。
―今のは…前世の記憶?
大好きだった…あの子の…一緒に、夢恋を…
そこで強烈な頭痛に襲われた。
ゲームに関することは思い出すのに、それ以上の事はほぼ思い出せない…
夢恋をするきっかけになった妹の事も、前世の両親の事も…自分の顔すら思い出せない。
まるで、思い出すのを拒否するかの様に…
暫くじっとしていると、いつもの様に跡形もなく頭痛は消えていた。
慣れた事ではあるが、頭痛の後は酷く体力を消耗する。
私はノートをしまうと、引き込まれる様に眠りに落ちていた…
「大丈夫シア?」
心配そうなレオの言葉で物思いから覚める。
「えぇ、ごめんなさい。大丈夫よ…」
それでも心配げなレオに、微笑んでみせる。
先程まで見せていた強引さと真逆の表情に、思わずクスッと笑いが漏れる。
間もなくアリステア様のいるサロンに着く。
私一人ではない、アリステア様を想う人達がいる。
なぜかレオもいるけれど…
私の想いを知って貰うには丁度いいのかもしれない。
―あとでキチンとお話もして貰いませんとね。
今度はレオの番ですわよ?
そっとベアトリス様を見る。
真剣な表情で、今まさに扉を開けようとしていた。
―さぁ、第一歩の始まりよ。
亀の進みでごめんなさい。
も少ししたら、お話進める予定です。
それと、明日8/17は更新お休み予定です(-人-;)




