第八話~止まらない思い~
「ふぅ...ちょっと早かったかな。」俺は彩花さんと待ち合わせした駅前に十分程早く着いた。「しかし眠たいな...」俺は今日が楽しみすぎて全く眠れなかった。我ながら情けない。
ふと周りを見渡すと工事現場が見えた。恐らく古川の会社が建てているショッピングモールだろう。それを見てると俺は怒りがこみ上げてきた。
すると「あら、早く来たつもりでしたがお早いんですね。」と声がした。振り向くと彩花さんがいた。「え、ええ。俺ちょっと心配性で早く来ちゃうんですよ。あはは!」「そうですか。では行きましょうか。」「は、はい!で、どこに行きます?」「そうですね、とりあえず買い物にでも行きましょうか。」「買い物ですか。となるとショッピングモールですかね?」「そうですね。この少し先にあるヒロキッドモールとかどうでしょうか?」「あーあの梅洋中学校っていう学校の近くにある大型ショッピングモールですね。良いじゃないですか!そこに行きましょう!」「分かりました。では行きましょうか。」「はいっス!」
そして俺達はショッピングモールに着いた。「ここですね。」「すいません、俺が道に迷っちゃって...」「いえいえ、楽しかったですよ。ふふっ、磯宮さんが慌ててる姿面白かったです。」「え、そうですか?あははっ!良いんだか悪いんだか。」「気にしないでください。では入りましょうか。」「了解っス!」俺達はショッピングモールの中に入った。「うひゃー広いっスねー!流石大型ショッピングモール!」「えっととりあえず何か欲しい物とかありますか?」「んー、そうっスねー...特にないですねー、なんかすみません...」「大丈夫ですよ。だったら本屋に行きませんか?私欲しい本があったんですよ。」「いいですよー!...あ、もしかしてそのために来たんですか?」と俺が聞くと「っ...!は、はい...実は...私中々人と関わるのが苦手で...それでいつも図書館に行ってるんですけど...本屋にも行ってみたいな...って...思ったので...」彩花さんはそう言って頬を赤らめた。やべぇ...!めっちゃ可愛い!!おいやべぇよこれはやばい。こんな顔は誰でも惚れてまうやん...反則やって...ああ...可愛らしい...って!俺は取り乱しすぎか!なんか関西弁になってるし...でも仕方ないわこれは。うん、仕方ない。「あ!そんな嫌味で言ったわけじゃないですよ!」「え、ええ。分かってますよ。大丈夫です。では行きましょう。」俺はテンションがもうMAXになっている状態で本屋に行った。するとその道中で、手を繋いでる男女を見かけた。俺はその女性に見覚えがあった。「ん?あれって...」「どうかしましたか?」「え?ああ、すみません、あそこの男女の女性に見覚えがあったので少し気になって...」「そうなんですね。話しかけてみたらどうですか?」「んー確信は持てませんがちょっとすみません。」「いいですよ。時間は沢山ありますし、」「ありがとうございます。」そう言って俺は不安ながらもその女性の近くに行った。すると、「あ、なんだお前か。」それは夏美だった。「なんだとはなによなんだとは。」「いやな、なんか見覚えのあるやつがいるなーって思ってよ。」「あんた長年の友達の顔を忘れたっての?」「い、いやお前最近店にも来てないし...」「ま、まあ確かにそれはそうだけど。」「んで?お前のお隣は彼氏さんかい?」「え、ええ。そうよ。そういえば紹介してなかったわね。紹介しておくわね。私がお付き合いしてる野々口彰さんよ。」「こんちは!今紹介して頂いた野々口彰です!よろしくお願いします!」おや、意外だったな。気の強い夏美の彼氏だから対称的な大人しい人かと思ってたが、結構明るい人なんだな。「しかしお前に彼氏ができるとは...なんだか泣けてくるよ。」「うるさいわね。彰さんは良い人よ、私に凄く優しくしてくれるの。」それだけかい。と、心の中で静かにツッコむ。「俺、学生の頃付き合ってた人がいたんですよ。だけど色々あってその人は亡くなってしまって...でもそれから俺は強くなっていけたんです。で、俺は田舎の村から上京してテレビ関連の仕事をしてたんですけど、その時たまたまファッションデザイナーの夏美さんと出会ったんです。それで俺は情けなくも一目惚れしちゃって思い切って話しかけたんです。すると夏美さんは優しく返事してくれて...それから俺達は仲良くなってそれで俺が告白して今に至るんです。」「そうか...お前も中々大変だな。頑張れよ。この女は恐ろしいからな、応援してるぞ!」「はい!」「ちょっと!聞き捨てならないんだけど?」「ははっ!まあ細かい事は気にすんな。」「まあいいわ。それよりあんたもやるじゃない。まさか悠斗に彼女がいるなんてね。」「ぶっ!ち、違うわ!彼女はあのーあれだ。えっと友達だよ!ですよね!」そう言って彩花さんを見ると再び頬を赤らめて「はい...」と言った。あ、可愛い...って言っとる場合かい!「ふーんそうなんだー。でもいい事よ、あんたにそんな友達ができるなんてね。私の方こそ泣けてきたわよ。」「うるせえよ。ま、そういうわけだ。この話は終わり!じゃな!」「あら、照れてる?」「ば!馬鹿野郎!」「ふふっ...ま、私達はまた別のとこ行くからじゃあね。行こっ!彰!」「了解!ではお二人さんさようなら〜お幸せに〜!」そう言って二人は行った。「あ、あはは...じゃ、じゃあ行きましょうか。」「ええ。そうですね。」そして俺達は今度こそ本屋へ向かった。
く、くそ...!夏美め...余計な事を...!なんかめっちゃドキドキしてるじゃねえか!!
俺...!このショッピング...心臓持つ気がしねえぇぇぇぇ〜!!




