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第六話~俺が辞めます~

最近少しだが、店の客足が減ってきた。あと小野も来なくなった。しかし来ないなら来ないで不安でもある。なんか古川達と似た気持ちだ。それを不審に思いながら出勤すると店に入った瞬間マスターから「悠斗君、大変な事になった...」「え?どうしたんですか?」いつも明るいマスターが今まで見た事もないような暗い顔顔をしていた。「これを見てみて。」そう言って先輩が差し出したのはスマホに写った写真だった。「これって...」「ええ。以前悠斗君があのストーカー男を殴って追い返したでしょ?その時誰かから撮られたみたい。」それは俺が小野を殴っている時の写真だった。しかも動画まである。「これがTwitterなどで拡散されているようだ。最近客足が減っていたのはこのせいだよ。」「そんな...俺のせいで...!」「気にする事はないよ。気を落とさないでおくれ。」「だけどマスターこれだとそれなりの責任はとらないと。やっぱりここはこの事の主犯の磯宮君に責任をとってもらって...」「辞職、ですか...」「ええ。悲しい事だけどこの店の事を考えるならそうした方が...」「待ちたまえ。何故悠斗君がそこまでする必要がある。」「だけどマスター、磯宮君はこの店の評判を下げたんです。そうしないと磯宮君だって納得いかないはずです。」「そうですよ。俺だって覚悟はできてます。」「私はそのような事は許さない。悠斗君が辞職するというのなら私はこの店を古川社長に渡すなり、潰すなりしても構わん。」「そんな...いくらなんでも...」「私は、この店を作って本当に良かったと思っているんだ。だがね、それ以上に沢山のお客さん、君達のような従業員、みんな家族みたいなものだ。そんな人達に出会えて本当に良かったと思っているんだよ。だから私はその大切な家族を失いたくないんだ。これ以上家族を失うのはごめんだからね。」「マスター...」俺は涙が溢れてきた。気づかなかった。俺は馬鹿だった。マスターがここまで俺の、いや俺達の事を思ってくれていたなんて...だとすると俺の答えは一つだ。「すみませんマスター。俺、続けます。」涙を拭い、笑顔で答えた。「そうか。良かった。」とマスターも笑顔で言ってくれた。そして先輩も自分の間違えに気づいたのか「そうですね。私は馬鹿でした。誰のせいでもないんです。みんなで頑張っていきましょう!磯宮君ごめんなさいね。私ってば熱くなっちゃって。」「良いんですよ。僕はあいつを殴った時点でその覚悟でしたし、でもマスターに言われて目が覚めました。だから気にしないでください。」「ありがとうね。」「さぁ!遅くなったが開店の時間だ!今日も元気に頑張ろう!」「はい!」俺達は声を揃えて答えた。


しかし誰なんだ...?この写真をあげたのは...


それから一週間後、客足は減っていく一方だ。何やらネットなどでこの店の根も葉もない悪い噂が広まってるらしい。困ったものだ。以前の写真の件と言い、誰がなんの目的で?すると(カランカラン)「こんにちはぁ...随分と久しぶりですねぇお元気でしたか〜?皆さぁん。」古川だ。こいつまだ諦めてなかったのか。「あれから随分経ちましたが、いい加減決心はつきましたかねぇ?この店を手放す...」「残念だがそのような決断は選択肢にすら無いのでね。お帰り願えますか。」「あらあらぁ、本当に頑固なんですねぇ...」「何度来ても同じだ!帰ってくれ!」「おい、貴様!誰に向かって口をきいている!社長は今、ここの主人と話をしているんだ!お前のような素人は黙っていろ!」「くっ...!」一ノ瀬がそう言うと俺は反抗できなかった。「まっ!とにかく、ショッピングモールの建設も近いんです。ここで諦めるわけにもいかないんでね、早いとこ渡してくださいね〜。にひひひひっ...」と古川は最後に不気味な笑いをして一ノ瀬と共に帰って行った。

「どうしたもんか...」俺はため息と共にそう呟いた...

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