第五話~すみません~
古川社長はあれから一時来ないようになった。まあ、小野は来るけど...しかし来ないなら来ないで不安でもある。変な策でも考えているんじゃないのか...?でも気にしてる場合じゃない。落ち着いてきたので俺はまた彩花さんへのアプローチを頑張っている。
(カランカラン)という音と共に「こんにちは。」と声がする。彩花さんだ。「こんにちは〜!」最近は注文は聞かずに「いつもの」が出てくるようになった。小野は来たがすぐに追い返した。俺が彩花さんと話していると珍しくお客が来た。「こんにちは〜。」女子学生二人のようだ。中学生かな?制服からしてこの近くの学校じゃないようだが...今は四時頃。何かの行事でもあって早かったのか?「いらっしゃいませ〜!!」先輩が対応する。「休憩中だからね。」とマスターが小声で俺に言う。二人とも俺を気遣ってくれているようで嬉しかった。先輩が学生達から注文を受けている間に彩花さんは「失礼しますね。」と言って帰って行った。「ありがとうございました〜!また明日〜!」そう言って俺は業務に戻る。すると早速、「あー磯宮君!ちょうど良かった!このパフェあそこの学生さんの所へ運んでくれない?私今から休憩だから〜!」「了解っス!」休憩か...とはいえ俺も今まで休んでたんだ!働かなきゃな!「お待たせ致しましたー!ご注文のいちごパフェです!ご注文は以上でよろしかったでしょうか?」「ええ。ありがとうございます。」「ではごゆっくり〜!」そう言ってカウンター席に戻る。一時するとその二人はパフェを「あーん」して食べていた。ど、同性愛か...俺は初めて見た女子同士の恋愛に驚いた。するとマスターが「青春だねぇ〜」「キャラ変わってません?」「ははは。そうかな?」「そうですよっ!はははっ!」俺はつられて笑った。やっぱ喫茶店ってこういう雰囲気がいいんだよなー。そんな気持ちに浸りながら俺は古川に少し怒りが湧いた。この店を潰そうとする古川に...!
翌日。古川が来てから一週間経った。ほっとしていたその時、その日は訪れた。いつものように彩花さんが来る時間帯になったが、今日は何故だかお客が多い。そしてその中には一ノ瀬がいた。「何しに来たんだ。交渉なら断ったはずだ。帰ってくれ。」「いえ。今日はただの客として来ました。接待があるのでね。お借りしますよ。」客となれば追い返すわけにもいかない。嫌々ながら接客した。すると彩花さんが来ていつものように話していると(カランカラン)また小野が来た。「俺はもうがまんならねえんだ!」と店に入って言うなり彩花さんの手を掴み、無理やり連れ出そうとした。「ちょっ...やめてください弘樹さん!」「やめるわけにはいかねえ!お前を俺のものにするためにはこうするしか他にない!いいから黙って俺に従え!」「おい...」俺は静かに声を出した。「あ?なんだぁ?」「てめぇ...彩花さんから手ぇ離せや...!」俺は気がつくと小野を殴っていた。「いってえ!なにすんだ!」「いいからさっさとうせやがれ!二度と来んじゃねえぞ!」「悠斗さん...」「ちっ...!仕方ねえ帰ってやるよ!ただし覚えとけよ。いつか必ずこの借りは返させてもらうぜぇ!」そう言って小野は帰って行った。騒ぎを聞きつけたのか、先輩も休憩から急いだ様子で戻って来た。俺は正気に戻るとすぐに「すみません!ついカッとなって...本当に申し訳ありません!」「いや、いいんだよ。彩花さんを守るためにした事だ。私達は大丈夫だが彩花さんは大丈夫かね?」「ええ...大丈夫ですよ。すみません、私のせいで...」「なんで彩花さんが謝るのよ!大丈夫よ!心配しないで!」先輩が宥める。「ありがとうございます。私もうここに来ないほうが良いのかも...」「何言ってんッスか!全然来てください!そんな事言わないで下さいよ!」「悠斗さん...そうですね。私馬鹿でした。皆さんにこれだけお世話になってるんです、来ないと罰当たりですよね。ではまた明日来させて頂きます。それでは...」そう言って彩花さんは帰って行った。「本当に大丈夫でしたか...?」「ああ。大丈夫だよ。心配いらない。またみんなで頑張っていこう。」「そうですね!頑張りましょう!」とは言ったが俺は不安でならなかった。
そして嫌な事にその予感は的中した...




