第十四話~驚愕の事実~
「おはようございます!!!」俺は勢いよく扉を開けて言った。「えっ!磯宮君!?どうして?釈放されたの?」先輩は驚いた様子でそう言った。「はい。マスターのおかげで。」「はは。随分と帰りが早かったね。まだ朝早いのに。」「マスター、本当にありがとうございます!そしてすみませんでした!迷惑をかけてしまって...」「いやいや、迷惑だなんてとんでもない。お金の事なら心配いらない。私はこの店を初めてからいざと言う時のためにお金を貯めていたからね、役に立ったよ。」「本当にありがとうございました!!このお礼は必ず...」俺はつい涙を流してしまった。「いいんだよ。君が戻って来てくれるなら安いものさ。さあ気を取り直して開店の用意だ。」「はい!」「ああそうだ。弁護士さんに悠斗君が帰って来た事を言っておかないと。ちょっと失礼するよ。」「分かりました。」そう言ってマスターは店の奥に入った。「でも良かったわ。磯宮君が帰って来てくれて。マスター、磯宮君が連れて行かれてからずっと落ち着いていなくてね。知り合いの弁護士の人に頼んだりして、なんとか磯宮君を助けようって必死だったのよ。でも今日のマスターはとっても嬉しそうね。」そうだったんだ...マスターは本当に俺の事を...「良かったです。マスターが元気になって。」「ええ。そうね!」先輩はニコッと笑った。
そして開店の時間になった。おかしい、人が全く来ない。いつもなら大抵朝のランチとかで人がたくさん来てたはずなのに...「マスター。お客さんが来ませんね。」しまった。つい口に出てしまった...!「ああ。そうだね。大丈夫さ、今日は日曜日だから朝も人が少ないんだよ。昼時になれば人も増える。」「そうですね。ちょっと居なかっただけなのについ忘れちゃって。」確かにそうだ。今日は日曜日か、刑務所にいたから曜日感覚がどうもな...すると(カランカラン)「おはようございます!悠斗さん帰って来たんですね!」そう言って勢いよく入って来たのはなんと彩花さんだった。「あ、彩花さん...!!」随分久しぶりに会った気分だ。しかし相変わらず美人だ。って考えとる場合か!「良かったです!」そう言うと彩花さんは俺に抱き着いて来た。
.........
.........え?
ちょっとまって。何これ、嬉し過ぎるんだが!釈放されてそうそうラッキーかよ!そう思った。いやいや落ち着け...今俺の顔はおそらくにやけているだろう。ひとまず顔を落ち着かせて...「本当に良かったです...悠斗さんが戻って来てくれて...」少し見下ろして彩花さんの顔を見てみると泣いていた。そうか...彩花さんはそれほど俺の心配をしてくれていたんだな...なのに俺はこの状況をラッキーと思ってしまった。情けない...つくづく自分が情けない。人にこれ程心配かけて、自分だけ満足してた。「ええ。ありがとうございます、彩花さん。でも心配はいりません。もう大丈夫です!この磯宮悠斗完全復活です!!」「うふふ、変わっていませんね。悠斗さんは、」彩花さんは微笑んだ。良かった。安心してもらえたみたいだ。「でも随分と早いですね。彩花さん。いつもなら3時頃に来るのに。」「ああそれはね、私が呼んだからだよ。」「あーマスターが呼んだんですか。」「君が戻って来た事をいち早く教えたくてね。何せ彩花さんもたくさん協力してくれたからね。」「そうなんですか!?」驚いた。まさか彩花さんまで協力してくれていたなんて...泣ける...「ええ。私マスターに頼まれて色々と、」「でも本当に助かりましたよ、彩花さんの協力無しでは保釈金の手続きもできませんでしたから。」「保釈金ってマスターが弁護士さんを通して払ってくれたやつですよね?」「ええ。まあ、仕事なので当然と言えば当然の事ですけどね。」ん?仕事...?「あ、あの彩花さん、仕事って...」「ええ。あ、そういえば悠斗さんには言ってませんでしたね。私、弁護士をしているんです。」「え!!?」あ、思わず声に出た。「そうだったんですか!?」「はい。私、光未弁護士事務所という所で働いています。」嘘だろ...すげえじゃん弁護士って...「さて、では悠斗さんの安全も確認できましたので私は仕事に向かいますね。では皆さん失礼します。またいつもの時間に来ますので...」そう言って彩花さんは出て行った。「あ、じゃあ俺少し見送って来ます!」俺は玄関の近くまで走った。「マスター、彩花さん前と比べて随分明るくなりましたよね。昔はあんなにハキハキしてなかったのに...」「そうだね。吉村くん。きっと自分にとって幸せな人でも見つけたのかもしれないね。」「あら、それって...」「はははっ。我々は見守ろうじゃないか。きっと幸せになるさ。」マスターと先輩が後ろで話していたようだが、俺は彩花さんを見送っていたので少ししか聞こえなかった。
でも二人はとても楽しそうな声だった...




