表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

第一話~まず初めに~

「いらっしゃいませー!」と、俺は元気よく言う。「磯宮くーん!3番のテーブル片付けて〜!」と先輩に言われ、「了解で〜す!」と俺は応えた。俺の名前は磯宮悠斗。喫茶店「一期一会」で働いている。俺は今年の春から社会人となった。大学には行かずに高校を卒業してから特にする事もないが、上京した。実家は埼玉で母と二人暮らしだ。俺は東京に来て驚いた。人の多さや物価、建物の高さなどなど、とにかく沢山ある。埼玉は割と東京と近いからそんなに変わらないんだろうなー、と思いながら東京に来たから余計にだ。

そんな俺が何故この喫茶店で働いてるのかと言うと、俺は東京に来てから金を節約していたから中々食べ物にありつけなかった。しかもこれと言ってなりたい職業もなく、振らつきながら歩いているとある男性に話しかけられ一つの喫茶店に案内されて一杯のコーヒーとアップルパイをご馳走してくれた。その人がこの喫茶店のマスター大塚貴之さんだ。六十八歳と高齢だが、背筋はピンとしていて料理も上手い。奥さんを早くに亡くしていて、それまでは普通のサラリーマンをしていたそうだが奥さんが亡くなられてからは昔からの夢だった喫茶店を開いたそうだ。そして俺はその時の味に涙が出た。本当に嬉しかった。正直、味より嬉しさの方が上だった。だから感謝の気持ちとして俺はこの喫茶店で働く事にした。今は六月。ここで働き始めて約二ヶ月程だろうか。だいぶ喫茶店の仕事にも慣れてきた。結構楽しくやっていけている。皿洗いや注文の確認、テーブルの後片付けくらいだが、やってみると案外楽しいものだ。ちなみにさっき俺に指示をしてくれた人が俺の先輩の吉村朱里さんだ。先輩は二十代と言っているが見た感じもう少し歳と思うが一度それを言うと殺気を放った目で睨まれたので触れないでおこう...しかし普段は優しい人でとても良くしてくれる。だから親しみやすい。

「さて、一段落ついたね。お客さんも今はいないから休憩しようか。」とマスターが言う。「了解でーす。」と俺と先輩は口を揃えて言った。大体三時から五時頃になると店は落ち着く。なので大抵この時間帯は俺達の休憩時間だ。休憩時間は軽食を食べたり雑談したり、まあとにかく楽しい時間だ。しかしこの時間帯になると必ず来るお客さんがいる。(カランカラン)その時ドアが開く音がした。「こんにちは〜」と声がした。来た。「おお、いらっしゃい。いつものでいいよね。」「うん。ありがとうマスター。」といい椅子に座る。その人の名は今川彩花さん。彼女は可愛いと言うより美しいと言うのだろうか。黒髪のストレートで大人しい人だ。そんな事を考えていると「こんにちは。」彼女は俺にむかって微笑んだ。俺はドキッとした。そう、俺は彩花さんに好意を抱いている。マスターが言うには約一年前からこの時間帯に来ているらしい。俺は彩花さんと初めて会った時から恋に落ちた。一目惚れ、だろうな。「こんにちは。彩花さん。やっぱこの時間帯なんですね。」「ええ。私はこの時間帯に暇ができるので。」「あー。なるほど、そうなんですねー。」俺はこんな時間が幸せだ。

それから時間は経ち、彩花さんも帰りまた忙しい時間帯に入る。ここは朝の七時から夜の十時まで営業している。大体開店から十時、十二時から三時、五時から八時までが忙しい。そして八時近くなりまた静かな時間になる。こんな時間になると必ず来る奴がいる。(カランカラン)来たか...「よぉ、悠斗。来たぜ〜」「誰も来てくれなんて頼んだ覚えはないけどな。」「ははは、そう言うなって。マスター、今日はカフェオレとチーズケーキで。」「はいよ。ゆっくりしてくれ。悠斗くん、君も休んで良いよ。」「ありがとうございます。」俺は休憩に入る。と言ってもカウンター席で休むだけだが。今来た男は豊川聡。俺の幼なじみだ。聡は楽観的な性格で、大雑把だ。だけど芯はしっかりしてる。でも幼なじみになのになんで東京にいるのかというと、聡は俳優を目指している。だから上京した。何故か聡は俺の母親に気に入られていて、母から俺の面倒を見てやってくれって頼まれたのだ。母さんもなんでこいつに頼むのかね...「そういやどうだ?最近、変わった事とか。」「あのな、お前は毎日来てるんだ。そうそう変わった事なんて日々起こらねえよ。」「そうかー。お前にも恋人でもできりゃあお前の母さんも安心するのになー。」「うるせえよ。」全く、こいつの相手は疲れる。だけど楽しいのだ。

それから一時間程経つと「んじゃ、俺そろそろ帰るわ。マスター、朱里さんお邪魔しましたー。」「ああ、またいつでもおいで。」「待ってるわよー。」聡は帰った。店は静かになった。さて、そろそろ片付けるか。そんな時、(カランカラン)ん?こんな時間にお客とは珍しいな。「こんばんは。」あ、こいつか。「おや、久しぶりだね。いらっしゃい。」中川夏美、こいつも俺の幼なじみの一人だ。夏美はファッションデザイナーを目指し、上京した。俺達より少し後に。基本的に大人しいが、仲が深まると結構明るくなる。この店には聡とは違い、たまに来る。「マスター、ブラックコーヒーを一杯くださいな。」「はいよ。ゆっくりしていきな。」「いえ、コーヒーだけ貰ったらすぐに帰ります。」「お、中々仕事は順調なんだな。」「うん。結構ね。」「そうかー。おめでたいな。」

そして夏美はすぐに帰り、店は閉店時間になった。

俺は家に帰って、特にする事もなくなるといつも考えてしまう事がある。それは...「彩花さんとどうやったらもっと仲良くなれるのか!」という事だ。俺はとにかく彩花さんとさらに仲良くなりたい、そしてあわよくばお付き合いしたい!なんて夢のような事を考えている。誰かに相談するのも恥ずかしいしなぁ...

こんな風に俺は毎日を過ごしている。でも普通の毎日でも「恋」をすると全く違って見える...

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ