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魔物の世界で青年はステータスをインフレさせる  作者: 上七川春木
1章『青年は冒険者を夢見る』
18/31

17 「青年は冒険者組合で用を済ませる」

本日二話目の投稿です。


一話が短いとなかなか話が進みませんね。

あと少しで冒険できるんや……


 冒険者組合の中は、非常に清潔に保たれている。

 世間のイメージでは、あまり綺麗なものとは思われていないが、それは勘違いというものだ。

 冒険者組合には、冒険者以外の者も多く訪れる。

 冒険者組合に依頼を発注する、商人や軍の関係者。

 そして、果ては貴族までがこの場所を訪れることがある。

 組合にも、相応の面子があるというもの。

 組合の顔である、建物を汚されるわけにはいかないのだ。

 故に、建物を必要以上に汚す者には、罰則が与えられる。

 罰則はそれほど重いものではないが、組合から白い目で見られることを避けたい冒険者は、否が応でも従わざるを得ない。


 アルバートは組合に入ると、すぐに受付への向かう。

 一階にある組合の受付は、その建物の広さに比例して、非常に広い。

 幾つもの窓口が立ち並び、そこには何人もの冒険者や商人が列を作っている。

 多くの人が、組合を利用しているようだ。

 それでもなお、周りを見渡せるほどの広さがあるのは、さすがと言うべきなのだろう。

 アルバートが並ぶのは、冒険者用の窓口。

 どの窓口の列も同じほどの長さであることを確認すると、入り口から一番近い場所にある列に並ぶ。


 冒険者によっては、自分の好みの受付嬢の場所に並ぶ者も多い。

 受付は、全て見目の良い女性が担当しているためだ。

 これにも、相応の理由がある。

 しかしアルバートにとって、それは余り興味のあることではなかった。

 女性に興味がないわけではない。

 アルバートも男だ。

 しかし今、彼の頭の中は冒険のことで頭がいっぱいであり、そちらに目を向ける余裕がないのだった。


 受付嬢は優秀なようで、長い列の後ろで並んだアルバートにもすぐ順番が回る。

 この窓口の受付嬢は濃い金の長髪で、森の緑を思わせる瞳と長い耳が特徴の女性だった。


「本日はどのようなご用件でしょうか?」

「あー、<アヌスの森>の東部表層の情報が欲しいんだ」


 <アヌスの森>。

 ここ冒険者の町カクタスを囲うように広がる、<カクタス草原>。

 そこを東に進んで行った先にある、大森林。

 草原を抜けた先にある場所のため、ここに行くにはある程度の準備と実力が必要になる。

 魔物の領域を、少し深く潜ることになるためだ。

 <アヌスの森>には、貴重な魔草や果実をはじめ様々な資源を採取することができるため、人気が高い。

 草原とは異なる種類の魔物も出現するため、その素材も魅力的だ。


「<アヌスの森>東部表層ですね? 交易共通小銀貨三枚になりますが、よろしいですか?」

「ばっちりさ」


 アルバートは、あらかじめ用意していた小銀貨を、ポケットから出す。

 窓口に置かれた銀貨は、カチャリと音を立てた。

 受付嬢はそれを確認すると、淡々と業務を続ける。

 どうやら、あまり笑顔が得意ではないらしい。

 接待も必要な業務として、それはどうだろうか。

 そうアルバートは、商人の目線で考える。

 ただ、後ろを振り返って見える列をなす冒険者の群れと、その僅かに好色がちらつく目を見て、あまり問題はない様だ、とあたりを付けた。


「コリン様、こちらが<アヌスの森>東部表層の資料となります」


 アルバートが後ろに気を取られているうちに、用意が終わったらしい。


「ああ、ありがとさん」


 そう言って、資料をバッグの中に押し込み、受付を後にする。

 後ろから微かに、行ってらっしゃいませと声が聞こえた。

 これで組合ですべきことは終わり。




お読みいただきありがとうございます。

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