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女神と夫婦になるために  作者: たつ
5章 帝都にて
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戯話10話!God of love 愛の神

戯話は前書きから後書きまで全てをマールが書いているという事にして書いています。ですので、不遜な態度や読者様を不快にさせるような煽りがあると思いますが、どうかご勘弁を。


では、お楽しみ頂けると幸いです。

 現在僕はアンネによって心臓を貫かれている。


 うーん。なんでだろう? しっかりアンネのことを愛しているし、アンネの言う愛とはなにか? と言うのにもしっかり答えている。


 というか、痛い。聖剣が痛い! これは僕がハーレムメンバーに作った武器の一つ、汝を愛するという名前の聖剣だ。


 アンネは銀髪灰色目という、日本でいうファンタジー産の様な見た目をしている。親も見たことがあるが、アンネほどではないが、銀に近い白髪に灰色目だったので、おかしくはなかった。


 こんな見た目をしているけど、熊さんのぬいぐるみやピンクなどが好きだから、聖剣もピンクの鉱石を使い、淡い光を出すような聖剣、神剣かもしれないけど、多分聖剣を作った。


 聖剣というのは、魔を討ち滅ぼす絶大な力を持った剣のことを言う。でも、一般の人に向けて聖剣を振るっても、鋭い剣程度の力しか出ない。


 聖剣が聖剣としての力を発揮するには条件がある。ひとつは世界がそいつを悪だと認めている場合。このパターンはこの世界の人が魔王や魔物を悪だと断じているので、特攻が働く。僕がマールとして、カズシを世界の敵にして追い詰めたのも、聖剣の条件をクリアさせる為だ。


 もうひとつは、聖剣の使い手が敵の明確な悪を認識していること。カズシが王様を暗殺したとして、それを知っているのは僕だけだとしよう。その状態で僕が聖剣で攻撃しても、特攻が働く。


 前者は事実じゃなくても、世界が認めていれば力が発動し、後者は事実をしっかり認識していれば力が発動する。


 カズシは僕を殺した悪なので、聖剣や神剣の特攻が発動するだろう。


 聖剣の話なんていいんだ。今僕に刺さっている聖剣が力を発揮していることが問題だ。この世界では僕は勇者であり、救世主だ。それなのに力が発動しているということは、


 僕がマールであることを知っていて、僕がやっていた世界遊戯(まおうとゆうしゃ)を知っている相手ということになる。その前も前科があるけど、多分知っているだろう。そのことも。


 口から血が出てきたんだけど。


「アンネ? 何故僕のことをマールなんて呼ぶんだい?」


 いつも僕に笑いかけてくれている優しい顔が、今は鋭い表情で睨みつけている。


「しらばっくれるな。お前が悪逆非道、悪とは月神マール、貴女が全ての悪だという事はわかっています」


 僕が何なのかわかっているみたいだね。僕の遊戯の駒にされた魂が、たまたま記憶を持ち越してアンネになり、月の神というワードで記憶が戻ったのかね。


「確かに……ゴホ、前は悪逆非道だったね。人間の感覚からしたら、酷いことをしていただろう。でもね、今の僕は」


「黙れ! 貴様は北欧の悪戯好きな神よりもタチの悪い口があるのは知っている!」


 む、もしかしてこの子は神関係の子なのかな?……でも、僕はこんな子知らないんだけどな。多分新人の神なのか。


「そうだね。でもさ、アンネ? 今の僕がそういう事をすると思う?」


 そういうと、刺した剣を抑えながらヒステリーを起こし始めた。血がやばい。


「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!! 私の正体すら思い出せない様な非道な神の話なんて聞きたくない!」


「……待ってくれ。僕は君を、……僕はやはり君のことを覚えていない」


 なんて言ったら、僕を倒して剣をそのまま地面にも刺して、地面にも串刺しにして、


「覚えていないわけがないだろう! 私の神としての私の体を! 純潔を! ただ、面白半分で奪った癖に! ふざけるな!!」


 …………悪逆非道な時期の僕はそういうことばかりしていたから、わからない。


「…………わからない」


「……貴様には愛するという気持ちはないのか!!」


 あ!


「そんなものは魔狼に食わせてやったわ! だったかな?」


 女を道具同然に食っては捨てを繰り返していた時に、説教に来た新しい神の割に位も高く、力も美貌もあった神、愛の神確か、


「アネンだったな」


「そうだ! 貴方にぐじゃぐじゃにされて、見た目がいいからって、おもちゃ箱とやらに幽閉されたアネンだ!」


 うん、思い出した。あの時期は僕に反抗してくる女の神がいなくなってきて、そんな時に僕を説教しに来たから、テンションが上がって幽閉したんだったね。


「……なら、こんな風に刺されてしまうのも納得だね」


「そうだ! どうぜんだ!」


 でもね、


「当然なら、なんで君は泣いているんだい?」


 その綺麗な灰色の目からは、大粒の涙がいくつも流れている。


「そ、そんなわけがないだろう! 最悪という言葉の意味を調べれば、マールと出てくるくらい有名な悪神な貴方を殺せたなら、いくつもの世界が幸福になるだろう」


 なんで尻すぼみしてしまっているんだい?


「多分そうだね。僕を殺せば、何億もの神が喜び、数えきれないほどの人が幸せになるだろうね」


「なら!」


「わかった。まあ、もう限界が近いからね。アネン……アンナになら僕は殺されてもいい、僕を愛してくれている女性になら殺されてもいいなんて最近思ってたんだ」


 何だかんだ、みんなと幸せに暮らせているが、疲れてしまっているのかもしれない。幾数年もの間、神の中でもとりわけ正義を重んじていた僕。生まれのせいで色々あったけど、それでも頑張っていたけど、それに疲れ世界の破壊者にもなった。でも、僕の心は満たされなかった。カズシに殺される瞬間に満たされた気がしたけど、ただの勘違いだった。


「そう、君達のおかげで僕は満足してしまったのかもしれないね。ごめんねアンネ。君のその綺麗な手を僕の血で汚してしまったね」


 視界の色が消え始めた。カズシに殺された時は瞬殺だったけど、こんな感じなんだね。


「…………そうよ! 私は正しいの」


「そう、アンネは正しいよ。でもね、これだけは言わせて欲しい」


「僕は、マリアを、佳奈を、楓を、遥を、優香を、飛鳥を、輝を、シルフィを、恵美を、紗奈を、美羽を」


「そして、アンネを心から愛し、て……い…………る」


 そして僕、種族人間、名前シンイチの生涯を終えた。

お疲れ様でした。

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