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女神と夫婦になるために  作者: たつ
4章 暗躍せし勇者
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第54話! お姫様

カズシ君は満更でもないようです。


章死の王となんたらを変えました。なんかダラダラしてたら、15話くらいこの章で使ってたので、章を変えた。


では、お楽しみ頂けると幸いです。

「改めて、助けてくださりありがとうございます」


 コケて支えられた状態から、しっかりした立ち振る舞い戻りお礼を言ってきた。仕草に気品があり過ぎて、貴族以上だとモロバレだな。


「ああ、別にいいが、そのお礼だと貴族以上だともろにバレてしまうし、その一般庶民の服装を真似たような服は逆に目立つぞ?」


 それを指摘してあげたら、心底驚いたような顔をして、


「え!? 本当ですか? 私が王族だとバレてしまうなんて……やっぱり街に出てみないとわからないこともあるんですね!」


 なんて同意を求めてきたけど……なるほど! ポンコツな姫様か。


「あとさ」


「はい!」


「俺は貴族だとバレてしまうと言っただけで、王族だと指摘はしていないのね」


「あ! もしかして私が自分でバラしてしまいました?」


「自分でバラしてしまいました」


 あうーとか言って、オーバーリアクション気味に落ち込んでいる。どこの王族もこんなのばっかなのか。


 ていうか、流石におかしい。なんでこんなにあるあるイベントが起きんだよ。王族のお忍びがバレて、馬鹿な奴らに追われ、それを俺が助けるとか。おかしい。


「黙っててやるからいいけどな。俺はSランク冒険者カズシだ。このまま置いていくのも忍びないから、ギルドとかになら連れていってやるよ」


 冒険者カードを見せて自己紹介する。Sランクってだけで、信用される魔法のカード。


「あ、もうバレてしまったからいいですね。私はこの国の第三皇女である、メリアリーゼ・ブルースといいます。本名はもっと長いのですが、疲れてしまうのでこれだけでいいですよね?」


 皇女なのになんか喋り方が柔らかいな。もっとガチガチなもんかと思ったが。性格だろうな。


「それで、君はなんでこんな所で追っかけられていたんだ?」


 気になっていたことを聞くと、バツが悪そうに視線をうろちょろして、手が忙しなく動いている。ゴニョゴニョしているで伝わるだろうか?


「あー、今の時期って式典があるから色々と抜け出しやすくてですね、自分のしたい勉強ならいいんですけど、縫い物とかそこら辺はとっても嫌いで……その授業のタイミングで隙が出来たので……抜け出してきちゃいました」


 テヘペロみたいな顔をしているけど、可愛いから似合っている。


「それで抜け出したはいいけど、どこに何があるかわからず、ほっつき歩いていたら追われたとかそんなんか」


「凄い! どうしてわかったんですか!?」


「こういう話は大抵そういうものなのよ」


「? そうなんですか……あのカズシ様はSランク冒険者なんですよね?」


「まて、メリアリーゼ姫。なぜ俺を様付けする? 貴女は皇女なのだろう?」


「私を助けてくれた王子様に対する礼儀です。御伽噺のお姫様みたいじゃないですか!」


 あー、はいはい。オーケーオーケー。流石にこのテンプレは看過できん。後で殴り込む。


「……言っても聞かんだろうからいいけどね。無理やり城に連れていこうとしても、駄々を捏ねるんだろう?」


「はい! 王子様と少しでも一緒にいる為に駄々を捏ねさせて頂きます!」


 ドヤ顔で胸を張ってきた。無い乳でやられても、オオーってならんからな。それはそうと、リルヒに降りてきてもらうか。


「俺の仲間が空中で待ってるから、呼んでもいいか?」


「王子様のお仲間ですか!……空中ですか?」


「ああ、あそこに人がいるのが見えないか?」


 リルヒがいる方向を指さして、どこにいるのか教えてあげる。


「魔法で空を飛んでいるんですか!?…………」


 なんかうずうずしてる。魔法で空を飛べる世界だけど、実力のある風魔法使いが飛べるだけだし、飛びたいんだろうな。


「メリアリーゼ姫、そ「王子様!」はい?」


「先程からメリアリーゼ姫と呼んでいますが、それじゃあ他人行儀過ぎて悲しいです。リーゼと呼んでください! 親しい人しか呼ぶことがない呼び名ですので」


 他人行儀って他人なんだけどな。うーん。


「メリアリーゼひ「リーゼ!」……」


「メリアリー「リーゼ!」」


「メリ「リーゼ!」」


「リー「リーゼ? 今なんて言おうと?」 リーゼ」


「はい、王子様」


 こういう時の女性には勝てねえと思うんだよね。武力行使出来ねえし。


「仲間に降りてきてもらおうと思ったけど、飛んでみたい?」


「是非! いいんですか!? やったー! 今日だけで何個もの夢が叶う!!」


 とても喜んでくれるのはいいが、大声出すな。追っては2人だけじゃなかったみたいで、二人ほどこちらに来ている。


「【異次元トンネル】【ライトニング】【転移】」


 敵ふたりの前に空間をつなげて、さっきと同じコンボ。


『追加ふたり』


『畏まりました』


「行きましょう!……あのお願いしてもいいですか?」


「なんですか? 無茶はしませんけど」


「いえ、空を飛ぶ時はお姫様抱っこして貰えますか? それも夢の一つなので」


 そのくらいなら……大丈夫か? 本当に色々詰められている気がしないでもない。


「いいですよ。……しっかり腕や服に捕まっていて下さいね」


「はい!」


 ゆっくり上昇していく。


「わあああああ!!! すごい! 飛んでます! 王子様! 飛んでますよー。お兄様達やお姉様達も飛んだことないのに、私飛んでます!」


 すごいテンションだけど、落ちないようにぴったりくっついている。


「なんでその子を連れてきたのよ」


「この国の姫だったから、無駄に拒否できなかった」


「姫なんて言い方やめてください!」


「はぁー、リーゼは姫様だったから拒否なんて無理」


「お姫様!?」


「貴女が王子様のお仲間ですね……王子様、その方とふたりでお話したいのですが……いいでしょうか?」


「いいよ。ちなみにリルヒって名前ね」


「リルヒ様少しお話をしませんか?」


 女って秘密のお話好きだよね。男も下世話なことなら好きだけど。


「いいわよ」


 リルヒが立っている結界の上に乗せて、めっちゃ離れた。


『何の話をしていると思う?』


『カズシに惚れたのなら外堀を埋めるのが鉄板』


『仕草とか雰囲気はアホだけど、そういうやつに限って頭が回ったりするからな』


「はぁぁぁぁぁぁ!!??」


『リルヒが叫んでるし。縫い物とかは嫌いって言ってたけど、知識を蓄える勉強は好きとかそんなところだろうからね』


『リーゼは悪い子じゃないから、いいんだけど、国の姫だからな』


『面倒くさいよね』


「カズシ! きてー」


 話が終わったのか呼ばれたので行く。


「話し合いは終わったの?」


「ええ、メリアがいい子ってのがわかったわ」


「メリアなの? リーゼじゃなくて?」


「リーゼは家族と王子様だけが呼んでます。ほかの人はメリアと呼んでもらっているんです」


「…………まあいいや」


「王子様? 街を少しでもいいので見たいのですが、よろしいでしょうか?」


「全然いいよ。行こうか」


「はい」


「私もいるからね」


「わかってるよ」


 こうしてメリアリ……リーゼとリルヒと共に街に繰り出し、屋台の食べ物を食べたり、締まりそうになっていた古着屋にお願いして買わせてもらい、いろいろ見て回った。


「串焼きは味が大味ですけど、美味しいのですね」


「でも、変なお肉を使っている屋台もあるから、気をつけないといけないわよ?」


「ですね!」


「……リーゼはこれからどうする? 俺の泊まってるホテルに来るか? 変な意味合いはない。仲間もそこにいるし」


「いいんですか?」


「どうせ問題になるなら1日も2日も変わらんだろう。ガンスに言っておけば問題なかろう」


「ガンスって城壁さんですか?」


 皇女ですら知られてるのか。すげえな。


「城壁だな。あの人ならなんとかうまくやってくれるだろう」


 ホテルに戻りながらガンスに念話をした。


『ガンス? 今平気?』


『……ああ、大丈夫だ。またなにかしたのか?』


『なにかしたと言えばした。リーゼ……メリアリーゼ姫を保護した』


「『はああああああああ!?』」


 ガンスは驚くと念話だけでいいのに、口からも叫んだりする癖があるな。多分今回も叫んでると思うし。


『……何があった?』


『リーゼが抜け出してきて、どっかの馬鹿に追われていた。姫とは知らずとりあえず助けたら、姫だった。俺といたいから帰りたくない』


『…………俺が信頼できるSランク冒険者に護られながら、街を散策していると言っておく。明日の昼にはギルドまで連れてきてくれ。あとコーヒーとチーズケーキ一式ほしい。徹夜なんだよ』


『今転移で行くけどいい?』


『もちろん』


 転移で移動して、ガンスにこれ以上はやめてくれと言われ、ケーキを渡して戻ってきた。


「…………メリアとお呼びください。よろしくお願いします」


 各自自己紹介をして、最後にリーゼの自己紹介が終わった。


「皆はご飯食べたんだよね?」


「旦那様が連絡なしで遅くなったので、食べに行きましたね」


「すまん。念話で一言くらい言えばよかったな」


 リーゼに圧倒されてたから、忘れてた。


「皆さん。今日は色々お話したいのですが、いいですか?」


 首をコテンと斜めに倒し、そんなことを言っているリーゼ。あれは計算も含まれているだろうけど、可愛いから問題ないよね。


 あと! 手は出さねえからな。流石にそれをするとマジで不味いし。


「リーゼすまんな。俺は夜やることがあるから、帰ってくるのは朝になる。みんなと話していてくれ」


「…………わかりました!」


「みんなもすまんな」


 みんなも何も言っていないのに理解してくれているようで、よかった。


「【転移】」


 転移で教会の人がいないところに忍び込んで、


「あげてくれ」


 神界に来た。ルナとアルミエが出迎えるために来てくれたようだ。


「カズシお疲れれざま!?」


「ルナ、てめえふざけんなよ!」


 出迎えてくれたルナの首を両手で思いっきり持ち上げ締める。


お疲れ様でした。


カズシ君は激昂しています。


てか、リーゼはこんなにする気がなかった。でも、なんかいつの間にかこんなふうになってた。


先が書きたいでござる。シンイチ編は書く気が起きないから当分先。


次回、運命

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