第50話! ブルース冒険者ギルドの洗礼
皆様のpvやブクマや感想などの応援のおかげで、日刊更新で第50話に到達することが出来ました! 誠にありがとうございます! まあ、正確にいうと71話目なんですけどね。
最近のお話は割と荒んでいますが、次回からは甘くしていきたい。スラリンとクロ以外ともいちゃつきたい。
では、お楽しみ頂けると幸いです。
帝都についたから、さっそくみんなと観光……とはいかない。
道中は魔物に襲撃されなかったの? とかあるだろうけど、すべて未然に防いだ。魔物は近づいてきたら、放電して放置。盗賊もいたけど、放電して痺れさせて、屋敷に送ったからファベログがしっかりギルドに連れていってくれているだろう。
まずは、帝都のギルドに行って到着したことを伝え、話を聞かないといけないらしい。
「頼むから変なことしないで…………常識の範囲内での変なことに留めてくれよ」
ガンスは俺のなんだと思ってるんだ? しかも、別にガンスの前で礼を欠いたことなんてしてないぞ?
「おいおい、俺はギルド長の前で変なことをしたことなんてないと思うぞ?」
「一般的にはAランクがSランクと決闘して勝つことは変なことだし、一人で大氾濫を止めるのも変なこと。お前の常識で普通のことは変なことかもしれんから言ったんだ」
そう言ってくれればいいのに。確かにこの世界の普通なんてまだわからん。
「了解。理不尽を強いられたりしなければ、別に何もしない」
(理不尽をしてくる相手だから言ったのだがな)
ガンスはなんか疲れてるな……好物のチーズケーキでも差し入れしてあげるか。
どんな荒くれ共でも、日本のケーキの作り方で作ったケーキはハマるだろうから、ルシファーにはそういう部門を作って儲けさせてもいいな。あとラーメンとか。
「チーズケーキ作ってやるから頑張ってくれ」
なんてことをボソッと言ったら、ガンスは目をカッ!と見開いて詰め寄ってきた。
「本当だな!? お前が作ってくれよ? ファベログでもいいが、スフレとレアとベイクドの三種類に、前に差し入れしてくれたスティックタイプのヤツを頼む。あれはいい! ほかのケーキと違って食べやすく、それでいて紙で包めるから、手が汚れないのがいい!」
ガンスはチーズケーキキチになってしまったのだ。この世界ではまだケーキといえば、パウンドケーキに甘いクリームをつけて食べるものをケーキと呼ぶ。
でも、ガンスはそこまで甘い物が好きなわけではなく、チーズ好き。だから、チーズのケーキを作る時に作るからいる?って言ったら、ギルドをほっぽり出して来たくらいだ。
「迷惑かけてるみたいだから(これからルシファー改革するから、また迷惑かかる)こんくらいいいよ。あとさ、まずショートケーキとチョコケーキとチーズケーキでケーキ屋を開くかもしれないんだが、売れるかな?」
モンブランとか、シュークリームとかプリンも作ってるけど、それはまた今度かな?
「おおおお、絶対に売れる! 早く開け早く!」
うん、もし開いたとしてもギルド長は購入制限かけないとやばいだろうな。今のがっしりしたガンスだからかっこいいのに、ケーキのせいで中年みたいな腹になったらたまらん。
「この仕事が終わったらやってやるよ」
「よし、これでギースのクソジジイ相手でも気張っていけるぞ」
ガンスが前に何度かクソジジイとか言ってたけど
「ん? 帝都のギルド長がガンスギルド長が言っていた、クソジジイなのか?」
「お前も変に堅苦しいな。ガンスでいい。回答は肯定だ」
嫌なことを思い出した。
「そのジジイはルクス・ハーティアルって奴を抱えてる奴じゃなかったっけ?」
「…………お前がボコった貴族をSランクにしたジジイだな」
んー。なんで商都の貴族の分家が帝都で冒険者なんてやってるんだ? 商都でやればいいじゃん。
「なんで商都の貴族の分家が帝都でやってんの?」
「お前もそういう奴のことは忘れないのだな。ハーティアルは商都の分家だが、商都のギルド長は俺やクリスの仲間だぜ? 不正が出来ると思うか?」
「貴族のそういう事をやってるのは帝都のギルド長で、そういうズル以上の仕事をこなしてるから、下ろされないんだっけ?」
「ジジイは貴族とのコネが異常に強いから、下ろそうと思ったら支援金などが一気に減るから、下ろすに下ろせんのだろう。お前がなんとかして、蹴落としてもいいんだぞ? その処理ならいくらでもやってやる」
ガンスがここまでいうなんて、どんだけだよ。
「考えておく」
みんなはこんな話をしている時、自前のお菓子を食べたり、周りを見たりしている。
既に、ポーチの内蔵量を100人乗っても大丈夫なあれくらいの大きさにはできるようになった。身内専用で身内以外がポーチに手を入れると、痺れるのとアラームがなる防犯機能付き。ガンスとルキナ母にもあげた。御世話になってるから。
そこにファベログと俺が量産したお菓子を入れたりしている。カロリーはしっかり控えめ。でぶられても困る。
帝都のギルドはスーマの3倍くらいの大きさがあった。スーマもなかなか大きいけど、無駄な大きさじゃないと思う。こっちは無駄に大きい。
ガンスと共にギルドに入って、受付に向かおうとしたら、赤点がこちらによって来たので、ギリギリのところで止まった。
「グハッ! 何ぶつかっ…………てめえ何ぶつかってんだよ! てめえのせいで、魔道具が壊れちまったじゃねえかよ」
俺が立ち止まる少し前に、馬鹿みたいに大きい足音を鳴らしたので、ギルドが静かになり、皆がこちらに注目。そして当たる前に立ち止まり、誰も当たってもいないのに、コケて元々壊れている魔道具をぶちまけ、なんか言っている哀れな男の姿をみんなが見た。
「…………」「……」「………………」「…………」
周りの方々みんな無言。ギルドの外の喧騒がなければ、不気味なほど静かだ。
「……」
「……」
剣士の風貌の当たり屋男もなんか沈黙してるし、ガンスも沈黙。もちろん仲間も沈黙。
『アハハハハハ、あいつバカじゃない! 我の半身、カズシがそんなのに引っかかるわけないじゃん! アハハハ』
闇姫にはお気に召したみたい。
『哀れ』
「哀れ」
やべ! スラリンに釣られて、言葉が出ちまったわー。あーやっちまったわー。
「ざ、ざけんなよ!てめえ! 女侍らしていい気になってんじゃねえぞ!」
「そうだそうだ」
とかなんか言って、男が立ち直り、槍を持ったヤツ、短剣を持ったヤツが出てきて、構えてきた。
そして、マップを確認すると受付の奥に赤点がもう一つある。
無属性魔法【透視】【遠見】。
『なあ、ガンス。白い髪に白ひげモフモフなジジイってそのクソジジイだよな?』
『ああ、ここから見えるところにいるのか?』
『受付の奥にいて、俺に悪意を向けてきているから、気がついた』
『てことは、これを企んだのはクソジジイか。責任は俺と周りの冒険者が取る。やっていいぞ』
そこは俺が取るじゃないの? まあ、周りにも証言して欲しいから、注目を集めたんだけどね。
『ここがAランクのルクスがいる場所なら、あいつから譲渡された槍を使ってみるのはどう? 確か特徴的な見た目のミスリル槍だったよね?』
あー、貰って(無理やり)から一度も使ってねえや。
ボックスから出すことになるから、いきなり手元に槍が現れたように見えるだろうけど、まあいいか。
取り出したのは、ルクス・ハーティアルから貰った大槍。金ベースの赤色をした派手な槍だから、ここのギルドの奴なら、ルクスをボコったのが、俺だとわかるかな? それとも情報規制でもしたかな?
「お前らは俺に因縁をつけてるんだよな? 喧嘩を売ってるんだよな? 自分で転んで恥ずかしくて、剣を、槍を、短剣を抜いたんだよな? お前らの味方は受付の奥で隠れているジジイで、俺の味方はこいつと周りのオーディエンスだからな? 脳なしじゃわからんか」
光魔法【液晶】を話しながら、発動した。これは場所を指定して、その場所の状況を空中に、SFとかである空中液晶みたいに映し出す。ギルドの空中の空間の真ん中に液晶を出し、映し出すのはクソジジイの場所。
これで逃げられない。俺がボコったらいきなり「君達は一体何をしているんだ!」とかで介入したり、ギルド長にいたからそんな騒動知らないなんて言わせない。もちろんギルド長からは見えない位置ね。
まず、なんで俺がこんなに手際よく出来ていて、情報としっかりあるのか。俺の事情を知らないギルドなんて問題が起きることが必須だろうから、スラリンの分体に人の形やネズミなどの姿になってもらって、侵入して、情報収集をしてもらった。
そしたら、ここのギルド長がAランク冒険者をぶつけて、怪我をしたら僥倖、返り討ちにあっても責任追及とかしてこのギルド所属にしようとした。ウザすぎ、これで完全に悪人なら暗殺もしていただろう。
こいつというのはガンスのことね。城壁のガンスって名前を出そうとも思ったけど、なんとなくボコりたいからボコる。
「死ね!」
挑発に乗ったようで顔真っ赤にして三人が、切りつけて、突きを放ち、短剣を投げてきた。
「付加魔法【空間】ハアアア!」
空間魔法を付加して、空間ごと突きを3度ほど穿つ。ろくに対策してない武器ならまあ、わかるよね?
「俺の剣が!」
「槍が抉れた?」
「短剣が消えたんだけど!」
「死ね!」
【転移】を3回ほどして、三人に1発ずつ拳を振るい、受付の方に吹っ飛ばした。
「逃げんなよジジイ!」
光魔法の液晶越しに槍を突きつけて、そう言い放つ。
ただのミスリルの槍で空間魔法を付加して、空間ごと穿ったせいで、思いっきり歪んでしまった。
お疲れ様でした。
いやー。ケーキを作るのは楽しいですが、材料費が無駄にかかるから、クッキーとかになってしまうんですよね。
日刊更新でどこまで行けるのか。4月に入ったら、日刊が辛くなると思うけど、なんとか続けていきたいですね。
次回、今度こそ観光やらデート




