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女神と夫婦になるために  作者: たつ
4章 暗躍せし勇者
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第45話! 孤児院

安価ss書くの楽しい。


花粉症という概念は必要ですか?


では、お楽しみいただけると幸いです。

 ハサとファベログは夜から動くようで、すぐに出ていった。


「ディルは商売とかなんかしたいことないの?」


 ディルは勉強熱心みたいだけど、何かをするためにしているのか、することが楽しいのか。


「いえ、特には……知らないことを知ることが楽しいので」


 後者か。俺は前者だからわからん。


「わかった。おやすみ」


「おやすみなさいませ、マスター」


 挨拶をして下がっていった。この誰もいない書斎(本がない)で、


「一日で解決しない問題って嫌だな」


 話し始める。


『それが普通なんだけど』


「そうだけどさ。この街のルシファーだか、サタンだかの構成員をボコろうか、洗脳しようか、洗脳してさらに仲間にするか」


『私の分体もあるし、いらないんじゃない? あと帝都裏組織の二つ目はサタン』


「俺の情報源がルシファーの元構成員だと思わせるためだけに、引き込もうかなと思ってるんだよね。福利厚生はしっかりするよ? サタンもあるのか」


 金なら、ミスリルやオリハルコンを最高効率で精錬して、錬金術で強度や粘りを高めて、武器や防具を作成するだけで大金貨何十枚にもなるからな。芸術の域に達すればそんくらい稼げる。まだやってないけど。コネがねえし。


『ああ、そういうことね。ならいいんじゃない? どうせ』


「女工作員がいても手を出さないからね」


『……寝よう』


「だな」


 不毛な言い合いには発展しない。スラリンはできるスライムだから。



 翌朝。



「カズシ様?起きてください!」


 俺の睡眠は浅い。クソみたいな神の使徒に追い回された経験が生きている。生きていると言っていいかわからないけどね。


「なんで俺の名前にハテナをつけたのかと思ったら、女の姿だからなのね」


「はい、その姿の時の名前を決めた方がいいと思います」


『フウなんかある?』


『フウでいいんじゃない?』


 フウでいいみたい。


『まだ眠いの』


『4時間足りない』


『おやすみ』


 フウは睡眠時間が長いんだよな。ライは早寝早起き。クロは俺に合わせている。いつでも憑依が出来るようにらしい。スラリンと同じくらい愛いやつ。


「なら、この姿の時はフウって名前でよろしく。みんなに言っておいてね☆」


 キラッって顔の横でピースしながら、光魔法で目の中に☆を映す演出付き。クロの前で目の中に黒い龍を投影したら、めっちゃ喜んだのは記憶に新しい。


 客観的に自分の行動を見ろとか絶対言うなよ! 今の状況を楽しんでいるんだから、無粋なことはなし。キモイだろうけど考えない。


「はい、わかりました」


 元気な声で返事をして、朝食の準備に戻っていったミア。リルヒの視線がずっと胸を睨んでいる気がしないでもない。


「リルヒ?」


「それってズルじゃん」


「いや、別にズルもなにも仮初の姿だから」


「それでも! 仮初の姿でも! 胸があるということを体験してみたい! あー、胸があって肩こるって言ってみたい」


 涙流しながら言わなくても。あくびのせいでもあると思うけどね。


「そういう魔法を開発しておくから待ってろ」


 精神魔法と光魔法の幻覚で感覚を味わうことくらいは出来るんじゃないか? 獣化などの身体変形系の魔法……回復魔法で素の姿がそれだと思い込んで、作り変えるだけ。


 その使い方をすれば大きく出来ると思うけど、元に戻せるかわからないから、使いたくない。貧乳……無胸はス、ステータスだから……。リルヒは無胸でいいと思うから!


 リルヒを弄って、弄られて朝食までの時間を潰した(手伝わせてくれない)。みんな食べ終わったので話し始める。



「えっと、まずこの姿だがカズシだ。この姿の時は、外ではフウと名乗るのでよろしく。これについての質問は受け付けない」


「はい」


「なんだねリルヒ君」


「なんでそんな姿をとる必要があるの? てか、なんで無駄に胸を大きくするの?」


 …………


「次に、女性の皆は知っていると思うが、ブロンズと交際……結婚する事になったツェリムさんだ。自己紹介する?」


 リルヒはなにかガミガミ言っているが、空気を読む時は読むので、放置。


 席から立ち上がり、周りを見て話し始めた。尻尾は感情の揺れ方によって、動くんだな。ホムラの狐尻尾は動きが自在だから、忙しなく動かないからな。面白い。


「はい、私はツェリムって言います。獣化出来るハーフの犬獣人です。今は獣化をコントロール出来るようになっているみたいなので、安心してください。ブロンズ様のお嫁さんになります。よろしくお願いします」


 拍手がなり止むまで待ち、


「次に、ブロンズがゴブリンじゃなくなり、鬼族という亜人に進化した。というか、そうなるようにした。身長がリルヒよりも高くなり、角が生えて、皮膚の緑が薄くなって、いろいろ強くなったが、ブロンズだから問題ない。ディルとハサも希望次第ではなると思うから」


「お願いします」


「私も鬼族への進化お願いします」


「とのことなので、この後に進化させます。次、我がファミリーになった、ツェリムのお世話になった孤児院が裏組織ルシファーの小細工に引っかかり、高利子での金借りを強要された」


「それは本当なのですか!」


 手を上げながら、慌てて立ち上がり聞いてきた。自分の育った施設が、馬鹿どもの金儲けの為に燃やされたんだもんな。興奮もするわ。


「本当だ。ファベログに聞いていて、知っている奴もいると思うが、ファベログが悪どかったり、違法性のある裏組織を潰して、残った組織をまとめ上げたから、そういうことをする馬鹿共はこの街以外の組織だ。で、調べてもらったら帝都の組織だった。さらに少し先の、皇子の成人式典の護衛の為に帝都に行くので、ついでに潰しておこうと思うが、異論のあるやつはいるか?」


 みんな異論は無いみたいだな。


「あのー、言っていることのスケールが大きすぎて、いまいち分からないんですが」


 ツェリムがなんか言ってきた。確かに個人で組織を潰すとか普通なら無理だよな。貴族とかも関わっているだろうし。


 そんなの関係ない。とりあえず上の奴らは軒並み潰して、後の構成員はボコって豚箱に送り込めばいいだけ。上の奴を逃がさないで、組織を復活できないくらいまで、殴り続ければ終わる。後は上の奴の首やらなんやらを三大組織の残りに配れば、暴れなくなるだろう。


「ツェリム! 慣れなさい!」


 リルヒがいいこと言った。


「ラストだが、ツェリムのとこの孤児院は今は跡地でテントでなんとかしているらしい。でも、衛生面とか安全面であぶねえし、俺が土地を買い上げたから(やったのはファベログ)、適当に建物建てて、そこで孤児院経営を老夫婦にしてもらおうと思う」


「老夫婦ってハリストン夫婦ですか?」


 ハリストン夫婦って言うのは、ツェリムがお世話になっていた孤児院の院長夫妻のこと。


「ああ、あの夫婦は助けるに値するし、身内の身内が苦しんでるのを見逃すのは嫌だって、ブロンズが訴えてきた」


 ブロンズが鳩が豆鉄砲を食ったように反応をしている。俺の点数稼ぎをするよりも、ブロンズに対する点数を稼いだ方が有意義だろう。ツェリムの好感度を稼ぐ意味無いし。


 その言葉を聞いたツェリムは、感極まったのかブロンズに抱きついて頬を擦り付けている。


「ツェリムとブロンズは今日は俺と一緒に行動な。建物を魔法で数分で作る場面を見たい奴は見に来ていいからね。一応始める前に全体念話もするけど」


「場所はどこなんだい?」


「うちの屋敷の裏」


「ということは、ここらの土地一帯を買い上げたのかい?」


「なんかに使えそうだからな」


「アハハ。本当に面白いな」


「なら、そんな面白い奴に抱かれてみるか?」


「もっと経験してからそういうことを言うんだな」


 これ以上人数を増やせというのかこの半龍人フランは! いつものジョークなので、問題ないよ。


「じゃあ、解散」


 解散した後に、スラリンの分体には庭で魔力式バスの試運転をさせておく。リルヒとかライとかラカラナが乗り込んでいた。流石に女のまま孤児院には行かない。


「カズシさん、本当にいいんですか?」


「ブロンズの嫁なんだから、無茶じゃない事や金の事以外なら手伝ってやるからいろいろ言えよ」


「そこでお金の事を省くんですね」


「金はブロンズがお前の為に稼ぐからな」


 おい、そこ! そういうことを聞く度にいちゃつくな。いちゃついてもいいんだけど、話を聞けなくなるのがダメ。そんなこんなで孤児院跡地についた。


「院長先生!」


「おお、ツェリムじゃないか。無事だったんだね! お前が私達のために危ない依頼を受けたって聞いて、心臓が止まるかと思ったんだぞ!」


 優しそうなおじいさんが、険しい顔でツェリムの頭を叩いている。


「ごめんなさい」


「でもよかったよ。お前が無事で。私達のためにお前が死んだら意味無いんだからね」


 こちらも優しそうのおばあちゃんが叩かれた所を優しく撫でている。

 

「で、そこの鎧と男はなんじゃ! ツェリムの男か! 男なのか?! やらんぞ! ワシらの娘はやらんぞ!」


「おじいさん落ち着いてください」


 落ち着かせるために腹パンしてるけど、大丈夫なのか? あとこの二人からは強さを感じる。若かりし頃はBランクくらいはあったんじゃないだろうか。だから、見た目は老けてるのに元気なんだな。


「私はブロンズといいます。ツェリムさんと結婚させて頂きました」


 この世界は教会で共に祈るだけで、夫婦認定される。ステータスカード欄にその項目が出てきて、相手の名前が書かれる。


 俺は夫婦:の欄に何人も書いてある。みんな嫁だからね!


 ブロンズが挨拶をしながら、頭鎧を脱ぐ。急な襲撃があったらいけないのと、ブロンズは服を最低限しか買わないから、一番いい見た目のものが赤鎧になってしまった。


「ゴブリン……じゃないのう。ゴブリンに少し似てはいるが、気配も雰囲気も違う。魔物の混血の亜人かのう?」


 このじいさんは鋭いな。ちょっと違うけど。


「私はゴブリンの血が少しだけ入っているらしいです。東の島国の出の亜人、鬼族のブロンズです。よろしくお願いします」


 小手を外して、じいさんと握手した。


「なかなかな剛の者のようじゃな…………ツェリムは私達の最高の娘じゃ。お前が何があっても、命に代えても守ってくれよ」


 なにかをブロンズに見たのか、何も言わずにさっきと逆のことを言い出した。


「ブロンズさん。ツェリムをよろしくお願いします」


 老夫婦が涙を流しながら、ブロンズに頭を下げた。こういう場面ってこっちの涙腺まで緩むよね。


『カズシ深呼吸』


 ? 言われた通りした。


『涙腺の緩む感動はどう?』


『いや、もう大丈夫』


『やっぱり異常』


「で、そこの底知れぬ強さを身につけている御仁はどなたかのう?」


 鋭い眼光で見定めしてきた。


「私はブロンズの師匠? 家族? まあ、身内ですね。親代わりだと思ってください」


「……お主いくつじゃ?」


「たしか……20くらいですね。人間ですよ」


「お主はどんな修羅の道、地獄の道を歩んできたのだ」


 なんだこのジジイ。本当に洞察力が優れてるな。


「色々あったんですよ。それで孤児院が火事にあったそうじゃないですか」


「そうじゃな。しかも、子供達を脅しの材料にしながら高利子で金を借りることになってしまった」


「私たちは細細とやっているだけだから、そんな利子払えないんですけどね」


「しかも、その火事は金貸しが仕組んだことですしね」


 それを聞いたジジイとババアは目をクワッ! と見開いていろいろ聞いてきた。こええよ。

 

「それは……本当か?」


「貴方達なら察知していると思いますが、この街の危ない裏組織

 は壊滅しました」


「ええ、そうね。何となく危ない雰囲気が和らぎましたね」


「うちの身内が潰して、残った奴らを統括しているのですが、帝都の裏組織ルシファーがこの街で色々やり始めようとしているらしいんです」


「ルシファーか。あいつらはそんな面倒なやつらだったのか」


 やっぱり知ってんのね。


「まあ、そんな事はどうでもいいんです。いつでも潰せますし、少ししたら消えてますから」


「「は?」」


 その驚いた顔好き。突拍子もないことを言うと大抵の人がなる顔。


「ブロンズはうちの身内です。ということは、ツェリムもうちの身内。ということは、ツェリムの家族であるここの孤児院の皆さんも身内の身内。という事で、孤児院の建物と少しの運営費を援助させて欲しいのですが」


「いや、願ってもないことだが、そんなポンポン渡せるようなものではないと思うのだが。建物の費用だって馬鹿にならんぞ」


「私の紹介が遅れていましたね。私の名前はカズシ。Sランク冒険者です。炎狐や最強の人類、最強の火魔法使いなどと呼ばれていますね」


「あらあら、貴方があのカズシなの」


「あのカズシ?」


「お前はそれ以外の二つ名も沢山あるんだよ。ゴブリンテイマー、赤きゴブリン騎士の王、ハーレム野郎、絶倫糞野郎、ロリコンなどなど」


 おい待て。ロリコンでも俺は一向に構わないのだが、俺は見た目幼女に手を出してないぞ? ライか! ライには手を出してないぞ! あの子はまだ純粋無垢な子だから。リルヒじゃないよね?


「まあ、どうでもいいです。今から建物に案内しますので、付いてきてください」


「待て待て、荷物とか色々あるから」


「そこにある荷物と子供達で全てですか?」


 屋根だけのテントの下に家具やいろいろなものが置いてある。結構燃えたんだな。


「そうじゃが」


『スラリン分体配置』


『完了』


『ハサ、孤児院の周りにいるよな』


『います。任せてください』


 この場所にも分体を置いておく。


「みんなー! 今から新しいお家に行くよ! 3 2 1【転移】」



「はい到着!」


 子供たちはいきなり景色が変わって騒いでいる。


「なんだこの魔法」


「不思議な魔法もあるんですねー。でも、木材や石材はあるけど、建物はありませんよ?」


 ばあさんが言った通りまだない。念話でみんなを呼ぶまでもなく、待っていた。


『スラリンできた?』


『ツェリムの頭の中から建物の構造を転写して、図面とかに落としたよ。1階建てだけど、二階建てにしちゃおうか』


『それいいね。二階は広い談話室みたいな感じにすればいいか。あとスラリンが作った魔道具を随所に配置してみよう』


『できた』


「みなさーん! 今からすごい速さで建物が出来るから見逃さないでねー」


「「「「「はーい!」」」」」


 子供は元気が一番。


「錬金念動その他諸々複合魔法【自動建築】」


 図面に落として、素材の全てに俺の魔力を浸透させ(数秒でできる)、図面通りに素材を錬金術で加工して、ナンバリングをして、構造的に余裕をもってかつ、俺が現代で見たことあるような建築技術を織り交ぜて、土魔法で地盤も整え、念動魔法でどんどん組み立てていく。


 建築技術は俺は思い出せない。スラリンは俺の記憶の閲覧が出来るらしいので、見て覚えて試して技術として確立させている。スライムってすげえ。


 今までの孤児院とほとんど同じ見た目だけど、一階建てが二階建てになってきて、ものの数分でできた。家具付き。持ってきた家具はあった場所に配置している。


「これがこれからのお前らの住む家だぞ!」


 子供達が一斉に走って、中に入っていった。





お疲れ様でした。


孤児院の周りにはきっとルシファーの奴らが見張ってたよね! 芋づる芋づる。


次回、今度こそ帝都へ

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