第44話! 裏組織
カズシとシンイチは表裏一体の存在です。
なんかやっていることに既視感を覚えてしまいますね。
では、お楽しみいただけると幸いです。
あの後俺の前でイチャイチャしだしたので、ツェリムをこの屋敷にいる女性陣の方に行かせた。始めが肝心だからね。あとフウと憑依なう。
あと獣化の分析が完了して俺にも適用できるようになった。
『カズシの体はやっぱり異常』
『それには同意』
スラリンとフウが虐めてくるんだけど。酷くね? クロはなんか言って照れてるけど、うるさいから回線切った。
『それ酷くね? まあ、獣化くらいしたことあるから下地があったんだろう』
勇者時代にだって人化する敵も、獣化する敵もいましたよ。龍化は流石にした事無い。そんな高位な龍と戦う余裕なんてなかった。
『獣化の経験がある時点でおかしいんだけどね』
『スラリンが分析した獣化の能力で、カズシはどんな獣になれるの?』
『一度でも分析した奴なら、獣でも魔物でも何でもなれるよ。人間はやめた方がいい』
『獣化なんてなっても人間体の方が強いから意味無いけどね』
魔物でもいいなら、尻尾があるやつを分析して手数を増やすっていう手もあるな。下級龍でもいいから分析して、翼と尻尾を付けてみようかな? それともサキュバス系統の尻尾と翼にクロとの憑依で中二病を加速させるのも良さそう。コスプレかな?
うちうちで無駄話をしているうちに、高ぶっていた精神が落ち着いたブロンズに話しかける。
「なんであの子はあの実力で、サンダーウルフの群れの討伐なんていったんだ? 理由は聞いているだろう? 流石にある程度力があるみたいだし、見誤ってってことはないだろう」
確かにあの子はなかなか筋がいいみたいだけど、ソロで群れは無理。それは本人もわかってると思うんだがな。
「彼女はこの街にある孤児院の出なんです。獣化を持っていて、暴れたこともあるらしいですが、それでも見捨てないで育ててくれた孤児院の為にお金を稼いでいるそうです」
「いい子じゃないか。後お前にはこの屋敷を守ってた期間の給料を渡すから」
「え? 要りませんよ。私はマスターの従魔なんですよ?」
「確かに書類上は従魔のままだよ。そうしないとお前は街にいられないし。でもさ、お前が俺の従魔のままだったら俺の命令が絶対なんだぜ?」
「はい、分かっています」
「分かってないよ。ツェリムを俺に差し出せ」
といった瞬間にブロンズから物凄い殺気が発せられた。それでいいんだよそれで。紳士ぶる必要も無いのにな。
「そんなこと聞けないだろ? 命を賭けてでも俺に対抗しようとしただろ?」
殺意とともに睨んでいた顔から一転、申し訳なさそうな顔になった。
「……すみません。私を試してくれたのですね」
「お前はツェリムを養わないといけない。家はここに住めよ? ガンスにそういうふうに言われているからな。お前はツェリムと子を作るだろうし、ツェリムに楽させてやりたいだろ? なら、受け取っておけ」
息子がいつの間にか立派になり、彼女を連れてこの子と結婚しますと言われた時のような心境。そんな場面なったことないけど。
「ありがとうございます」
「別にいい。お前は俺の息子みたいなもんだからな。それで孤児院になんかあったのか? 孤児院に金を収めてたことと危険な依頼を受けることの関連性がないと思うんだが」
「裏金でしたっけ? 無理やり高利子で借金させられたんです。孤児院が火事になり、それの建て直しという名目で」
「…………わかった。とりあえず夜話そう。スラリンも知らない情報をハサとかファベログが知ってたりするか?」
『流石にすべての情報の管理は無理』
「ブロンズは初夜でも迎えて元気にヤってろ。お前は何か知らないんだろう?」
「ファベログ殿がこの街の裏組織をあらかた潰して統合したことくらいしか知りません」
えなにそれこわい。何も指示していないのに、身内が自分の拠点の街の裏組織を統括していた。
「そ、そうなのか。詳しい話はファベログに聞くわ」
「お願いします」
シッシと手を振り、ブロンズを退出させた。
「スラリンは分体を何体か孤児院に送っておいてくれ。相手がわかればあとはなんとでもなるよな? 精神魔法は基本的に使えないからスラリン任せだ」
『情報の引き出しでしょ? 大丈夫だよ。相手がSランクでもない限り余裕』
「フラグ?」
『ではないです』
その日の夜。ブロンズはツェリムと共に消音装置付きの部屋に入っていった。
『スイッチ式空中魔力自動補充永続機動消音結界発生装置としっかり言って欲しい』
『長くなってね?』
『空中の漂っている魔力を補充して、永遠に発生していられるように改造した』
『スイッチ式(ry。魔力式の自動車って作れる? 俺そういうの面倒臭いからやって欲しいんだけど』
『もう出来てる。カズシの思考は速さが足りない』
『お、おう』
スラリンは何手先まで読んでいるんだろうな。後俺が金を馬鹿みたいに使っていると思う。金が余ってるんですよ。オークの大氾濫を未然に防ぎ、ゴブリンの大氾濫をほとんど被害なく終わらせた。さらにスラリンが俺のギルドカードを持って、俺に擬態してSランクの依頼をこなしまくってる。スラリン様様。
『それほどでもない』
そんな事はいいんだ。今俺の書斎的な部屋にはハサ、ディル、ファベログに来てもらっている。
「えー。まず、ブロンズはゴブリンをやめて、鬼という亜人のカテゴリーの種族に進化しました」
「おー」
「ブロンズはやるねえ」
「当然です」
「さらに嫁をゲットしました。ハサとディルは鬼になりたいなら言ってくれ。朝になったらブロンズのことを見てみて、いいなとと思ったら言って」
「「了解です」」
俺に心臓を捧げるポーズしなくていいから。誰だよこんなネタポーズ教えたの。『てへぺろ☆』クソ可愛いじゃねえか!
「ファベログは裏組織のことを教えてくれ。ブロンズの嫁のツェリムの出身の孤児院が、裏組織に無理やり高利子で金貸しを受けさせられたようだ」
「少しお待ちください…………この街のやつらではないらしいです。でも、武力派集団のようで力の削れているこの街の裏の奴らでは対処不可のようですね。私の裏での暗躍を説明させていただきます」
ファベログは俺みたいに念話をほかのヤツと出来ないだろうにどうやってるんだろう。
「頼む」
「まず、奴隷狩りをしていたり、違法奴隷を扱ったり、麻薬を扱っているなどの組織にはこの街から退場してもらいました」
「それじゃ意味無いんじゃないか?」
退場だけなら人を雇えばなんとでもなると思うんだが。
「しっかり説得して今後そのようなことをしないように゛お願い゛しました」
「ああ、お願いしたのね。なら大丈夫だろうな」
流石にノーライフキングのお願い(恐怖)とかお願い(物理)に逆らうやつはいないだろう。
「その後、この国では違法性のない風俗や薬の取り扱い、情報屋や裏カジノなどをまとめ上げ、月組という名前で活動させています」
ヤクザかよ。月って俺のことか。俺が一から作ったブロンズは俺の知識も多量に持っているから、そんなネームにも出来るだろうけど、ファベログにヤクザなんて教えてないぞ……スラリンか。
「違法性のない裏活動は認め、優先権とかをやったのか」
「そうですね。私の傘下に入っていないこの街の裏組織はいません。統一後に出来た組織や参入してきた組織はその限りではありません」
いないって言い切れるのがすげえ。
「その代わりこの街では違法性のあるやり取りがなくなったから、ほかの街の奴らが入ってきたのか」
「はい、そうですね。帝都の三大裏組織の一つルシファーの傘下の奴らが孤児院に火をつけたと思います」
ルシファーってさ。多分そう名乗った魔王がいたんだろうな。なぜかそういう名前の奴が多い。アーサーしかりガウェインしかり、ルシファーしかり。
「は? 孤児院の火事って故意なの?」
「その孤児院はスラムの子供も積極的に取り入れているので、裏組織の奴等に調査をさせていたんです」
「奴隷として売られていないかってとこか」
「そうです。でも、その孤児院の老夫婦は本当に子供が好きなだけで、いい方々でした。そこで火事が起こったので、調べさせたら、典型的な故意の火事のやり方のようでした」
「わかった。マッチポンプなら金を踏み倒しても問題ないな。俺の身内になった奴の身内に手を出したんだから殺す。その老夫婦には安全な場所で孤児院を続けてもらおう」
「建物はどうしますか?」
「素材は経済を回すために買ってくれ。建造は俺がやる」
「わかりました。私はこの屋敷の近くの土地の買い占めを行っておきます。明日の昼までには完了するかと」
「ハサは孤児院周りの密偵だか、馬鹿どもを何とかしてくれ。手段は問わない。でも、相手が敵かどうかの判断はしっかりしろよ?」
「はい」
「ディルはとりあえず待機だ」
「わかりました」
「ゴブリンの二人は明日からでいいからな」
「いえ、夜は私の時間なので。影魔法使いにとっては最高の時間です」
ハサはそう言うと、影に沈んでいった。俺もそれやってみよう。
お疲れ様でした。
短いと思いますが、この続きも書いてキリのいいところでやめたら、12000字になってしまったからやめた。分割するのはあまりしたくないんだけど、ストックが欲しいです。毎日投稿するために2時間潰すのが辛い日があるので許してください。
次回、孤児院




