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女神と夫婦になるために  作者: たつ
4章 暗躍せし勇者
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第43話! 進化と獣化

種族の変更などに関する神間法約

…………

第42条 神の位未満による、種族の作成及び変更が行われた場合その存在を抹消し、その痕跡の全てを消し去らなければならない。これは神をも殺す生物兵器の作成をさせないためである。


では、お楽しみいただけると幸いです。

 帰ってきてから数日経った。兎姉妹もゴブリンに慣れたようで、一緒にご飯食べたり少しなら話せるようになったみたいだ。ファベログは人化出来るので、問題ない。


 フェーザ(ハーピィー)が美味しそうな兎とか言ったから怖がられている。最近話に出ていなかったが、ベッドは一緒だし、日中は孤児院で子供達と遊んでいるらしい。


『夕方くらいにブロンズが帰ってくるから、屋敷にいてあげて。人格的にも問題ないことが分かっているから、威嚇とかしないでね?』


 スラリンは俺のスケジュール管理もしている。ほんと頭が上がらないな。


『分かってる。威嚇なんてするわけないじゃないか』


 ハハハ。私が可愛い女の子に威嚇をするわけ、ないじゃないか!


『何だかんだゴブリン達のこと甘やかしてる癖に何を言ってるんだか』


『別に甘やかしてないじゃん。最近は放置してるじゃん』


 心外である。別にブロンズやハサやディルを甘やかしたことなどない。


『ミスリルの赤い鎧』


『あれはあいつが頑張っているから御褒美だし』


『カズシ自身がミスリルを精錬する必要はない』


『ミスリル以上は精錬時の火力とかタイミングとかによって強度が変わってくるじゃん。俺がやった方がいいじゃん?』


『オカマちゃんでも問題は無いはずなんだけど』


『まあ、いいよ。ほかは?』


『あの三人の自由時間を作るためにファベログをノーライフキングにした』


『あれはファベログは進化させても、問題を起こさないとわかってたから、なら進化しといた方が楽じゃね? と思ったからであってそういうことじゃない』


『むー、まあいいや。後、ブロンズと会う時はフウとの憑依を解除しておいてくださいね』


『了解』


 この体で色々動いてみたりして、体を慣らしていたら帰ってきた。書斎のような部屋に【転移】で戻ってきて、憑依を解除して司令官ポーズで待つ。


 空間魔法【空間把握】でブロンズが嫁をお姫様抱っこしているようなので、ドアを念動で開けてやる。


「入っていいぞ」


「マスター、ただ今帰りました。ツェリムさんすみません。頭を下げたいので、下ろしてもいいですか?」


 水色の髪でゴールデンレトリバーみたいな犬耳を付けた犬獣人を担いできた。【診断】……なるほどね。足回りを元に戻せばいいのか。あれ? おかしいな。


『魔物の気配を感じるんだが、スラリンは何か知っているか?』


『獣化のできる青い髪の獣人の方がいるという情報は聞いたことがある。裏組織とかそこらへんの奴らが何度も誘拐を企んだりしてた』


 獣化できる獣人ということは、相性のいい獣系魔物に獣人の娘が犯されて孕まされた子か。


『知ってたのか……企んだりしてたってことは毎回潰してたの?』


『カズシが獣姦してみたいっていうかと思ってキープしてた』


 こいつは何を言っているんだ?


『流石にそこまで節操なしじゃないよ? ていうか、俺はスラリンがスライムでも立たせることができるから、そういう人外な存在に慣れさせる必要は無いぞ?』


 スラリンの目的はスライムのままでの、俺との性交のはずだから言ってやった。ていうか、キープとかやめいや。


『………………』


『照れると深層に潜るのやめろ』


 感情を俺に伝えたくない時は毎回意識を沈めて、逃げようとする悪い癖があるな。


『キープしてたら、ブロンズがかっさらって行ったけどいい?』


『いいも何もないだろ。ここまでハーレム広げて、後二人は追加する予定だから、強く言えないけどさ。俺は女を増やす気なんてほとんど無いんだぜ? 助けたりしたら増えただけだ。向こうが愛してくれるなら、こちらも愛するけどね』


『言っていることが超絶くずなのは置いておきますね』


 この間わずか数秒である。


「嫌です。カズシさん。ブロンズさんにはとってもお世話になりました。ありがとうございます」


 おお、ぐいぐい攻めるね。跪く必要は無いって言ってるのに、ゴブリンズは跪くからな。これでいい。


「いえいえ。ブロンズはまた後で雷系統との戦い方を教えてやるよ」


 スラリンが言うには、サンダーウルフとの戦いで、スラリンの援護をもらったみたいだからな。なしでも圧倒できるようにならないと。


「はい! お願いします。それでですね」


「分かっている。お前の愛しのツェリムさんの脚を治せばいいんだろう?」


 こいつは無駄に出来すぎている。ゴブリンなんだから、人間と上手く暮らせるわけがない(俺の周りは異常なのでノーカン)。自分は魔物なので、愛ある生活などできないから、皆の生活を守り見守るのが、私の役割とかガチで思ってるからな。


 この娘もスラリン情報では惚れているらしいので、イベントを加速させる。


「なななな、なにをおっしゃっとるんですか! マスター!」


「え? そうなんですか?」


 やっぱり、鈍感系ゴブリンをやってたか。当たって砕ければいいのに。以前の関係が崩壊しても割り切ればいいのにな。


(そういう葛藤のないストレスフリーの考え方が、人間からかけ離れる一歩だって言っているのに、カズシは気が付かないし、私が言っても意味無いからなー)


「はい、コイツは基本紳士なんでわからないと思いますけどね」


「マスター!」


 チキっているお前が悪い。脈ありだからいけるって言っても動かない野郎に気遣いなんて不要。当たって砕けるのはダメか。


「そうなんですね! ほとんど同じ寝具で寝たのに、全く触れてくれなかったので、脈なしかと思っていたんです」


 まあ、自分に自信が無いのに、同じベッドとかに寝られても手は出せないわな。俺にもそういう経験は…………ある気がするんだが、思い出せない? なんだ?


「え?…………え?」


「ブロンズさん! またダメなくせが出てますよ!」


「え?」


「ゴブリンだから人間の女性に好かれるはずがないと思っていたのでしょう?」


 短時間でそこまで分かったか。一応覚悟もあるみたいだしやるか。【分析】を発動した。サーチが使えなくなった代用。相手が拒否をすればできるし、スキルが分かるわけじゃないが、色々わかるらしい。俺はわからん。スラリンしかわからない。俺は魔法の端末になっているだけ。なさけねえ。


「ええ」


「いきなり自分語りになりますが、私は昔から勇者の物語が好きだったんです」


「はい」


「ですが、私は孤児院出の曰く付き犬獣人……本当は狼獣人です。だから、私には勇者様なんて現れないと思っていました」


「……はい」


「今回の孤児院のことがあり、焦って達成不可能であろう依頼を受けて、サンダーウルフにボコボコにされました。ブロンズさんが来る前は興奮してヨダレを垂らして、固くしたものが目の前まで迫っていたんですよ? そんな所に颯爽と現れた赤い鎧の騎士様。しかも、その騎士様は私の一挙一動でドギマギしてくれていたのですよ?」


 吊り橋効果じゃね? 助けて惚れるヒロインって大抵吊り橋効果だと思うんだよね。でも、その相手が女性の天敵ゴブリンだったら、流石にわかるか。


「はい」


「そんなのキュンキュンと来ないわけないじゃないですか!」


「あー、はい。あの質問してもいいですか? ツェリムさんはどんな曰くがあるのですか? 知っておきたいです!」


「そうですよね。えっとですね。私はアイスウルフと犬獣人の混血なんです……」


『スラリン分析どんくらい進んでる? 多分満月とかで獣化とか、発情期があるとか、毛深くなるとかだと思うんだけど』


『狼系って全部月関係だよね? 月の神様がいるんだからすること無くない?』


『あ? マール?』


『カズシは時々忘れてるよね。カズシはもう人間じゃないじゃん』


 は? こいつは何を言ってるんだ?


『いやいやいや、俺は人間。ステータスカードにも書いてある』


『ステータスカードは神なんて表記はしないよ。システム外だもん』


『ははは。まさかー』


『神殺しの称号なり、加護なり、武器なりなしで神にダメージを与えられているのにまだ認めないの?』


『ステータスの高さゆえにだろ?』


『人間じゃ無理なステータス故にね。最高神がなんでカズシの攻撃を避けたかわかる?』


『当たるのが癪だから』

 

『当たったら怪我をするから』


 訳が分からないよ。俺はまだ神なわけがない。


「ぼんどに? うぞじゃない?」


「ええ、あなたを私は愛しています」


「びぇぇぇぇぇぇぇぇん!」


 考え事してたら鈍感系ゴブリンが告白してたでござる。


『おい、スラリン。録画はできているだろうな。結婚式とかやってやる時に流したいんだが』


『ブロンズの正面、ツェリムの正面、カズシの視線からの3カメまで使って撮った』


『ナイス!』


 泣きついてきたツェリムを抱きしめて落ち着かせたブロンズ。その光景を俺に見られていると気がついたツェリムは顔を赤くしながら謝って来た。別にいいのに。


「…………ずみません。変なところを見してしまって」


「いえいえ、ブロンズのことを騙してるんじゃないかと疑っていたのですが、そんなことはなくて良かったです。とりあえず治療しますね。回復魔法、もう治りましたよ?」


 回復魔法と一緒に、月の力でツェリムの魔物側の力に圧力をかけておいた。これで任意になることもできるし、勝手に変身することもないだろう。


 代償として3大欲求のうちのどれかが強くなってしまったみたいだが、まあ大丈夫だろう。


「え? ホントだ!足が動く! やったブロンズ様やった!」


「良かったです! 本当に良かった……? なんで今様付だったんですか?」


「え? あっ……さっき騎士様に憧れているって言ったじゃないですか? その流れで……ダメですか?」


「いえ、全然いいですよ」


「なら良かったです」


「ブロンズ。一件落着みたいな流れにすんな」

 

 このままでは子が作れないことを忘れてないか?


「?」


「ツェリムはブロンズのことが好きなんだな? ゴブリンだぞ?」


「そんなこと関係ありません! 私はブロンズ様に一目惚れしてしまったんです!」


「ふむ、ブロンズは聞くまでもない。でも、お前らはもし今後も愛し合い続けられたとしても、子供ができないぞ?」


「あ!」


「…………分かっています。マスター、カズシ様。お願いがございます」


「言ってみろ」


 分かってるけどな。その案もスラリンとずっと練っていた。ブロンズには悪いが失敗率0だけど、論理的に自ら手をあげない限りできなかった実験を受けてもらおう。


「私をゴブリンとは別の種族に変えることは出来ますか?」

 

「無理だ」


 変えることは無理。


「だが、絶対に無理とは限らない」


 進化ならできる。


「! それは!」


「この世界にはオーガはいるが、鬼はいないんだ」


「おにですか?」


 これもこの世界にはない言葉なのか。オーガ=鬼じゃなくて良かった。


「角が二本額に生えていて、赤い皮膚で金棒を使って戦う魔物のようなものだ」


「はぁ」


「俺の故郷ではゴブリンは子鬼族と言うところもある」

 

 分かってきたみたいだな。


「……はい!」


「お前はゴブリンだが、元々鬼の系譜なんだ。ということは、鬼であっても問題なかろう。ルナにも許可を取っている」


(取っていません)鬼じゃないけど、魔法は認識が大事。神の力だって相手の認識具合によって、効果が変わるはずだ。


「はい!はい!」


「お前を今から子鬼族から鬼族に進化させる。でも、多大な負荷がかかり、下手したら死ぬぞ?」


「マスターがやってもですか?」


「俺は完璧にのなしてやる。後はお前の精神力しだいだ」


 まあ、死ぬ確率はクラス単位で異世界転移して、一人だけ本当にノーチートで、魔王と相対しないといけないくらい確率は低いけどな。


「待って! ブロンズ様。子供はいいです。ブロンズ様がもし死んでしまったら私はどうするんですか!」


「大丈夫ですよ。絶対に死にません。これが終わったら結婚を前提に付き合ってくだい」


「はい!」


 あんな事言われたらYESと答えるしかないよな。ていうか、これが終わったら結婚するんだとかやめろよ。フラグじゃねえか。まあ、大丈夫だし? 安全装置も何重にもつけたし。


「よ、よし。やるぞ。うむ、やる。お主は只今より子鬼族ではなく、鬼族である。この進化は魂に多大なるダメージが入るだろう。だが、お前ならやってくれると信じている。では、進化したまえ」


 最初は気分が悪くなるだけだけど。


「ぐあああああああああああぎゃあああああああああ……………………」


 痛みで意識を失わなかったか。俺は初めて骨格が変わった時は痛みで気絶したんだけどな。強奪って糞だわ。


「ブロンズ様もう大丈夫ですか?」


「ああ、ありが……回復魔法【損傷回復】。ツェリムさんごめん痛かっただろう?」


「私は骨が折れただけです。ブロンズ様は体中からバキボキ音がなっていましたよ?」


 ゴリゴリ聞こえなかったから、まだ余裕だろう。折れて再生が繰り返されただけだしな。


「そうだったのか。今の私はどうなっているんだ?」


「光魔法【光鏡】。これで見れるだろう。あと成功したから、子も孕ませられるぞ。あといちいち泣くなよ?」


 大事なことを伝えてあげる。これで獣人と亜人鬼とのハーフの子供がしっかり作れる。


「マスター、ありがとうございます。ツェリムさん」


「ツェリム」


「え?」


「ツェリムと呼んでください。ブロンズ様」


「ツェリム。結婚してくれ」


「はい、喜んで」


「抱き合うのはいいが、もうひとつ言っておくことがツェリムはあるんじゃないか? 獣化のこととか」


 獣化という言葉を発した瞬間凄まじい殺意を向けてきた。おお、怖い怖い。リルヒのプリンを勝手に食べた時くらいの殺意だった。


「そう、怖い顔すんな。あと俺に殺意は向けない方がいい。死ぬよ?」


「そうですよね。言わないといけませんね。私は満月の夜に月を見ると、完全な狼になってしまうんです」


「そうなんですか。でも、見なければ関係ないんですよね?」


「そう簡単でもないんです。満月の月の夜は本能的に月を見ようとしてしまって、毎回孤児院のみんなにぐるぐる巻にしてもらわないと暴れだしてしまうんです」


「な、なら私が今度から何としてでも止めます」


「ブロンズブロンズ」


「なんですかマスター。今いいところなんで変なことだったら起こりますよ?」


 あれ? こいつ嫁を娶ったから性格変わった? いや、いいとこだからキレただけか。


「俺がそのことを理解してないとでも思った? なぜ敢えて言わせたかわかった?」


「まさか、マスター!」


 ブロンズのそんなにいい笑顔初めて見たわ。女のためにする笑顔。いいと思います。


「月関係の能力だったからな。俺がツェリムが任意でどうとでもなるようにしておいた」


「え? いやいや、これは本能であり、種族特性のようなものなのですよ? そんな簡単にできるわけ……ですよね? ブロンズ様」


「マスター説明していいですか?」


 ルナとか神の力があることかな? 別に構わん。頷くといろいろ説明し出した。


「そんな」


「これでお前らの問題も一件落着だな」


お疲れ様でした。


ブロンズの話とか被っている話だったから暇だったかな?


神間法約はカズシの翻訳で訳された文なので、もっと堅苦しいものの予定です。


破っちゃってますね。あーあーやばいーどうするんだろー。


次回、帝都へ

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