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女神と夫婦になるために  作者: たつ
3.5章 番外編 ゴブリンの苦悩
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番外編第6話!ゴブリンの苦悩その5

ゴブリンブロンズ編もこれでおしまいです。


ハーレムよりもこういうのが書きたかった。


では、お楽しみいただけると、幸いです。

「おはようございます!」


 いつもなら早起きして素振りの一つでもするとこなのだが、外に出れないし、この引っ付かれている状態から離れることなどできるだろうか?


「おはようございます。よく寝れたみたいで良かったです」


「お陰様でぐっすりと眠れました。頭撫でてくれてありがとうございます」


 あっれー? 寝息立ててたから起きてなかったはずなんだけどな。


「起きてませんでしたよ? なんとなくそんな感じがしたので、カマをかけてみました」


 平然と心を読まないで欲しい。顔に出やすいのだろうか?


「昨日もやった浄化でさっぱりしようと思いますが、やりますか?」


「お願いします!」


「【浄化】」


 私とツェリムさん、持ち物全てに浄化をかけた。屋敷ならいつでもお風呂に入れるようになっているので、朝に訓練してお風呂に入ることが日課になっている。まあ、依頼の時はしょうがないのですけどね。


「やっぱりこの魔法はいいですね。でも、浄化がこんな効果もあったとは知りませんでした」


「これは浄化の悪いものを消し去る効果に対して、別の意味を持たせただけですね」


 無詠唱の事なども昨日のうちに話してしまっているので、どんどん口が軽くなっている気がする。悪質なハニトラの場合はスラリン様が教えてくれることになっているので、そういうマイナスな考えをしなくて済む。


「今までの魔法の常識がひっくり返るようなことですよね。えっと【ウイング】」


 寝る前にちょっと教えたら風魔法【ウイング】、風を起こすだけだけど、できるようになった。温度の調整も出来ている。


「しっかり覚えてますね。寝て忘れられても困りますが」


「そんなに私は馬鹿じゃないですよ!」


「そうですね。失礼しました」


「なんか私がワガママ言ったみたいになってる」


「あはは」


 何とかして想いを告げれるようになりたい。ゴブリンを辞めることなんて出来るのだろうか? マスターならなんとか出来るのかな? それともドラゴンの血を浴びたり、飲んだりすればいいのか……




 雑談をしながら朝ごはんを食べ、馬を一匹この村のギルドに預けて(ギルドもこの宿に併設されていた)村の入口に来た。もちろんお姫様抱っこ。


「おはようさん。お二方」


「おはようございます」


「おはようございます。ジータさん」


「およ?……ああ、宿屋の時に呼ばれたのを覚えてたのか」


「そうです」


「二人ともサンダーウルフの討伐ありがとう。結構近くまで来ていてギリギリだったんだ」


「私は結局負けちゃってブロンズさんに助けてもらっただけですよ」


「私も仕事として来ただけなので」


「それでもありがてえよ。また何かあったら頼むな」


「はい!」


「頼まれました」


 村の入口を出て、ツェリムさんを馬に乗せて、その後ろに乗ろうとしたのだけれど、これだと前が見れない。ツェリムさんの股の間に入ることになった。


「私は乗馬は得意なんですよ!」


「足がまだ動かないから、バランス悪いと思うので、気をつけてください」


「分かってます……うああああ」


 ツェリムさんが発進させるために大きく腕を振るったら、勢いよく動き出し落ちそうになるところを、私にしがみついて事なきを得た。


「気をつけてくださいね」


「はい」


 鎧がなかったらなお良かったのだがな。小手で首が締まって辛かった。





 途中で2回別の村に泊まり、同じ部屋で寝て、一回野宿をして(その時は私は寝ていない)スーマまで戻ってきた。


「ブロンズさんじゃないですか! 今回も人助けですか」


 この人のことはマスターは爽やかイケメンさんと言っていた。


「ただ今戻りました。これでもギルドの依頼ですけどね。カードを今出しますね」


「大丈夫ですよ。どうせ何もやってないのでしょう?」


「ダメです。こういう事はしっかりしないと」


「ならお宅の主にもそう言っておいてくださいよ。あの人空から入ってきたり、いつの間にか入ってたりするんですよ?」


「マスターのことはどうにもなりません。では行きますね」


『カズシのことを貶した?』


『滅相もない』


『ならいい。 もうカズシは帰ってきているから屋敷に連れてきて』


『了解しました』


 今はたまたま聞いてただけだよね? ずっと監視してないよね?


「おう、頑張れよ」


「まずギルドによってもらえますか? 報告をしないといけないので」


「わかりました」


 ツェリムさんに言われた通り、ギルドに来た。馬を返さないといけないからね。





 ツェリムさんをお姫様抱っこで中に入ると、いつもはすぐに戻ってくる喧騒が戻ってこない。聞き耳を立ててみると、


「まじかよ。ツェリムちゃんはブロンズに取られちまったのか?」「カズシに続いて次はブロンズかよ。あのパーティーはやべえって」「ツェリムたんが男に触れているところを始めてみたぞ俺」「てか、あれはゴブリンだろ? ないだろ」「ブロンズさんは確かにゴブリンだが、Bランク以上の依頼も1人でなんとか出来て、金も稼ごうと思えばBランクトップの数倍は稼げる。見た目もゴブリンに似ている人間程度だし、中身は紳士そのものなんだぞ?」「キャー! ブロンズさんが等々選んだみたいね」「私はあと少しだけゴブリンに似てなければ猛アプローチしたんだけどな」


 いつもは聞こうと思ってなかったんだけど、いろいろ分かった。受付に行きながら聞いてみた。


「男性に触られるのを避けていたんですか?」


「そんなことないですよ?……でも、冒険者の方々は少し下心が多めだったので、避けることが大半だった気がします」


「孤児院の子達とは触れ合っていたってことですね。私はいいのですか?」


「ここでゴブリン云々言わなくなったのは、帰り道の教育の賜物ですね。ブロンズさんはいいんです」


 帰り道で自分がゴブリンだからという考えを改めなかったら、馬から落ちるからとか言い出し、自分はゴブリンだからな……と思うようなエピソードで何度も口撃された。そのおかげかそのような考えを出すのは、ツェリムさんを裏切ることになるのでは? と思ったら、すぐに思わなくなった。恋は盲目というやつなのだろうか?


「それなら嬉しいです。ツェリムさんのその特別は自分だけだと宣言しても大丈夫ですかね?」


「はふぅー……な、何でもないですよ?」


 顔を少し赤くしてあたふたし出した。危ないから、お姫様抱っこしているのにそれは危ないから!


「ブロンズお帰りなさい。今回の救援はツェリムさんだったんですね」


 いつもの如くルキナ様がいた。いつもいるけど、休んでるのかな?


「はい、おかげでウルフのママにならなくて済みました」


「はい、それは良かったですね。昇格に対して減点ですからね」


 完璧な笑顔で減点と言っていた。全く曇っていない笑顔なのにすごい。とても怖く感じる。サンダーウルフよりも怖い。


「報酬ってすぐに出ますか? ツェリムさんは足を怪我していて、スラリン様の本体か、マスターじゃないと治せないので、どこかに行かれる前に行きたいんです」


「なら、私が持っていってあげるよ。だから先に行ってもいいですよ?」


「本当ですか! ありがとうございます。ツェリムさん行きますけどいいですか?」


「はい!」





 ツェリムさんの真っ直ぐな返事が心地よい。屋敷に戻ってきて、すぐにマスターの元にやってきた。屋敷には兎獣人が二人増えていたが、後で説明があるだろう。


「マスター、ただ今帰りました。ツェリムさんすみません。頭を下げたいので、下ろしてもいいですか?」


 マスターの風格がより一層深く、強くなっている気がする。もう人間の域を超えている気がしますが、人間と言い張るのでしょうね。


「嫌です。カズシさん。ブロンズさんにはとってもお世話になりました。ありがとうございます」


「いえいえ。ブロンズはまた後で雷系統との戦い方を教えてやるよ」


「はい! お願いします。それでですね」


「分かっている。お前の愛しのツェリムさんの脚を治せばいいんだろう?」


「なななな、なにをおっしゃっとるんですか! マスター!」


「え? そうなんですか?」


「はい、コイツは基本紳士なんでわからないと思いますけどね」


「マスター!」


『ギルティー』


 スラリン様はカズシ贔屓がすぎると思う。


「そうなんですね! ほとんど同じ寝具で寝たのに、全く触れてくれなかったので、脈なしかと思っていたんです」


 脈なし? その言葉の意味がわからない。それは自分が相手に想いがあり、その相手が自分に気持ちが向いていない時にいう言葉では? え?


「え?…………え?」


「ブロンズさん! またダメなくせが出てますよ!」


「え?」


「ゴブリンだから人間の女性に好かれるはずがないと思っていたのでしょう?」


「ええ」


「いきなり自分語りになりますが、私は昔から勇者の物語が好きだったんです」


「はい」


「ですが、私は孤児院出の曰く付き犬獣人……本当は狼獣人です。だから、私には勇者様なんて現れないと思っていました」


「……はい」


「今回の孤児院のことがあり、焦って達成不可能であろう依頼を受けて、サンダーウルフにボコボコにされました。ブロンズさんが来る前は興奮してヨダレを垂らして、固くしたものが目の前まで迫っていたんですよ? そんな所に颯爽と現れた赤い鎧の騎士様。しかも、その騎士様は私の一挙一動でドギマギしてくれていたのですよ?」


「はい」


「そんなのキュンキュンと来ないわけないじゃないですか!」


 嬉しすぎる。心がとても軽い。踊りだしそうだ。今だったらリルヒも倒せる気がする(万が一にも勝てません)。だからこそ聞かなければ。


「あー、はい。あの質問してもいいですか? ツェリムさんはどんな曰くがあるのですか? 知っておきたいです!」


「そうですよね。えっとですね。私はアイスウルフと犬獣人の混血なんです……」


 アイスウルフとは寒い地域によく生息しているウルフ系魔物。凍えるブレスや氷の礫を打つ魔法を使ってくる。噛まれるとその場所が凍傷になるなど面倒な敵。


 その告白をしたツェリムさんは顔を青くして、ガタガタ震えだした。魔物との混血はほとんど稀だ。ゴブリンに犯されても、生まれてくるのはゴブリンであり、人間とのハーフは生まれない。でも、この法則にも例外があるらしい。


 例えばフレイムウルフと黒狼獣人。フレイムウルフに犯されて孕んだ子供が、天性の火の才能を持ち、フレイムウルフ特有の赤と黄色の髪を携えた子供が生まれたらしい。黒狼獣人の母体なら子供はほぼ確実に黒髪になる。


 要はその魔物との相性が良いと、その性質を引き継いだ混血が生まれる。


「なるほど。でも、そんなことは関係ないですよね?」


 と言いながら、私はツェリムさんの手を握る。


「え?」


「そんなことを言ったら、私なんて100%魔物ですよ?」


「でも、混血は魔物にも人間にも忌み嫌われ「関係ないです」」


「私が好きになったのは犬獣人のツェリムさんでもなく、狼獣人のツェリムさんでもない。ツェリムさん、あなただったからこそ、好きになったのであって、混血とかそんな些細なこと関係ありません」


「ぼんどに? うぞじゃない?」


「ええ、あなたを私は愛しています」


「びぇぇぇぇぇぇぇぇん!」


 夜の悲しみの涙のような泣き方じゃない。赤ちゃんが意味もなく泣いているようなそんな泣き方に見えた。私は優しく抱きしめて、背中を摩って落ち着くのを待つ。


「…………ずみません。変なところを見してしまって」


「いえいえ、ブロンズのことを騙してるんじゃないかと疑っていたのですが、そんなことはなくて良かったです。とりあえず治療しますね。回復魔法、もう治りましたよ?」


「え? ホントだ!足が動く! やったブロンズ様やった!」


 ぐじょぐじょの顔で私の胸元に擦り付けながら、抱きついてきた。【浄化】。これで顔もすっきりしているだろう。


「良かったです! 本当に良かった……? なんで今様付だったんですか?」


「え? あっ……さっき騎士様に憧れているって言ったじゃないですか? その流れで……ダメですか?」


 だから上目遣いでお願いされたら、断れるわけないでしょう。


「いえ、全然いいですよ」


「なら良かったです」


「ブロンズ。一件落着みたいな流れにすんな」

 

 この流れは一件落着以外にあるのだろうか?


「?」


「ツェリムはブロンズのことが好きなんだな? ゴブリンだぞ?」


「そんなこと関係ありません! 私はブロンズ様に一目惚れしてしまったんです!」


「ふむ、ブロンズは聞くまでもない。でも、お前らはもし今後も愛し合い続けられたとしても、子供ができないぞ?」


「あ!」


「…………分かっています。マスター、カズシ様。お願いがございます」


「言ってみろ」


「私をゴブリンとは別の種族に変えることは出来ますか?」

 

「無理だ」


 そうか、マスターでも無理か。


「だが、絶対に無理とは限らない」


「! それは!」


「この世界にはオーガはいるが、鬼はいないんだ」


「おにですか?」


 おにとはどんな生物なのだろう? オーガを出したということは似ているのだろうか。


「角が二本額に生えていて、赤い皮膚で金棒を使って戦う魔物のようなものだ」


「はぁ」


「俺の故郷ではゴブリンは子鬼族と言うところもある」


「……はい!」


「お前はゴブリンだが、元々鬼の系譜なんだ。ということは、鬼であっても問題なかろう。ルナにも許可を取っている」


「はい!はい!」


「お前を今から子鬼族から鬼族に進化させる。でも、多大な負荷がかかり下手したら死ぬぞ?」


「マスターがやってもですか?」


「俺は完璧にのなしてやる。後はお前の精神力しだいだ」


「待って! ブロンズ様。子供はいいです。ブロンズ様がもし死んでしまったら私はどうするんですか!」


「大丈夫ですよ。絶対に死にません。これが終わったら結婚を前提に付き合ってくだい」


「はい!」


 ツェリムさんが私には抱きついてきた。すごい強い力で抱きついてきてくれている。これで自分を見失うことはないだろう。


「よ、よし。やるぞ。うむ、やる。お主は只今より子鬼族ではなく、鬼族である。この進化は魂に多大なるダメージが入るだろう。だが、お前ならやってくれると信じている。では、進化したまえ」


 気持ち悪さはあるけど、別に……


「ぐあああああああああああぎゃあああああああああ……………………」


 私は意識を失わずに痛みを乗り越えることが出来た。


「ブロンズ様大もう丈夫ですか?」


「ああ、ありが……回復魔法【損傷回復】。ツェリムさんごめん痛かっただろう?」


 私が痛みに耐えるために、本気で抱きしめたために両腕の骨が折れていた。それに気がついてすぐに回復魔法を発動させた。


「私は骨が折れただけです。ブロンズ様は体中からバキボキ音がなっていましたよ?」


「そうだったのか。今の私はどうなっているんだ?」


「光魔法【光鏡】。これで見れるだろう。あと成功したから、子も孕ませられるぞ。あといちいち泣くなよ?」


 前に比べて緑が薄れ、肌色が増えた。額には5cmくらいの緑の角が生えている。目はツェリムとお揃いの翠色。立ってみると少し身長が伸びていて、145cmしかなかった私の身長で、153cmあるツェリムさんの身長を抜かしている。体も筋肉が増えているみたいだ。


「マスター、ありがとうございます。ツェリムさん」


「ツェリム」


「え?」


「ツェリムと呼んでください。ブロンズ様」


「ツェリム。結婚してくれ」


「はい、喜んで」


 こうして、我が主に見届けられながら、ツェリムと結婚を誓いあった。



お疲れ様でした。


本当はマイナス2話ではこんな感じの話になるはずだったのに、私の中のマールが暴走して、バッドになった。


カズシは難聴系とか、自覚しているのに自信が無い系主人公が大ッ嫌いです。ですから、あんな強引な方法を取っていました。


次回はマールの話かな? 昼に投稿。夜は本編だと思う。

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