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女神と夫婦になるために  作者: たつ
3.5章 番外編 ゴブリンの苦悩
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番外編第5話!ゴブリンの苦悩その4

ブロンズの話が終わんない! 書きたいことが沢山あって困っちゃうね!


前書きでかけることがない。ネタバレになる。


では、お楽しみいただけると、幸いです。

「鎧越しでおぶってますが、当たって痛いとかありますか?」


「大丈夫ですよ。優しくおぶられているので問題ないです」


 私は一目惚れしたツェリムさんをおぶって村に戻っている。お互いに鎧を着ているので、おぶっていても柔らかい感触が背中にくることがない。でも、持ち上げるために太ももに触れているし、私の耳元で繰り返している息遣いがとても興奮させる。


『スラリン様一生のお願いです。私の精神の高ぶりを抑えるような精神魔法を掛けてもらえないでしょうか。言われなくても自覚できました。この人に惚れました。ゴブリンですが、惚れてしまいました。でも、ゴブリンとしての本能もあり、滾ってしまって不味いので、お願いします』


 こればかりはしょうがないな。万年発情魔物と言われている系譜を辿っているのだから、しょうがないじゃないか。


『愛ゆえの願いならば聞き届けてあげる』


 いつもと違う優しい応対を受け取り、精神的……性的高ぶりを無理やり抑えてもらった。


「それなら良かったです。しかし疑問なのですが、なぜ1人で発情期のウルフ系の討伐なんて無謀なことをしようとしたのですか? しかも雷系統の魔物なんて滅多に出ないから経験が無いですよね?」


 背中の気配が少し変わった。


「私はスーマの孤児院で育ちました。今は私は16ですから、6年前まではそこにいたんです。その孤児院が先日火事になってしまい、建て直しにお金がかかり、無理やり悪徳なところと契約をさせられてしまったんです」


 そんな事もあるのでしょうね。無理やり魔法契約書で結ばされることもあるのでしょう。第三者立ち会いだって金を握らせていれば容易でしょうし。


「それで馬鹿みたいな利子を掛けられてしまい、しかも関係各所に喋ることも禁じられ、破ったら孤児院の子供達を奴隷にすると」


「だから、早急に金を稼いで契約を終わらせようとしたんですね。裏組織ですか……」


「はい、サンダーの名のつく魔物は、強力な麻痺の攻撃をしてきて強いです。でもそれだけ高く売れるので一気に返済だ! と思ったのですが、今考えると穴だらけですね。ブロンズさんが来てくれなかったら、私はサンダーウルフの母親でしたよ」


 首に回していた腕の力が強くなった。今になって恐怖が襲ってきたのだろう。


「でも、私が助けに来たのでそんなことは起きませんでした。大丈夫です」


「そうですよね。本当に良かったです」


 緊張の糸が切れて疲れたのか眠り始めてしまいました。私は初対面で一度助けただけなのですが、こんなに無防備でいいのでしょうか? いつもこんななら注意しないといけませんね。


『ファベログ殿これこれこのようなことがあり、この街での裏組織は動いているようです…………この街の組織ではないのですか。ファベログ殿が統一したのですか! なるほどなるほど。わかりました。ツェリムさんの孤児院もお願いしてもよろしいですか?…………はい、愛ゆえにです』


 歩くこと数十分で村までついた。こんなに魔物の群れが近くにいたってことは、結構ギリギリだったみたいですね。


「おう! ブロンズ生きて帰ってきたか」


 このおじさんは失礼な方ですね。まあ、ゴブリンだからといって変に扱われないだけましですが。


「はい、なんとか。背負っているツェリムさんがサンダーウルフの受注人で合ってますよね?」


「ああ、合っている。にしても、お前は頭鎧を付けていたらゴブリンには見えないが、ゴブリンの背中でそんなに幸せそうに寝れるってのはすげえこったな」


「ここまで信用してくれた方は初めてなので嬉しいです」


「そりゃよかった。嬢ちゃんの従魔としてなら、街の中に入れると思うが、どうする?」


「いえ、無用な混乱を「その手がありましたか!」え?」


 今さっきまで寝ていたはずのツェリムさんが起きてなんか言ったぞ? あと首元の匂いを嗅がないでください! 犬ですかあなたは……犬獣人でしたね。


「スーマの街ならカズシさんの名前とガンスギルド長の意向で、自由に出入りできるというのは知っていましたが、やはり別の街ではそうはいかないんですね」


「ええ、やはり私のことを知っていましたか。そうですね。スーマ以外だと無理です」


「私の管理下にいれば問題ないんですよね?」


「ああ、問題ないがひとつ聞きたいことがある。ブロンズはスマンが、嬢ちゃんを下ろして少し離れてくれないか」


 魔物の私には言えないようなことも良くある。素直に従っておきますか。


「わかりました。ツェリムさん下ろしますよ?」


「えぇー。むー、しょうがないな。次はお姫様抱っこでお願いしますね!」


 いちいちそういう動作でドキッとさせるのはやめて頂きたい。今の私の顔は真っ赤だろうな。門番さんが簡易な椅子を持ってきてくれたので、そこに下ろして少し離れる。


 少し話して呼ばれたので行く。聞き耳なんてものは立ててませんよ? 立てようと思ったら、スラリン様の分体に耳をふさがれたとかありませんよ? 耳元が濡れているが何故だろう?


「嬢ちゃんに聞きたいことが終わったから入っていいぞ。元冒険者の夫婦がやっている宿があるから、説明してやるよ」


「ありがとうございます。助かります」


「村の中では基本的にメットを被っといてくれ」


「わかりました」


「ブロンズさんよろしくお願いします」


 ツェリムさんはそう言いながら、こちらに手を伸ばしてきている。お姫様抱っこで答えた。


「では歩きますので、しっかり捕まっていてくださいね」


「はい」


 村の規模からしておかしいくらい大きい宿屋だった。二階建ての食堂付きで10部屋はあるんじゃないか?


「村の大きさにしては宿が大きいのですね」


「この宿は宿でもあり、食堂でもあり、憩いの場でもあり、子供の学舎でもあるからな」


 村レベルの人の集まりで教育を施そうとするということは、しっかり教えられる人がいるのですね。いい事です。ある程度の教養がないと詐欺られてしまいますからね。


「そういうあったかい場所っていいですね」


「そう言ってもらえるとあいつも喜ぶでしょう。おーい、サンダーウルフを討伐してくれた御仁方を泊めたいのだが」


 奥からドタドタと出てきたのは、茶髪のにいちゃん。


「……はいはい、ジータさん。えっとその二人かな」


「そうなんだが、少し訳ありでな………………という事なんだ」


 耳打ちで何かを話している。ほかの人も食堂にいる。聞こえたら大変だもんね。


「なるほどなるほど。わかりました。では、お部屋に案内しますね」


 なんか今、兄ちゃんの方がツェリムさんにウインクをした気がするのだが、イラッとしてしまった。精進せねば。一回奥の部屋に案内された。


「この部屋でございます。お食事は持ってきますので、安心してください」


「ありがとうございます」


「ありがとうございます」


「では」


 部屋を開けて中に入ると、ベッドがくっついていて二つあり、後はソファーや机や椅子、クローゼットがあるくらいだ。何故くっついているのか。


「運んでくれてありがとう。重かったでしょ? 鎧も来ていたし」


「いえいえ、全然大丈夫でしたよ!」


 その後は鎧を脱がすのを手伝い、【浄化】で綺麗にして、孤児院の事をいろいろ話してくれている時に夜飯が来た。


「では、ごゆっくり」


 宿主に頭を下げて、出ていったのを確認してたら、頭鎧を脱いだ。


「ブロンズさんはそのようなお顔なのですね。確かにゴブリンに似てますけど、人間の方が近くないですか?」


「そうなのですか? 自分の顔をしっかり見たことがなかったので分からないですね」


 実際見ていない。ゴブリンとして生まれたけど、感性は人間よりだから、見て失望しないようにしていた。


「はい、私はかっこいいと思います」


「あ、あはい。ありがとうございます!!」


 鎧をかぶってないから、顔が赤くなったのを隠せないので、お礼とともに頭を下げてほとぼりを冷ます。飯を食べて、また孤児院の子供たちの話を聞いて、寝ようということになったので、移動させた。


「今ベッドを離しますから待っていてください」


「いえ、別にこのままでもいいのですよ?」


「はい?! いやいや、私は普通にしゃべるし、人間的感性も持ち合わせていますが、ゴブリンなんですよ? どこにゴブリンと隣り合わせたベッドに寝ようとする女性がいるんですか!」


「ここにいますけど?」


 頭をこてんと倒して、さも不思議なように言ってきた。ベッドに横たわらせているので、上目遣いになって破壊力が高い。


「…………」


「…………」


「……わかりました。このままで寝させていただきます」


「私の価値ね!」


「ツェリムさんの勝ちです」


 ツェリムさんに毛布をかけて自分もベッドに入る。紳士ぶっているけれど、女性と隣合わせのベッドに入るなんてゴブリン生で初めてなんですよ! めちゃくちゃ緊張する。手汗がひどい。


「少しそちらに寄りますね」


「え? は?」


 こちらのベッドに入ってきて、私の服を摘んできた。


「おやすみなさい」


「はい、おやすみなさい」


 近くに女性のぬくもりがあるから寝れるわけがない。少しして、


「……ぐす…………怖かった……ひっぐ………………」


 ……ツェリムさんの方を向いて、頭を撫で手を握ってあげた。こうすると安心すると言うことを私は知っている。震えも止まり、寝息も聞こえ始めた。【ライトボール】で淡い光を出して寝た。





お疲れ様でした。


ツェリムは別にまだ惚れていません。安心できる信頼できる匂いだと分かったからこその行動です。


カズシは元々こういう感じの話でメインヒロインを据えて周りにサブヒロインのハーレムものにするはずだったのにな。


ブロンズ編はあと1話か2話で終わります。言っていることがコロコロ変わってすみません。


そして、ランキングに乗りました!169位です! みなさんありがとうございます! これからもブクマや評価、感想などをお願いします。

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