第40話!信者
兎もふもふ兎もふもふ。
この話でこの章の本編は終わりです。番外編とかを入れると思います。
では、お楽しみいただけたら幸いです。
神界から教会本部地下に戻ると、白いローブを着た奴が頭を垂れ、全身を地面につけ、ひれ伏していた。
ルナが声かけたから、この体勢だったのかな? でも、もう終わっただろうになんでそんな格好なんだ。
「おかえりなさいませ、我が主神様のお婿様であらせられる、カズシ様。我が蛮行を戒めて下さり、まことに、まことに有り難うございます」
……うーん。なぜルナは俺のことを冒険者でも、使徒でもなく、婿なんて言い方したのかよ。全力で祭り上げられるのを回避せねば。
「えっと、頭を上げてくれ。敬ってくれてもいいが、それだと俺が話しづらい」
こういう時は俺のわがままで頭をあげさせたという事にした方が、いちいち謙遜しないで動いてくれるはず。
「分かりました。お姿を拝見させていただきます」
お姿を拝見……クロとスラリンと憑依なう。不味くない?
「少し待て」
『1度憑依を解除するぞ?』
『えー。この姿だってかっこいいし、威厳あるよ?』
『悪の威厳ならあるだろうな。ルナはこの世界の正義側の主神なの! 闇属性で、オッドアイで、鎖巻いてて、指ぬきグローブで、眼帯な神の婿とか、ルナの権威的なモノに傷がつくだろ』
『そういうことを気にするのね』
『スラリンは俺の全てを読めるとか言ってんだから、わかるでしょ。ガウェイン達はルナのために命を賭けるとかして欲しくないから、ああいう風に偉い存在じゃないと思わせる必要があった。強い力を持つ奴が盲信とか怖いし。神に命を捧げるなら自分の相方に命を賭けた方がいい』
『で、こいつはルナ様の信者であり、これからルナ様の言葉を胸に贖罪を行うから、疑問を持たせたくないと』
『そういうこと』
『うーん。この格好でもいいと思うんだけどな。この人とのやりとりが終わったら、またやってね』
『了解』
説得に成功して、憑依を解除して頭をあげさせた。
「改めまして、私はルー教の継承教祖を担っていました、レスタルです」
「俺はカズシだ。この教会で地位も欲しくないし、援護も必要ないからな。まあ、何かあったら言ってくれ……なんで担っていましたなんだ?」
「このような主神様に仇なすような事を行ってしまったので、私は継承教祖を辞めようと思っております」
「辞めてもいいけど、俺と教会の窓口はお前だからな? ルナもお前は今回の件以外では少しスケベだけど、熱心な信者だから信用出来るとか言ってたし」
言ってたような気がする。きっと言ってた。こいつはルナに直接声をかけられて、本当の意味で信仰するだろうし、俺に逆らわないだろうけど、ほかの奴らは俺を利用したりしそうだから嫌だ。てか、いい大人が泣くな。
「カズシ様のために一定の地位に居たいのですが、罪を犯してしまったので、居続けることが難しいと思います。ルー様の真名はルナ様というのですね!」
そうだよな。地下でこんなことをやってしまったんだし。ルナに任せるか。
「ルナの真名は秘密だよ? 神の真名って言うのは大事だから。ルナ聞こえてるか!」
『何ですか? 我が未来の婿であるカズシ』
この地下に響くような声で反応してきた。キャラが全然違うな。いつもなら『なにー?』とか『はいはーい』とかなのにな。乗ってやるけどね。
「レスタルを俺の専用窓口にしたいんだけど、今のままだと結構地位が下がって面倒なことになるじゃん。だから、なんとかして欲しい」
『次回の議会時に私自ら声をあげ、権力的に独立した地位を作らせますね。その結果地位は高いけど、ほとんど権力を振るえなくなりますが、よろしいですか? 我が敬虔なる信者レスタル』
「は! ありがどうございまず」
またさっきの敬いポーズを取りながら、号泣しているイケメン教祖。ルナは人にあまり干渉しないとか言ってたけど、今回は俺が関わってるし、邪神とか呼ばれそうになったから、特例なのかね。
『こちらルナ、カズシ応答せよ』
『これは個人の念話か?』
『そうよ。スルーとか酷い。兎の子達がもう少しで起きそうだから、レスタルをどっかにやって、説明した方がいいわ』
『りょーかい』
レスタルのやった事を目の当たりにしているだろうから、レスタルを見て発狂とかされたら溜まったもんじゃない。
「生き残りの兎獣人の二人が起きそうだから、別のところにいっててくれ。お前が心を入れ替えていても、目の前で残虐なことをしたことは事実だから、お前自身がトラウマになっているだろうからな」
「畏まりました。お帰りの際はどう致しますか? 特殊な方法で出入りされたと思いますが」
「ここから直接外に出るから問題ない。俺の名前を出してもいいけど、面倒は嫌だから、気をつけてくれよ。あと質問だ。ここにいた亜人や獣人はどうやって仕入れた?」
「心得ています。裏奴隷商で仕入れました。この国は上層部は2割ほどが腐っていて、そういう奴らを見逃しているので、買うことは容易でした。人間以外は何をしても見逃すというのが、この国の裏の顔なので」
2割腐ってるっていうのを理解しているのが、怖いところだな。二割も腐ってるし。
「なるほどな。裏奴隷商はこの国が拠点なのか? それとも支部の一つ?」
「こういう裏商売の輩は帝国の帝都か商都で暗躍していますね。この国には卸に来ているだけかと」
帝都は亜人獣人が集まるから、拠点にしてんだろうな。
「わかった。もう行っていい」
頭を深々と下げながら、出ていった。邪神邪神言ったけど、邪神って神なのかね。それとも魔物の類なのかね。どれくらいの強さなんだろう……見たら発狂するのかね。レスタルが出ていって少しして、
「うーん……あっ! ラナ!」
ぱっと起き上がったのは鎖でつながれていた方で、周囲を確認してすぐに、そばのラナと呼ばれた兎の子に抱きついた。
「起きたみたいだね」
「誰ですか! くっ」
赤い瞳で睨んできた少女だが、鎖の跡が痛いのか、今度は別の意味で顔を歪ませた。
「君達がこの場所で生贄にされそうになっていたことも知っている。それを止めたのは俺だ。レスタルは悪魔に唆されていた。信じられないと思うけど、とりあえず俺は回復魔法を使えるから、治療を受けてくれ」
「……ラナ、この子からお願い」
「いや、一気に行く。回復魔法の回復と体力回復に神聖魔法【浄化】」
口に出して発動して、二人の体が一瞬光に包まれ、それが明けると擦り傷や鎖や手枷などの痣も綺麗に消えた。さらに、恐怖や壁に繋がれていたからか、いろいろ垂れ流しだったものも、浄化で消した。
「えっと、ありがとう」
「っん、あれ? 体が痛くない!……ラカ!」
ラナも起きたみたいで、治療のために抱きつくのをやめていたラカに抱きついた。
「二人ともとりあえず話を聞いてくれるか?」
「ヒッ! 誰!?」
「落ち着いて、あの人は私達を助けた人らしいの。あと体中の傷はこの人が治してくれたのよ」
「そうなんですか? ありがとう」
とても小さい声でお礼を言ってくれた。ラカは勇敢というか、ラナを守るためにしっかりした性格をしていて、ラナは怖がりなのかな? こんな状況じゃしょうがないけどね。
「いろいろわからないと思うけど、まず君たちは帰るところはあるかい?」
「そんなものないわよ! だって」
「ラカ落ち着いて。あの人は親切心で聞いてくれてるんだと思うよ?」
ラナはラカのストッパー?
「……ごめんなさい。私達は奴隷狩りにあって、母親も父親もその時に死んでしまったわ」
「わかった。ならとりあえず俺の家で暮らせ。君達の安全と当分の生活の保証は今のところAランク冒険者である俺が保証しよう」
久しぶりに出したギルドカードを見せて、俺の身分を明かす。Aランクというのはそんなに沢山いないし、大抵はこれで信用されるはず。ギルド長が言ってたし。
「えっと、あの」
「なんか言いたいのはわかるが、一度ここを出るぞ。教祖レスタルは改心したけど、いろいろ面倒くさいことが起きるから出るぞ」
レスタルの名前を聞いたら、ラカが凄い顔でキレ出した。
「嫌! あのクソ男に復讐しないと! エルフのミラさんもドワーフのイリアスさんも犬獣人のワルプさんもみんな殺されたのよ!」
「却下だ。まず、言い方が悪いが、レスタルも裏奴隷商の奴らから買っただけだ。あいつに復讐しても意味がない。君の気持ちが一時的に晴れるだろうが、復讐心で殺すのはやめた方がいいぞ」
俺が凄みながら説明したら、頷いてくれた。分かってくれてよかったね! 脅したわけじゃないよ?
「魔法でこの建物から一気に出て、宿に戻るから。魔法の説明が欲しかったら、後で教えてあげるから待って」
二人の肩をそっと触り【転移】
「上手くいったんですか?」
俺のとっている部屋に戻ると、ガウェインがすぐに聞いてきた。俺が動けない時の使用した金は倍にして返した。
「この子達二人が生き残りだな。レスタルが異世界の悪魔に唆されて色々やってたから、その悪魔は消滅させて、レスタルはルナに任せて改心させた」
「悪魔って何ですか?」
この世界には悪魔はいないから、悪魔という言葉がないのか。
「邪悪で人を陥れようとする、精霊のようなものだな。普通は神聖魔法で倒せる存在だ」
『悪魔の例えで精霊を出すとかひどい!』
『でも、その例えが一番こいつら分かってくれるじゃん』
『それでも酷い。後で埋め合わせしてくれないと許さない』
『許されるために、償いをしないとね』
『うん!』
『カズシちょろい』
『うるせえぞスラリン』
「そんな存在もいるんですね。これからどうします? ルナ様には報告されたんですよね」
「報告は済んでる。なにかするにも一回屋敷に戻った方がいいとと思うから、俺は戻る気だけどどうする?」
「あっ! カズシって王子の成人式典の依頼を受けてる?」
「なにそれ」
「あとひと月と少しで第1継承者の皇子が成人になるんですよ。それで式典をやるんですけど、こういう時の王族の警護は騎士と冒険者がやるんですよ」
「なんで冒険者もそこに入るんだ? 騎士だけでいいだろう」
「この国は冒険者が作り上げた国だからという理由と冒険者は金を積めば、味方になる。騎士は内部の派閥で割とドロドロらしくて、警護するはずの騎士が裏切ったことがあり、内部の騎士と外部の冒険者で相互監視しながら警護するのが習わしらしいんです。詳しく知りたいなら、ガンスさんとかに聞いてください。大体の概要しか知る気がなかったので、知らないっす」
「外部の冒険者もグルになることもあるだろうに」
「そこら辺はガンスさんにお願いします」
「おう。でも、俺には依頼きてねえしな。馬のところまで、転移して、さらに転移で屋敷まで飛ぶから」
「お願いします」
お疲れ様でした。
お楽しみいただけたら幸いです。って言葉は意味合いは合ってるのかな?
王族式典編の話がまだふんわりとしか考えられてないので、番外編で時間を稼ぎたい。
出てくるであろう皇女の性格をどうするかが決まってねえ。ツンデレ? クーデレ? お嬢様気質? 無表情系? 迷うね。どうしようかな(チラチラ
身長 リルヒ<ラカ=ラナ 現実は非常なり リルヒ<<ラカ=ラナ二人はほのかにある。




