第38話!月神
もう少し書こうと思ったんだけど、今日は調子が悪いのか、文章が思い浮かばなかった。いつもなら5000字くらいなら1時間半もしない内に思いつくのに、3時間掛けて4300字だったからここで切った。
カズシは主人公です。
では、お楽しみいただけると幸いです。
「…………中二な格好していて、中二病って言葉に反応したってことは、お前は日本人か?」
やはりこいつも日本人……元日本人か。でも、なんで俺とほぼ魔力の質とかが一緒なんだ?
「そうだが?」
「ギャハハハハ。お前は異世界転移したからってその格好はないだろう……ぶふ」
悪魔が大口開けて笑うと見た目がすごい怖いね。さすが悪魔だな。とっても無防備だけど、情報を喋らせてから殺すなりしよう。
「うるせえな。お前の格好の方がやべえじゃねえか。人間やめるために仮面でも被ったのか?」
「そんな都合のいいもんなんてねえよ。ある人が死んだ俺をこの姿で復活してくれたんだ! この悪魔の姿はいいぞ! 人間のままでは出ないような力も出るし、魔法だって自在だ」
基本的に死んだ人間の魂は天に戻れば、人間として転生されるのに(記憶とかはもちろん消去される)、それをねじ曲げて悪魔にされたとか可哀想に……
まてまてまて、この世界の異世界人は俺だけだぞ? なんでコイツがいるんだ? 異世界に転移だか転生だかして、そこで死んで悪魔に転生させられて、この世界にさらに転移してきたのか? こんな奴をルナが転生させるわけねえし、どうやってこの世界に侵入してきたんだ。
「人間の姿を捨てたくはないね。悪魔とか神聖属性の魔法で大ダメージじゃん」
「は? そんなわけねえだろ。笑わせないでくれよ。人間の魂で体は悪魔なら、浄化は効かねえんだよ」
「【浄化】【聖浄化】【神聖浄化】【神浄化】」
「だから効かないって」
うーん、効かないのか。なんとか魂を昇天させてあげる方法ないかな? その前にあれを聞かないと
「そういえば、なんでお前は俺が魔法陣を壊すのを邪魔したの?」
「邪神を呼ぶためだが?」
「なぜ邪神なんて呼ぶんだ? 後、情報は力だという言葉は知っているだろうに、なぜ俺にそんなに喋る?」
「そんなのお前だってわかってるだろ? お約束的に、冥土の土産ってやつだよ。なんで呼ぶかってのは、復活してくれた奴が、ここで邪神を呼ばせろってのがそいつの願いだからな」
そいつは異世界の扉を開けるほどの力を持ってるのかよ。即滅した方がいいんじゃねえか? どんな奴か知りたいな。
「お前はその姿でなんか罪を犯したか? 犯したとしてその時の気持ちは?」
「は? さっきから何を聞いているんだ? まあ、せっかくだから答えてやるけどよ、人殺しも女を犯すことも山ほどやったわ! 罪の意識なんてねえし、最高の気分だぜ?」
「ああ、お前は駄目だな。殺すしかないのか……同郷の人を殺したくないんだがな」
人間になんとかして戻したとしても、そういう感覚は消えないから、害悪なだけだな。
「おいおいおい、お前はなんで勝てる気になってるの? アホなの? 死ぬの? 殺すよ? てか、殺すけどね」
悪魔ってなんだっけか……あれだ、あれ。
「悪魔には物理的な攻撃は基本的には効かなくて、神聖属性を帯びさせる事でのみ効くようになるだっけか? それで神聖属性を克服しているから、お前が絶対有利だと考えているのか」
聖剣とかも、神聖属性を帯びているから、悪魔とかを倒すのが容易になるはずだしね。
「他にどういう手段で俺に攻撃するんだ? 魔法に神聖属性を組み合わせても、無理らしいぞ? 本当に素晴らしいわこの体」
なんか悦に浸ってる。自分の体を抱きしめてるし……
「【転移】からのうりゃ!」
とりあえず魔法陣を壊しておいた。パリーンという音ともに、魔法陣がはじけ飛んだ。邪魔されると思っていたが、そんなことは無かったぜ。戦いの素人かな?
「は? 何やってくれてるの?」
「この瘴気うざすぎ……【神聖浄化】……うし」
魔法陣を壊した影響で、出てきた瘴気と元々充満していた瘴気を浄化で消した。これで当分邪神とやらも呼べないね。
ちなみに、【浄化】よりも【神聖浄化】の方が悪しきものに対しての効果が高い。洗濯魔法としては、浄化の方がコスパ的に強い。
「おーい、マジかよ。また一からやり直しなんだけど……どうしてくれるの?」
「ぺちゃくちゃ喋ってくれたおかげで、大体の経緯はわかったからもういいよ……さよなら【転移】」
首をコキコキしてる相手に対して、転移で背後を取り、ルナ剣に月神の力を付加させて一閃。相手の首は落ちて死ぬ。
「この悪魔の死体は異次元に投棄とかでいいと思う? 死んでも神聖属性効かないと思うし……アイテムボックスでいいか」
「良くねえよカスが」
浄化で灰にならないから、処分をどうしようかスラリンに話しかけたら、悪魔の頭が灰になり、首から頭が生えて話しかけてきた。まじかよ、神の力を使って切ったんだぞ。
「なんで復活できたんだ? うーん……何でだ?」
「俺だって驚いたぜ。あの人と同じ力を持った奴がいるなんて思わなかったわ」
…………同じ力? それって神の力が同じってことだよな? まさかまさかまさかまさか、いやいやそんなことはないはずだ。あいつは確かに殺した。
「なあ、ラストの質問してもいいか? 首をいきなり切るとかやったけど」
「いい訳ねえだろ」
持っている鎌で切りつけてきたので、剣でいなす。鎌を剣でいなすと持っていかれそうだな。
『クロ、あいつの攻撃は魔力体になって、無力化できる?』
『あの存在と同じ鎌だったら、無理かな』
サーチ……やっぱり情報は出てこないか。
『悪魔の攻撃なんてろくな事がなさそうだから、避けた方がいいね』
『だな』
「くそが!なんで当たんねえんだよ」
この悪魔の動きは確かに早い。力も強いだろう、でもそれだけ。アーサーガウェインペアと比べてしまうと、お遊びのようなものに感じてしまう。リルヒやリルヒだとまだ負けるくらいだな。
「シッ! ハッ! ハァ!」
首を落として、鎌を持っている右腕を落として、両足を切った。
「【EFB】」
火のダンジョンで使った【EFB】で切り落とした部位ごとに凍らせてみたけど
「効かねえのがわかんねえのか低脳」
胴体と鎌が黒い霧になって、氷から抜け出して、体が完全に再生された。他の四肢は灰になって消えた。
「うーん、どうやって倒すべきか」
「なんでマールさんに作り替えてもらった体で負けんだよ! 神にだって勝てるって言ってたのに」
「は?」
アイツハイマナンテイッタ? マール? ほとんど変わらない魔力? あの人と同じ力?
「おい、お前! 今マールと言ったか? 月の神マールと言ったか!」
「なんだ、お前はマールさんのことも知ってるのか。ならここで倒さないとい」
「マァァァァァァァァルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!」
でも、なぜあいつが生きている? 最高神は俺がマールを殺したって言ってたよな? なんだ? 最高神はマール側で俺が嵌められたのか? そんなことはないはずだ。あいつは悪だ。最高神は気に食わねえけど、あんな奴と加担するようなやつには見えなかった。ルナ達も尊敬していたみたいだし、それはない。ならなんであいつが生きている? まて、人と言ってなかったか? あの人と言ってなかったか?
『カズシ、とりあえず落ち着いて。気持ちの部分でまた憑依したから落ち着けるはず』
『…………………………大丈夫だ。至って正常』
前も思ったけど、スラリンの憑依による心の正常化の効力は凄いな。でもマールは殺す。絶対に殺す。粉みじんにして殺す。
「悪魔、俺の聞いたことにだけ答えろ。マールと名乗って俺と同じ力を使うやつは、人間なのか?」
「なんでてめえの言うギアァァァ」
「闇回復複合魔法【痛み再発】」
魔法の名前がダサいけど、どうでもいい。悪魔になったこいつは痛みがなくなっているみたいだけど、それを無理やり感じさせた。今回はこいつが人間の時のありとあらゆる痛みを思い出してもらってる。
「ふざけうああああああ」
「闇魔法【幻覚:蛆虫】」
幻覚で蛆虫が自分の体を這っている場面を見せて、感じてもらっているだけ。痛みを感じなくても、感性は壊れていても、日本人みたいだからね。この幻覚は答えるだろう。
「空間魔法【次元縛】」
空間自体で相手を縛る魔法。空間を切れる奴じゃないと、抜けることは出来ないと思う。
「答える! 答えるかはやめてくれ…………ハァーハァー……人間の名前はシンイチ言っていた……月の神でもある僕の真名はマールというんだ、とか言っていたし、名前で縛るとか言って自己紹介してたんだよ」
蛆虫の方だけやめた。次元縛は解除しない。こいつがマールの生み出した生物なら隔離をしないと。
「頭が痛い。今問題なのはあいつがいつ完全に神に戻るかだな。俺のいる世界がなんでわかった? シンイチ?……おい、悪魔。マールは日本人なのか?」
「ハーフで日本から来たって言っていた……もう知っていることはこれで全てだ! ここから出してくれ!」
「お前って飲まず食わずでも生きていけるのか?」
「なんでそんなこと聞くんだよ」
「答えないの?」
「生きていけます!」
神の力を全力で出せば殺せるだろうけど、まだ制御がうまくいかないし、地面を消滅させたくないからな……島流しにしよう。それでマールの使徒を駆除できるのか? マールのいる世界なんてどうやって探すんだよ。
「なら、何も無い空間で何もせず、一生浮遊して生きろ。他のものに触ることも、ほかのものを見ることも、ほかの音を聞くことも出来ないけど、殺さないでやる。闇空間複合魔法【空間作成:闇】」
本当になにもない。闇が広がっているだけの空間を作った。
「待って! やだ! 同じ日本人だろ? 何も出来ない、何もできないなんて嫌だよ! お願いだ許してくれ」
…………チャンスをやるか。
「お前が5秒以内に土下座をしたら許してやるよ……5……」
「土下座でも何でもする! だから、この縛っているのを取ってくれ! お願いだ! 何でもするから!」
こいつは今、空中で縛られているけど、本気で謝る気があるなら、抜け出して土下座くらい出来るよね? マールの使徒なんだし、出来るはず。
「……1……0、チャンスをあげたのに不意にするとか。何でもするって言ったよね? なら、何もせず一生生きろ」
「嫌だ! ま」
さっき作った空間に元日本人悪魔を入れて空間の穴を閉じた。
「これでルナに頼まれた仕事は終わりかな? 帰ってから色々考えないとな」
お疲れ様でした。
本当はカズシが悪魔の口を割らせるために、拷問をする予定だったんですけど、日本人の学生が悪魔になったからって、勇者時代の本場仕込みの拷問なんて耐えられないと思ったから、辞めたのと主人公だからね。
次回はしっかり書く。この回は後日書き直しをするかもしれないけど、内容は変わらないと思うから大丈夫です。
次回、第39話!解決と後日談




