第18話!拠点確保
第2章が始まりました。
この話ではダンジョン要素などがあり、そこらへんで集団戦闘の描写の練習がしたいです。
ではお楽しみいただけると幸いです。
ギルドでヨクの従属を確認されたり、一度キングの死体を見せてみたら何故に腕と足が綺麗になくなってるのか聞かれたり、スラリンの特等席防衛があったり、男達がガンを飛ばしてきたりなどしてギルド内でのやることが終わった。
盾は暇だから寝る戦闘になったら起こせと言って、アイテムボックスに入れて欲しいと言われたので入れた。アイテムボックスの中は暇だけど、寝るには最適らしい。もちろん時間経過ありのフォルダに入れた。
「なあ、こんな時間にギルド長が外に出ていていいのか?」
家を紹介すると言ってたけど、まさかギルド長直々に来てくれるとは思ってなかった。
「曰くのあるところだからな、俺が行った方がいいし、正直言って事務は邪魔になるだけだからな。お前はオークの集団を倒しに行って、なぜ二人も仲間が……2人と1匹の仲間を連れて帰ってくるんだ?」
美少女3人にギルト長、ハーピーを連れているから、目立つ目立つ。ていうかなぜ俺は美少女3人もいて、おっさんと喋ってるんだ?ミアとフィーネがなにか熱心に話していて、俺の横にはリルヒがいる。リルヒの頭を撫でながら
「オークの集団の前でリルヒを見つけて、死にそうだった。何でもするから助けてと言われたから助けて仲間にした。フィーネはオークキングの被害者で隷属が解除できないから、俺のところにいる」
「隷属が解除できないってどういうことだ?お前なら何でもできるだろう?」
「奴隷化と奴隷化解除で死亡が同条件文だった」
「隷属魔法持ちの変異種だとそんなことになったりするのか」
「なるみたいだな。てか、フィーネの事はいいとしてリルヒのことは何も言わないんだな」
「ミアくんを見ればわかるが、お前は仲間に凄く金を使っているんだから、何も問題なかろう。ミアくんがひどい環境なら何か言っただろうがな」
「あっそう」
「ここだな」
少し歩いて連れてこられたのはスーマの北側の端。とてもでかい土地に大きな屋敷を拵えた場所だった。庭だけでサッカーグラウンド3つは作れそう。赤い点が屋敷の中に一つある。
「なんかいるみたいだけど、どんな曰くがついているんだ?」
「ここは建てられてすぐに、建てた豪商が何者かに家族郎党皆殺しにあったんだ。商業ギルド管轄の売却家屋になったのだが、中にいるリッチが邪魔をするとかで冒険者ギルドに流れてきた」
「てことは、皆殺しにあった恨みつらみでリッチになり、住むはずだった土地に居座ってるってことか?」
「そんな感じだな」
「その魔物と会話はできないのか?」
「何度か試したのだが、土地に入るとアンデット系を召喚されて会話どころではなくなる。レイスならともかく、リッチなら人間の理性を保っていることが多いから、いけると思ったのだがな」
「レイスとリッチは何が違う」
「お前は馬鹿みたいに強いのに、所々抜けてるな。レイスは特徴のない魂が肉体から離れ、肉体が死滅して魂だけが魔物化したものと言われている。魔力の多さや魔法の才があるとレイスではなく、リッチになると言われている。魔王信仰のヤツらなどは意図的にリッチを生み出すすべがあるみたいだがな」
「魔王信仰者なんているのか……今回はそいつらってことはないのか?」
「魔王信仰のやつらは自分たちがやったという証を残すから多分違う」
「まあ、対話に行ってくるわ。お前らは待っててくれ」
「いってらっしゃいませ!カズシ様」
「いってらっしゃい、カズシ」
「いってらっしゃいませ!主様」
意志があるなら交渉するなり、成仏させてやるなり色々話せると思うしな。
「お邪魔します」
門を飛び越えて入ってみると
『我が屋敷に踏み込む愚か者め!我が軍勢に嬲り殺しにされるがいいわ』
念話みたいな感じで語りかけてきた。リッチのステはこれね。
名前:ファベログ(リッチ)
Lv:32
筋力E 耐久:E 俊敏:C 魔力:S 幸運:C
スキル:闇魔法:5 死霊魔法:5 無属性魔法:3 魔力操作:3
魔力特化の俊敏幸運型ステとかMMOのステ振りでありそう。
召喚されたスケルトンは筋力耐久俊敏がCであとはF。スキルは持っている武器のスキルが3あるだけ。レベルは10前半。
だけど数が多い。密集度ならオークの集団の数を超えている。魔力はよく持つな。なんか特殊な処理をしてるのかな?
まあ、数がいるだけで敵ではない。ギルト長は盾職だから攻略できなかっただけだろうし。と剣を抜いて突っ込もうと思ったら、スラリンに頭を叩かれた。
『痛いのだが』
『いじめよくない』
『イジメじゃないよ』
『スケルトンのあるじはかなしんでる』
『え?なんでわかるの?』
『なんとなくわかる』
『何か手はあるの?』
『あるから、けんをかして』
と言いながら首元からスラリンが外に出てきて、空間魔法で空間に穴を開けて?その空間からスライムを出して?スラリンと融合。体積の増えたスラリンは120cmくらいの子供の姿に変形した……した!
『え?スラリンは前に教えた人化できるようになったの?』
「これはまだじんかじゃない。かたちをかえているだけで、│せいたいもしっかりできていないから、しゃべりかたもつたない」
スラリンが普通に喋ってる。ていうかいつものスラリンが体の一部で別空間に保管されてたとか知らんかったわ。変形させただけだとか言ってるけど喋ってるし。
「スラリンはどこまでの人化を目指しているの?」
「つがいのこをはらむ」
あっはい。それが出来たらスライムじゃないよね?どういう進化を辿っているんだ?俺が二次の様々なことを教えた結果凄いことになってるぞ!
「まあ、なんだ?待ってればいいのか?それまで」
「じゅんびができたらいう。それはいいとしてけんをかして。まりょくもほきゅうしてね」
「ああ、触れているから大丈夫」
ここからはスラリンの片言だと辛いので漢字を使います。
「神聖魔法によるアンデット系統の浄化による消滅を抑え、機能停止になる程度の威力をイメージ。カズシが使っていた結界魔法をスラリンとカズシを起点にした移動型結界。効果を抑えた浄化を結界として発動」
「これでスケルトンたちもしなないですむ。くちにだしてやってみた」
めちゃくちゃ喋ってる!ていうかあんな言葉の言い回しもスラリンは出来るのかよ!俺がスラリンにこんな魔法使ってみてえとか言った魔法の一つ。移動型結界。使う場面なかったけど使ってくれたんだな。
スラリンがミアたちの方を見て『スラリンのほうがやくにたつ』とか念話で送ってるし。ミアはハンカチを口に挟んで引っ張り、キー!とかやってるし。そのネタはこの世界にもあるのか?リルヒは「スライムなのに魔法を複合させてるし……敗北感が辛い」とか言ってる。フィーネはヨクと何か話している。ギルト長はわけがわからないよとか言ってた。
「カズシ!リッチのところにいこう」
「ああ」
スラリンと手を繋ぎながらリッチの元に向かった。スライム特有のぷにぷに感が気持ちいい。実際スラリンは今とても面倒なことをやっている。
擬態とか変身とか変形とか人化とかのスキルなしでやってるから、念動魔法で形を整えて、水魔法で体が崩れないようにして、風魔法で声を再現して、火魔法で人間の体温を再現。結界魔法で神聖魔法の結界を発動しながら、ミアと念話で口論している。正直言ってこれを無詠唱のイメージだけとか俺はやりたくない。絶対に疲れる。
屋敷に入るまで、スケルトンは攻撃するために近づいてくるが、神聖魔法の結界に触れたら崩れ落ちていっていた。結界から離れると復活していたので殺している訳ではないようだ。
屋敷に入ると近づけないことが分かったみたいで、スケルトンのアーチャーが弓矢で射てくるけど、スラリンがスラリンの体で俺を包んでくれて完全無効。やだこの子超有能。「カズシはスラリンがまもるー!」とか言ってるけど、それは教えてない。
反逆されたら本気出さないと勝てない気がする。そんなことは起らないけどね。フラグじゃないです。
屋敷の一番大きな部屋の前にやってきたら、そのドアをスケルトンが開けてくれた。
ここからはまたスラリンが結構しゃべるので漢字に変換しています。実際はまだひらがな表記な話し方です。
「相手が話せる様子なら、スラリンが話したい……いい?」
俺はロリコンじゃないけど、120cmの子に上目使いでお願いされて断れる奴がいるだろうか?いや、いない。
「わかった。任せる」
部屋に入ると、丸テーブルを3体のスケルトンが囲んでいて、2体のスケルトンが女性者の服を着ている。目の奥に光が宿っているスケルトンのようなヤツ、リッチはなぜか燕尾服をきている。
『ようこそ、まさかそんな方法で我が配下を圧倒するとは思わなかったよ。スライムのお嬢ちゃん』
「それほどでもない」
絶対にナイト的な返しをしたと思う。教えたし。
『君たちのどんな目的で我が屋敷に訪れたのかな?』
「この屋敷はカズシのもの」
『アハハ、おっと失礼。お嬢ちゃん、この屋敷は私のものなのだよ。変なことを言ってはいけないよ』
「ここは人が住む街。リッチになったあなたが屋敷を持っていい場所ではない」
『はて?私がリッチ?何を言っているのですか?ここに妻と娘もいて、幸せに暮らしているのですが?』
どういうことだ?こいつは死霊魔法を使うのにリッチだと認識していない?しかも、妻と娘と幸せに暮らしている?
「それはあなたが自らにかけた闇魔法の洗脳の効果。死ぬ時に自分だけ置いてかれたから、その状況に耐えきれずリッチになってしまい、妻と娘を死霊魔法で使役している。ゾンビにしなかったのは無意識的に屋敷を汚したくなかったから」
『スラリン、なぜに闇魔法の洗脳だとわかった?』
『スラリンは日頃、色々な属性魔力をカズシから貰っている。精神に作用させて安定した闇魔法は認識しずらいけど、スラリンは闇魔法の魔力の味とか匂いとかを知ってるからわかった。後はこういう場面なら思い込みだと思った。カズシが教えてくれた推理小説とかいうものでは、人は思い込みによって色々なことをすると言ってたから』
誰だよ!スライムは何も考えてないとか頭が悪いとか思ってたヤツ。…………スラリンは特別だから!数学とか物理とか化学とかも教えてしまったけど大丈夫だよね?
『大丈夫だ!問題ない』
『思考を読むな』
なんてことを素早くやり取りをしていたら
『うるさいうるさいうるさいうるさい!そんな戯言に惑わされんぞ!貴様のそれはただの妄想だろうが!』
とキレだした。
「嘘だと思うなら、あなたの家族がまだ本当に生きていると思うなら光魔法を受けて欲しい。強制的にやるのは好きじゃない」
『いいだろう!そんなに言うなら受けてやろうではないか!もし違っていたら、貴様は娘のペットになれ』
「別にいい。真実はいつも一つ」
金田一も教えてます。
「光魔法【退闇】」
スラリンが魔法を発動すると、燕尾服のリッチは蹲った。
「ああ、ああ、ああああああああああ。私が死んでしまった妻や娘をこんな姿でこの世に無理やり引き止めていたのか!死んでなお私が、私自身がその命を、魂を辱めてしまっていたのか……ああああああ」
正気に戻ったみたいだな。このままだとこいつやばくねえか?と思い俺が動こうとしたら
「カズシは任せたのにやろうとしたから後で罰ゲーム」
と言われてしまった。
「精神魔法【正常化】」
まてまてまてまて!精神魔法なんて想像の仕方がわからなかったから、覚えられなかったのになんでスラリンは使えるの?ていうかステータスにないんだけど!
『スラリン、精神魔法はステータスには表示されてないのになぜ使える?』
『ステータスにある魔法はカズシにもらったもの。それ以外は取得しないようにしてる。スキルは取得したくないと思えば取得しない。何も考えてなかったり、とろうと思えば頑張れば取れるもの』
『なぜそんなことを知ってるの?』
『ここからさきはりょうきんがたりません』
はぐらかされたし、出来の悪いロボットみたいな喋り方になった。スラリンがなんか香ばしいポーズを取りながら
「リッチさん、落ち着きましたね?大丈夫です。この御方はこの世界の主神、月の女神ルナ様から加護を頂いている方です。ですのでこの方が供養すればルナ様が丁重に扱ってくれます」
なぜ香ばしいポーズを取りながら話しているんだ?
「そ、そんな話を信じられるとでも?」
「ルナ様!この方に説明よろしくお願いします」
なんてことを言うと電波が聞こえてきた。
『カズシの希望だし、この人は敬虔な信者だったんだけど、盗賊に襲われて命を失ってしまった人なの。だから私は願われればこの人なら干渉できるわね。ちょっと待ってね!』
マジで待て!なんで女神とスラリンは交流があるんだよ!
「おいスラリンなんでお前はルナと話してるんだよ!てかなぜに神に干渉できる?」
「カズシが寝た時にちょくちょくカズシを見るために降りてる。その時に話して、変な女が付かないように見張ってと言われた」
『それ秘密って言ってたじゃん!スラリン性格悪くない?スラリンだってカズシの素肌にくっついている時は発情してるくせに!』
「なんで言うんですか!ルナ様が友達いないから友達になってとか言ってきて、その時の秘密交換の時に言ったことを言うとは、さすが女神汚いな。女神様に失望しました。もうカズシが言った言葉とか教えてあげません」
『ああああ、それはダメ!上から見ることは出来るけど声は聞けないんだから!謝るから許して?ね?ごめんね?』
「次回来た時にカズシの小さい頃の写真を見せてくれたら手を打ちます」
「わかったわ!日本の神にお願いしてくるからちゃんと教えてね」
……あのー俺にも聞こえる念話で話さないで欲しいのですが……てかルナはボッチだったのか。アルミエは部下としてカウントしていて他いないのか……スライムに謝る主神とか、この世界の信者からしたら卒倒ものだよな。俺が知らない情報の出どころもわかって安心した。
あと神は並列で喋るくらい必須技能だから、スラリンと話しながら、リッチとも話している。
「ああ、ああああ!ルー様が私にお声をかけてくださった!カズシ様、ありがとうございます。そして我が妻と娘をお願いします」
燕尾服リッチが土下座してきた。ルー様というのはルナのこと。何故かこの世界はルナのことをルーという。
『カズシ!この人の家族を神聖魔法の浄化で供養してあげて』
『それはいいんだが、寝てる時にくるなら起きてる時来いよ』
『ええええ!なんで知ってるの?……まあ、なんていうか?当分会えないからって色々やりすぎて、恥ずかしいというかなんというか?』
乙女か!アルミエが言うには乙女だとかなんとか。あと念話が混線してたの気がついてない。
『まあ、いいや。あっ!教会にいけば話せるんだっけ?忘れてたわ』
『そ、そうよ!なんで忘れてるのよ!何かが終わる度に来てね』
『ああ、わかった。じゃあまたな』
「すみません。あなたのお名前をお伺いしてもいいですか?」
「はい、覚えているのはファベログという名前だけです。名字もあったと思うのですが、抜け落ちてしまって」
「大丈夫ですよ。ファベログの家族である妻と娘よ。そなた等に安らかなる眠りと御霊が天に届くよう祈っております。神聖魔法【浄化】!」
無詠唱で空から光が差す演出付の浄化を発動して、妻と娘は消えていった。それっぽいことを言ったけどこれでいいよね?
「供養して下さり誠にありがとうございます。そして私に過ちを気が付かせてくれたスライムのお嬢さんもありがとうございます」
「スライムのお嬢さんじゃない!スラリン」
「おお、そうでしたか。スラリンさんもありがとうございます」
「お礼としてこの屋敷をもらう。多分この屋敷での一家団欒が出来なくて、あなたは成仏できなかった。なら私たちがここで面白おかしく生活して、この屋敷にもやるべきことをやらせる。あなたはそれを見ればきっと満足できる」
「そうですね。私はこの家を維持するために執事の真似事をしていました。前までは維持するためだけにやっていましたがそういう事も好きなのかも知れません。私は執事としてこの屋敷にいさせてもらいます」
「それでいい。苦しくないなら私達が一家団欒しているのを見て心を温めればいい」
「そうさせて頂きます」
「え?いいんですか?スラリンがなかなかに押し付けがましいことこと言ってましたが」
「いいのです。この家で家族で過ごせなかった事が心残りでもありましたので、貴方方が使ってくださればきっと満足できます。きっと妻と娘も喜ぶでしょう」
「わかりました。なら使われてもらいます」
話がついたので門のところにいるギルド長にルナの話を抜いて話をしたら、この屋敷はお前らのものだと言われた。この屋敷はリッチが住み着いてしまったので退治及び解体をするはずだったのだが、屋敷の名義はまだファベログになっていて、アンデット化してしまったが理性もしっかりしていて、Aランク冒険者になる奴が近くにいるからいいらしい。手続きは面倒らしいが。
Aランクというのは俺のこと。今回でAになることはほぼ確定しているが、報酬の面で話すことがあるから時間がかかるらしい。
こうして普通に飲食ができて、作る飯もうまく、入れる紅茶もうまく、24時間365日働かせることが出来る部下を召喚できる、執事系リッチことファベログが仲間になり、豪邸を手に入れた。
お疲れ様でした。
スラリンはまだ全然余力を残しています。
次回、第19話!実験と……




