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女神と夫婦になるために  作者: たつ
番外編
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番外編24話!異教徒4

今やってる話の方向性は書きたかったことだけど、多分読んでくれている人が求めているのは三姫とのイチャイチャだと思います。次回は描写なしクイック大規模戦闘が入ると思いますが、今更人間の集団とかね。


カットしないだけありがたく思って欲しい。ファベルウス神聖国は出てくる時期が悪すぎた。


では、お楽しみ頂けると幸いです。



「……すみません。今なんと?」


「今戻りました」


 シーさんという女聖騎士がルーゼを連れて戻ってきた。


「お待たせしました」


 戻ってきたルーゼはまだお腹が痛そうにしているのがなんとなくわかる。


『まだ腹の調子良くなさそうだな』


『一々わかっても言わなくていいです』


『後で薬やるよ』


『とっても助かります!』


「えっとなんて言ったかだよね? ここにいるメンバーが国の軍から抜け出して、俺に雇われたいんだろ? 別にいいよって言ってるの。言っとくけどお前が隊長さんが連れていこうとしている奴だけね。この国の軍は鞍替えなんてさせないし、ほかの奴がそんな事言ってきても別に雇わない」


 群青長髪のイケメンは阿呆面になってもイケメンなんだな。


「あの……あの悪名高いファブルウス神聖国から軍人を引き抜いたと世間は思うのですよね? しかも、何故私達は雇ってもらえるのですか?」


「しつこ過ぎる。何故雇うかというのは、たまたま俺や仲間達以外の見た目でわかる守護してくれる何かが欲しかったのと、隊長さんが嘘を全くつかなかったのと、ノルトちゃんが可愛かったのと、気分。あとそうだな……例えばだよ? 旧主神神聖国の都は聖都って言うんだよね?」


 隊長はわけがわからんといった顔をしていて、ほかの隊員はノルトちゃんを見ている。ノルトちゃん自身はえ? 私? とか純粋に驚いている。


 なんかあれだよね。欲しいと思う女性はこの世界基準の若い人よりも若干行き遅れくらいの人が欲しくなるね。多分なるが自分よりも年齢が高い存在だったからだと思う。


「はい。聖都ファベルウスです」


「その聖都よりも大きな隕石を降らせられたら対抗出来る?」


「出来ません」


「魔王や俺すらも確実に貫くドラゴン。20メートルクラスのドラゴンが攻めてきたら対抗出来る?」


「無理です」


「集団の特定の記憶を別の記憶に……あー、例えば旧主神を崇めているという記憶を現主神を崇めているという記憶にすり替える。それを都市単位で行える精神魔法使いがいたら対抗出来る?」


「対抗なんて不可能です」


「俺は全部やろうと思えばできるし、対抗もできる。あと、お前らを雇うし、お前らの家族も安全に俺の庇護下に置くことが確定したから言っちゃうけど…………旧主神ファベルウスは死んだから」


 俺が無駄に溜め、誰かのゴクリという音が聞こえてから、神は死んだと伝えてやった。


「は?」


「え?」


「ふむ」


 隊長以外は数秒固まってから騒ぎ出した。自分が暮らしている国が崇めている神が死んだなんて告げられて、それを信じられるわけがないわな。隊長以外は神に祈ったり、同じ言葉を繰り返し始めたり、神がいる証明などをし始めた奴もいる。だが、これまた隊長さんは普通に正気を保ってこちらを見ている。


「禁六武器の特殊な力が使えなくなった時点で、この武器を授けてくださった神に何かがあったのでは? と思っていました。その事を隠すべく、身近であり強大な力であるカズシさんを自分達の手駒にしようとしていたのでしょうし」


「今は聞かなくていいかなって思ってたんだけど、気になるから聞くわ。なんで神聖国から抜け出そうとしたんだ? 特殊な力がなくなったとしても、禁六武器とかいうのを任せられる程度には隊長は偉いんだろ? 偉いやつなんて権力側から落ちるのは嫌がるだろうに」


 力とある程度の地位すらない奴に強力な武器は渡さないはずだし。


「カズシさんが言ったように、神が死んでから神聖国の上層部は焦り始めたのか、秘密部隊以外にもそういう裏の仕事を任せるようになりました。大きな国にはそれ相応の闇があるのは当たり前なのでそういう組織があっても黙ってきましたが、最近は表の聖騎士として育成してきた我が部下や他の聖騎士に対してもあり得ざる行動を取り始めました」


「何?」


「私のように有能であるが、正義感の強い、しかし私のようにある程度の地位に至っていない聖騎士を、精神魔法と契約魔法によって奴隷化し始めたのです。私はすぐに辞めるように上訴したのですが、そのような事実はないなどとほざき始めました。最近はどんどん人員の割り当てが減り、今私が育てている聖騎士3人と確実に変な思想を持っていない部下を今回の作戦に参加させました」


「家族はどうする気だったんだ?」


 今ここにいる聖騎士には家族がいるはずだし、もし俺が転移なんて使えなかったら、どうするつもりだったんだ? てか、俺が雇わなければどうするつもりだったんだ?


「私は現在スーマ冒険者ギルド及び帝都ブルースギルド長ガンスとは、若い頃に何度も冒険者としてパーティーを組んだことがあったんだよ。もちろんこの国のトップであるルドメイ皇帝陛下とも面識がある」


「それでも神聖国から逃げる時は結構な被害が出たよな? ルドやガンスは住むところを用意してくれたとしても、手伝いは出せないだろうし」


「はい。ですが、ガンスに英雄のカズシの屋敷周辺一帯は最高の防御力を誇っているが、事情を知らないと温そうに見える。そんなアホに対処するのも大変だろうし、個人の騎士団でも、見た目でわかる力を持たせると聞きました」


 確かに言われた。もっと見た目でわかる、それこそ騎士とか冒険者の見張りを常設するとかをしろと言われてたね。数週間前くらいに。


「確かに言われたね。本当に数週間前に」


『そして私はカズシなら断らないし、家族の件もなんとかしてくれるだろうという回答を出しておいた』


 スラリンが今回のごちゃごちゃを引き起こした張本人だったわけか。


『言っておいてよ』


『言ったよ? 言ったら、『今忙しいから書類にまとめて置いて』っていうから書類としてまとめて、重要書類のボックスに入れておいた』


 …………やっちまったぜ。


「あー、隊長?」


「アクセスと言います」


「アクセス隊長は既に俺の参謀とかの許可を得てたの?」


「はい、一応カズシさんの身内の方はOKを出してくださったのですが、本日カズシさんにお会いして話したら知らない風でしたので。知っていても国を相手取るかもしれない選択肢を取ってくださったので、驚きました」


「あー、うん。まあいいや。アンチマジックフィールドを解除して、【転移】」


 ここにいるのが連れてきた全ての騎士のようなので、姫たちも含めて全員を屋敷に転移させた。いきなり視界に映る部屋模様が変わったのでざわざわしている。


「これがてれぽーてーしょんなのですか?」


「転移って言ってるよ。テレポーテーションだと長いでしょ?」


「はぁ」


「面倒くさい話は後でしよう。君達は所属不明の騎士団で、俺が金と安全で君達を引き抜いた。禁六武器とか言うのは神聖国の使者団に返しておくけどいい?」


 ボックスから青い金属の直剣を取り出し、アクセス隊長に見せる。


「それが禁六武器ブルーゴッドですね」


「わかった。後でお前らを正式に雇ったら武器とか全部支給するから。ファベログ」


「こちらに」


 呼んだ瞬間に自分の影を踏んだのだが、真横の机の影からニュルっと出てきた。


「……この人達を案内しておいて。雇う予定の騎士団だから。で、ノルトちゃんやシーちゃんはルーゼ達が案内しておいて」


「また増やすんですか?」


「女性が使う必要がある部屋とかあるだろ? 他の男とそんなところの説明をされるのは嫌だし、お前らだって入れたくないだろ?」


「なるほど。そういうことにしておきます」


 メアリが全く信じてくれない。


「あの、でしたら私もいいですか?」


 なんて感じ他にと言ってきて、3割は女性だった。6人くらいは女性だったのか。よくそんなに全身鎧つけられるな。


「じゃあみんな頼むわ」


 俺はそういうと、ルドが対応している使節団がいる部屋の近くに転移して、部屋から出てその部屋の前に立っている騎士に話しかける。


「やあ、ルドに用があるんだけど。事情も知ってるよ。もちろん救出したから」


 俺の登場と言葉に騎士達は安堵したようだ。そして、ひとりが中に入っていって、少しすると出てきた。


「許可が出ましたのでどうぞ」


 俺は青い直剣を布に巻いて手で持ち、完全武装状態で中に入っていった。


 ルドやキリー、その他文官や貴族と相対しているのは、教会とかでよくあるローブを着た男や女が話していたようだが、俺の登場で一時ストップしてしまったようだ。


「本当に済んだのか?」


「ああ、ついでに雇った」


「は?」


「ルドメイ皇帝陛下、この方の紹介をお願いします」


 ルドの真正面にいる男が俺のことを見ながら、催促している。なんで俺のことを見る目がそんなに引き攣ってるんだ?


『カズシ、そんな威嚇する様な表情で相手を見ないでくれないか? ここは外交の場なんだ』


 キリーに注意された、その威嚇していた表情を辞めて、無表情にでもしておくか。


「こいつは我が娘達の婿であり、英雄であるカズシだ」


「初めまして私はカズシと申します。ところで、ファベルウス神聖国には神様から与えられた由緒正しき武器があるそうですね」


「……はい、ありますけど?」


 神がお与えになった武器を振るうのがファベルウス神聖国という謳い文句もあるみたいなので、普通に認めてくれた。それが禁六武器という名称であることは知られていないみたい。


「これはその武器ではありませんか?」


 机の上に置き、相手の方に押し付ける。相手はまさかと言った顔で布を取ると、ブルーゴッドだったので、初めは俺のことを苦々しげに見てきたが、身内で内緒話をし終えると、ニヤニヤした顔になった。


「これは確かに私達が神から与えられた武器ですね。これはどこにあったのですか?」


「(アクセス隊長の腕から)拾った。あと、緊急性があることを言い忘れていました。この城に我が三人の嫁を軟禁している所属不明の騎士団がいたので」


 ルドもニヤニヤ、相手の男もニヤニヤしている。


「金銭交渉して騎士団ごと雇うことにしました」


「は?」


 ルドが今までで最も嫌らしい笑顔になったとだけ言っておこう。

お疲れ様でした。


今カズシって普通に屋敷とかも転移させられるから酷いよね。


次回、5

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