第171話!邂逅と怒り◇
えっとですね。◇ルートの分岐を廃止して、ハッピートゥルーだけにしました。カズシがあまりにもひどい終わり方をするのが◇の■だったのですが、私が書いてて辛くなったのでやめました。こちらの都合で廃止してしまいすみません。
では、お楽しみいただけると幸いです。
1ルート削除のお知らせがあるので、前書きをお読みください。
「さて、皆。あの狼達は攻撃されるまではあの太陽の中にいるカズシにしか攻撃しないわ! だから、一撃で殺しなさい! あの狼は相当経験値がいいはずよ!」
特に何も言っていないのに、嫁達や円卓メンバーやガンス達、ギルドの面々が転移してきた。リルヒが言っていることは正しいけど、なぜ知ってるの?
アーサーガウェインを筆頭に俺にしか目がいっていない狼達に突撃した。Sランクのメンツ及び家の嫁達は見向きもされていない狼達を一方的に蹂躙し出した。
「は?」
登場した時に声を上げていたリルヒの上の空間に穴が開き、大量の赤い液体、血液が流れてきた。それと共にリルヒの体が黄金色に光り出した。髪の毛は元々金色だけど、立っていないのでセーフ。
「【血液射出機】」
リルヒは血液での大雑把な物を模倣なら出来るけど、精密な機械などは再現できないはず。なのだが、ゴツゴツしい機械仕掛けのように見えるカタパルトを数秒で形成してしまった。
いつものリルヒならあれ程のものを作るのに数分かかるはずだ。
「【月穿大槍】」
「【エンチャントフォックス】」
カタパルトの発射口に添えられたのは、リルヒの光を移された金に光る血液の槍。その時点で俺はあれが太陽の力の溢れた魔力であることが分かった。しかも、俺では到底出せないような出力。
「みんな退避!!」
円卓のメンバーでさえ、この数十秒でレベルアップを果たせるほどの高経験値の敵に夢中になっていた人たちも、俺の声にリルヒの魔法の脅威を認識して、退避し始めた。
「【対神結界(太陽)】」
ここいら一帯を覆っていた結界を今使える最大の結界で覆い直す。
「【ブラッドゴルディオン】」
リルヒは星をも穿てる巨大なハンマーを出現させる。カタパルトは限界まで力を溜め込んでいる。槍は太陽の力によって震えているが、爆発したりはしないだろうな。
てか、まじやばい。星の何割化を壊す気なのか? え? マジでやばいんだが。地面に直撃したらどこまで行くの?
そして大事なことを忘れていた。俺も射程に入ってるじゃん。
「まて、リルヒ待て! 太陽を消して、リルヒの周りに結界を構築」
さらに、あれを打ち出した後に来るであろう衝撃からリルヒを守る為に結界を構築。これはある程度のものでいいだろう。ドラゴンのブレスなら何回でも防げる程度で。
あと、太陽を消す時に服はしっかり来ました。
「ええ、……いけええええええええ!!!!!」
並行して地面の強化も行っていたが、
「地面の強化は間に合わねえ」
リルヒの持つハンマーの後ろから血液の蒸気が吹き出し、その勢いも使ってカタパルトの後部から槍を打ち抜く。その瞬間、爆発したような大きな音を鳴らし、槍が音を置き去りにして、狼達をひき逃げして空間の亀裂に入っていった。
地割れのか普通に起きてるけど、後で修繕しよう。
「さあ、カズシ。行ってらっしゃい」
リルヒがやりきった様な顔をしながら送り出す言葉をかけた後、ほかの人達からも声援をもらった。
「行ってくる」
一気に亀裂までの距離を詰めて、入ろうとしたその時、
「私も連れていって欲しいの」
両手をいっぱいに広げたアルカンジュが目の前に転移してきた。
俺はその手を、
掴み、
亀裂の中に入っていった。
『アルは部分憑依出来るよね? なら、全憑依も出来るんじゃない?』
『私はパパの娘だよ? 不可能なんてないの!』
『なら、全憑依しておいて』
『えぇ!?』
『お願い』
『わかったの。あと、一つだけ助言なの。マールは本当に絶対悪でパパが殺さないといけないの?』
一瞬のうちに説得を終えて、アルカンジュは俺の中に光になって入っていった。すげえな。精霊でもなく、スライムでもない人間がそんなこと出来るのか。俺は例外として扱っているけど。
そして、アルカンジュは変なことを言って、通信途絶した。マールが本当に絶対悪なのか? 俺が殺さないといけないのか? そんなの決まっている。
俺が殺す。殺さないといけない。なら、マールは絶対悪かどうか。最高神達ですら言っていたし、神の共通認識のはずだ。
『植え付けられた共通認識』
途絶していたはずのアルカンジュがまた一言残した。
植え付けられた共通認識?
亀裂に入ると、ある男がまだ推進力の残っている槍を押しとどめている。場所はどこかの城かな? 男の後ろには城が見える。
その男は見た目は初めて見る。とてもイケメンだ。だが、そいつの力はとても見覚えがある。
「【復元併用光速移動】」
身体能力や速度を上げるのに邪魔になる要因を全て排除して、限りなく光速に近い速度でその男の背後まで行く。その男はこちらに振り向こうとしているが遅い。
『【一撃必殺:終わりの陽鎌】』
マール、月の神を殺す為だけに作り上げた魔法。創星部屋にある太陽の一つを極限まで圧縮してヤテンに付与。代償としてヤテンも少しだけ燃えてしまうけど、ヤテンにも許可を取ったし、圧縮させ続けるのに多大な負荷がかかるから、一振の間しか使うことが出来ない。
月神に当てたら相手は死ぬ。
という効果だ。これを振り終わるまでは行動を変更できないし、別のことをすることは出来ないから、本当に必殺のタイミングでしか使うことが出来ないが、今はその最高のタイミングだ。
俺の影鎌がマールの首元に吸い込まれるように向かっていく。
マールは驚愕した顔を浮かべている。
鎌がマールの肉体に触れる後、数ミリというところで鎌が七色の光の障壁に阻まれて止まった。
「やあ、カズシ。僕も殺されると思ったよ。というか、この槍止まれよ!」
槍の推進力もだいぶ落ちたようで、片手を離して光り輝く白い剣を取り出して、槍をぶった切った。
ふざけるなよ。なんだよさっきの障壁。あの障壁の力の持ち主を俺は知っている。マジでふざけんなよ。
「いやー。まさか最高神であるアベルが僕にこんな加護をくれるなんてね。てか、カズシも僕を殺すのに少しだけ躊躇してたってことかな?」
マールはそういいながら、少し距離をとった。なんかわけのわからんことを言っているし。俺がマールを殺すことを躊躇? はっ。笑わせるな。死ね。
『最高神!!!! てめえ! なんてことしてくれてんだよ! なんのお前? なんでマールにお前の特大の加護を与えてんだよ! なんで俺の本当の本気の攻撃を受け止めるだけの加護を与えてんだよ!』
俺が久しぶりにマジギレして最高神に念話を送ったのだが、
『え、あ、おおう。か、カズシか。元気してるか? 風は引いてないか? け、怪我してないか? ど、どうしたいきなり? な、なんかあったか? すまん。場所が場所だから、ラグで聞こえなかったわ。本当にすまん。出来ればもう一回言ってはくれないだろうか』
物凄く俺に対する腰が低くなってきて、すげえキョドっていた。
お疲れ様でした。
現在最高神は坐禅を組んで心を落ち着けているところでした。
ちなみにカズシの攻撃を防いだのは最高神の第164話!最高神◇のラストの力です。基本は本気カズシ>最高神なのですが、不甲斐ない親の意地が勝ったようです。
次回、話は決まってる




